2024 Volume 32 Issue 3 Pages 306-312
埼玉医科大学病院外来通院中のchronic obstructive pulmonary disease(COPD)およびハイリスク患者(n=36)において,二重標識水(doubly labeled water: DLW)法により総エネルギー消費量(total energy expenditure: TEE)を,間接熱量測定法により基礎代謝量(basal metabolic rate: BMR)を測定した.COPD患者でもBMRの増加はみられなかったが,Physical activity level(PAL=TEE/BMR)は重症・最重症では低下傾向を認めた(1.67).また,PALは軽強度および中強度の歩行以外の活動時間(p<0.01),6分間歩行距離および握力(p<0.001)と良好な相関を認めた.さらに,運動以外の身体活動量(nonexercise activity thermogenesis: NEAT)の評価法としてNEAT質問票が,エネルギー摂取量の推定法としてbrief-type self-administered diet history questionnaire(BDHQ)質問票が有用な可能性が示唆された.
chronic obstructive pulmonary disease(COPD)患者では身体活動性の低下と予後の関連が知られている1).一方で呼吸筋によるエネルギー消費の増大を背景として,COPD患者では基礎代謝が増加し,体重減少が進行すると考えられている2).しかしながら,総エネルギー消費量(total energy expenditure: TEE)測定法のgold standardとされている二重標識水(doubly labeled water: DLW)法により,COPD患者のエネルギー消費を検討した報告は極めて限られている3).今回我々は,国立栄養研究所と慶應義塾大学スポーツ医学研究センターとの共同研究として,外来通院中のCOPD患者に対し,DLW法によりTEEを,間接熱量測定法により基礎代謝量(Basal metabolic ratio: BMR)を測定し,臨床指標との関連を検討する機会を得た4,5,6).この知見をもとに,内外の報告と比較しながら,COPD患者のエネルギー消費と栄養の評価について考察する.
図1にTEEの内訳を示す.ここではTEE 2,273 kcal/day,BMR 1,262 kcal/dayと当院の対象者36例の平均値を用いた4).身体活動量(physical activity level: PAL)はTEEをBMRで除したものと定義されており,1.80となる.日本人の食事摂取基準2020によれば,70歳男性の平均BMRは 1,400 kcal/day,平均的な身体活動性の場合,70歳の日本人のPALは1.70とされている7).したがって,COPDおよびハイリスク患者のBMRは標準よりも低く,PALは標準よりも高い傾向であった.BMR以外のエネルギー消費は,運動(Ex),運動以外の身体活動量(nonexercise activity thermogenesis: NEAT),食事誘発性体熱産生(diet induced thermogenesis: DIT)に分けられる.DITはTEEの約10%とされており,COPD患者でも大きな変動はないと報告されている8).COPD患者では運動によるエネルギー消費は一般に少なく,NEATを維持することが重要と思われる.NEATは歩行に関連するものと歩行以外の活動によるものに分けることができ,NEAT質問票で個別に評価することが可能である(表1)9).TEEについては,DLW法による測定がエネルギー消費研究の基本となるが,高額な費用,厳密な測定,頻回の検査等を要するため,広く多数例で施行することは難しい.
総エネルギー消費量:total energy expenditure(TEE)
基礎代謝量(率):basal metabolic rate(BMR)=resting energy expenditure(REE)=resting metabolic rate(RMR)
食事誘発性体熱産生:diet induced thermogenesis(DIT)
活動時代謝量:activity energy expenditure(AEE)
運動による代謝量:exercise(Ex)
運動以外の活動による熱産生:nonexercise activity thermogenesis(NEAT)
歩行に関連するNEAT:walk(Wk)
歩行以外のNEAT:Daily activity
身体活動量:Physical activity level(PAL)=TEE/BMR
昭和女子大学江崎治教授の考案された質問票を一部改変し,歩行主体の身体活動11項目,歩行主体でない身体活動25項目,計36項目でNEATを評価した.それぞれの質問に対して,身体活動量が高い(3点),普通(2点),低い(1点)とする3つの選択肢を設定し,NEATを点数化した.
