Certified nurses in chronic respiratory nursing and nurse designated procedures: promoting high-quality medical care team

高齢化の進行や医療の高度化・複雑化，入院日数の短縮化などが進行する中で，患者や家族，社会を取り巻く状況はますます厳しくなっている．質が高く安全な医療の提供のため，各施設でチーム医療の推進が図られている．日本看護協会おいて，慢性呼吸器疾患看護認定看護師（Certified Nurses in Chronic Respiratory Nursing: CRN）は，1）安定期，増悪期，終末期の各病期における慢性呼吸器疾患患者とその家族のQOL向上に向けて，水準の高い看護を実践する能力，2）慢性呼吸器疾患看護分野において，看護実践を通して他の看護職者に対して指導・相談ができる能力を期待され，2010年より認定開始となった．呼吸器疾患患者の症状緩和やセルフマネジメントを支えるチーム医療のキーパーソンとして，2020年7月現在300名を超えるCRNが各施設で活動を展開している．

一方，在宅医療等のさらなる推進を図るために，個別に熟練した看護師のみならず，医師等の判断を待たずに手順書を用いて一定の診療の補助（特定行為）が実施できる看護師の養成をねらい，2015年より「特定行為に係る看護師の研修制度」が開始となった．特定行為研修修了者は，医師の診療の補助行為のうち21区分38行為の中から研修を修了した行為の実施が可能となり，看護師としての役割拡大が図られている．

CRNからも，数名が特定行為研修を修了し，特定行為の実践者として活動を開始している．CRNの活動と関連性がある特定行為の区分は，呼吸器（気道確保に係るもの）関連として気管チューブの位置の調整，呼吸器（人工呼吸療法に係るもの）関連として人工呼吸器の設定変更や離脱，鎮静薬の投与量の調整，呼吸器（長期呼吸療法に係るもの）関連として気管カニューレの交換などがあり，これまでのCRNの実践を基盤として，さらに幅広い活動が期待できる．しかしながら，医師の診療の補助を担う上では，これまで以上に病態生理を理解した高い臨床推論力や思考力および判断力，特定行為における高度で専門的な知識や技術，組織の中でチーム医療を提供するためのマネジメント能力を獲得することが求められ，組織や地域から求められる責任も大きい．

このワークショップでは，「慢性呼吸器疾患認定看護師と特定行為　呼吸ケアのチーム医療の方向性」をテーマに，各先生にそれぞれの立場からの意見や具体的な活動について述べていただき，慢性呼吸器疾患看護認定看護師の特定行為研修修了者が，質の高いチーム医療の推進役として活動していくための課題や具体的な方策についてディスカッションを行いたい．

著者の COI（conflicts of interest）開示

本論文発表内容に関して特に申告すべきものはない．