文献9より出版社の許諾を得て転載
COPD患者でのBMRの上昇が強調されてきた傾向があるが,過去の報告でも,上昇しているのは重症例の一部と考えられる10,11).BMRは全身の筋肉量と相関するため,COPD患者では,この点では低下傾向となる.一方で安静時でも横隔膜機能が低下し,補助呼吸筋によるエネルギー消費が著明に増加している症例では,体重や筋肉量の割にBMRが高い傾向となる3).埼玉医科大学病院の外来COPD患者28例とハイリスク患者8例(平均70.3歳,平均%FEV1 69.4)でのBMRの間接熱量測定法による測定では,Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD)3,4の症例を含め,BMRは基準値の83~111%(平均99%)に分布しており,増加傾向はみられなかった(表2)4).BMRを体重のみで補正した場合でも群間で差はなかった.一方,守川らは,より重症で高齢の入院COPD患者(n=102,平均78.4歳,平均%FEV1 46.7)でBMRを測定し,COPD患者におけるBMRの予測式を提案した12).BMRは平均で基準値に比べ19%増加していたが,BMRの実測値はGOLD 1 で 1,303 kcal,GOLD 4 で 1,205 kcalと重症例で低下傾向を示した.また,提案されたBMRの予測式では,我々の外来COPD患者のBMRは約16%の過大評価となった(実測値 1,262 kcal vs. 予測値 1,461 kcal).この差にはフェイスマスク法とフロースルー法の違いも影響している可能性があるが,全てのCOPD患者にあてはめることは難しいと思われる.
GOLD 0 | GOLD 1 | GOLD 2 | GOLD 3,4 | p-value | |
---|---|---|---|---|---|
n | 8 | 6 | 14 | 8 | |
BMI(kg/m2) | 21.2±3.7 | 21.8±1.3 | 23.5±3.0 | 19.7±3.2* | 0.05 |
BMR(kcal/day) | 1,229±234 | 1,297±173 | 1,316±158 | 1,172±148 | NS |
BMR(%pred.) | 98±8 | 101±6 | 101±7 | 96±7 | NS |
TEE(kcal/day) | 2,240±629 | 2,496±435 | 2,378±322 | 1,956±296 | NS |
PALDLW | 1.80±0.22 | 1.92±0.16 | 1.81±0.19 | 1.67±0.21 | NS |
Mean±standard deviation. GOLD: Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease, BMI: body mass index, BMR: basal metabolic rate, BMR(%pred.): percentage of BMR to the predictive value using the Ganpule equation, TEE: total energy expenditure, PAL: physical activity level. NS: nonsignificant, *p<0.05 vs. GOLD 2.
文献4のTable 2より抜粋
前述のように,平均的な身体活動性の場合,70歳日本人のPALは1.70と報告されているため,我々の外来COPD患者の検討では,少なくともGOLD 2 までの症例ではPALの有意な低下は観察されなかった(表2)4).しかしながら,GOLD 3,4 では低下傾向がみられ,GOLD 0 を除いた場合,PALと%FEV1の間には正の相関があり,過去の報告と一致している.本研究のGOLD 0 の患者は症状があって,多くは気管支拡張薬の投与を受けて通院を続けており,1秒率は正常であるものの高齢健常者とは異なる集団であった.過去の欧米の報告でも,GOLD 1,2 までのPALの低下は顕著ではない13,14).Pittaらの2004年の研究で,GOLD 1,2 での歩行時間の低下が報告されているが,これには歩行以外のNEATが含まれていない.また,コントロールの健常者の運動耐容能が最大負荷量で基準値の120%と高値であったことにも留意する必要がある15).我々の研究の結果からも,PALと最も良く相関するのは歩行以外の中強度の活動時間であり,歩行時間との相関は低い傾向であった(後述).また,PALは選択する集団により大きく異なる.内外の報告をまとめると,GOLD 2 までの外来COPD患者では,PALの低下は軽微であり,BMRは基準値とほぼ一致すると考えてよいだろう.予想に反してCOPDでBMRが上昇せず,PALも保たれていた要因として,近年普及した長時間作用性気管支拡張薬の影響の検証も必要と思われる.一方で,身体活動性を評価する指標としては,PAL=TEE/BMRとは別に,3 METs(2 METs,1.5 METs)以上の活動時間,歩行時間,1.0~1.5 METsの座位(sedentary)時間を含む様々な指標が用いられている.南方らは,加速度計を使用した評価には,環境の影響,機器による違い,非装着時間など,様々な注意が必要であると指摘している16).
COPD患者の身体活動に関する報告にみられるPALは,ほとんどの場合,加速度計により測定した活動によるエネルギー消費量(activity energy expenditure: AEE)と基準値を用いて計算したBMRを用いて算出されている.TEEにはAEE以外の加速度を伴わないエネルギー消費が含まれるため,加速度計によるPALはDLW法によるTEEに基づいて計測したPALに比べ,常に過小評価となる.佐藤らの報告では,この過小評価の程度は,閉塞性換気障害の重症度とは関係なく,約12%であった(全体でDLWによるPAL: 1.80 vs. 加速度計によるPAL: 1.61)(表3).この差は健常高齢者における過小評価の程度とほぼ同等か若干大きい可能性がある4,17).また,DLWによるPALと加速度計によるPALは相関しており(r=0.642,p<0.0001),外来通院中のCOPD患者の身体活動量評価に加速度計によるPALを使用することは,必ずしも簡便とはいえないものの,妥当であると考えられる.
GOLD 0 | GOLD 1 | GOLD 2 | GOLD 3,4 | Total | |
---|---|---|---|---|---|
n | 8 | 6 | 14 | 8 | 36 |
PALDLW | 1.80±0.22 | 1.92±0.16 | 1.81±0.19 | 1.67±0.21 | 1.80±0.20 |
PALACC | 1.58±0.12 | 1.70±0.13 | 1.64±0.13 | 1.55±0.14 | 1.61±0.14 |
p-value | <0.01 | <0.05 | <0.01 | <0.01 | <0.0001 |
Mean±standard deviation. GOLD: Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease, PAL: physical activity level, DLW: doubly labelled water, ACC: accelerometer, PALDLW: PAL by DLW method, PALACC: PAL by accelerometer.
文献4のTable 2より抜粋したデータとFigure 1の統計データを用いて作成
歩数による身体活動性の評価は,COPD患者に対する現実的な方法として重要であると考えられる.GOLD 2 ではGOLD 1 に比べてPALの低下は顕著ではないが,歩数は低下傾向がみられる4,13,14).ここでは,佐藤らの報告をもとに歩数のPAL評価における限界について述べる.36名の患者全体の加速度計による評価では,COPDおよびそのハイリスク患者において,1.5~3.0 METs(軽強度)の歩行時間,3.0~6.0 METs(中強度)の歩行時間,軽強度の歩行以外の活動時間,中強度の歩行以外の活動時間はそれぞれ38.8分,28.4分,261分,19.9分であり,軽強度の歩行以外の活動時間が大半を占めていた4).DLWによるPALとの相関では,軽強度の歩行以外の活動時間(r=0.465,p<0.01)と中強度の歩行以外の活動時間(r=0.471,p<0.01)が良好に相関したのに対し,軽強度の歩行時間(r=0.362,p<0.05)と歩数(r=0.377,p<0.05)は軽度の相関にとどまっていた(表4).座位時間と相関がみられなかったのは,睡眠中に加速度計を装着しないプロトコールであった点と 1.0 METs未満を除外せず,1.5 METs未満をすべて座位時間に含めたことが影響した可能性が考えられる.一方で,他の臨床指標との相関を検討したところ,DLWによるPALは,%FEV1(r=0.394,p<0.05)よりも6分間歩行距離(r=0.575,p<0.001),握力(r=0.538,p<0.001)と良好な相関を示した(表5).身体活動量と運動耐容能や全身の筋力は異なる指標ではあるが,実際にはこれらが身体活動量の最もよい予測因子であった点は注目すべきと考えられる.また,比較的活動性が保たれていると考えられる外来通院中のCOPD患者においても,活動時間の大半は軽強度(1.5~3.0 METs)の歩行以外の活動時間であった点も重要と考えられる(表4).
Mean±SD | r | p-value | |
---|---|---|---|
Steps(/day) | 5,978±3,209 | 0.377 | <0.05 |
Sedentary time(min/day) | 506±137 | 0.088 | NS |
Light walking time(min/day) | 38.8±27.6 | 0.191 | NS |
Moderate walking time(min/day) | 28.4±23.5 | 0.362 | <0.05 |
Vigorous walking time(min/day) | 0.08±0.28 | 0.246 | NS |
Light daily activity time(min/day) | 261±83 | 0.465 | <0.01 |
Moderate daily activity time(min/day) | 19.9±17.9 | 0.471 | <0.01 |
SD: standard deviation, NS: nonsignificant, Sedentary: <1.5 METs, Light: 1.5 to<3.0 METs, Moderate: 3.0 to <6.0 METs,Vigorous: ≥6.0 METs.
文献4のTable 4より抜粋
Mean±SD | r | p-value | |
---|---|---|---|
Age years | 70.3±5.8 | 0.132 | NS |
mMRC | 0.9±1.0 | 0.276 | NS |
CAT | 10.1±6.1 | 0.213 | NS |
BMI kg/m2 | 21.9±3.2 | 0.158 | NS |
Fat mass % | 23.3±5.0 | 0.092 | NS |
FFMI kg/m2 | 16.7±2.3 | 0.226 | NS |
SMI kg/m2 | 9.1±1.0 | 0.156 | NS |
Grip strength kg | 33.9±7.0 | 0.538 | <0.001 |
PEmax % | 72.6±18.7 | 0.188 | NS |
PImax % | 87.6±29.3 | 0.280 | NS |
Vital capacity % | 95.3±16.2 | 0.301 | NS |
%FEV1 | 69.4±24.4 | 0.394 | <0.05 |
FEV1/FVC | 55.4±17.4 | 0.286 | NS |
Residual volume % | 117.1±35.4 | 0.134 | NS |
DLCO/VA % | 74.0±27.4 | 0.258 | NS |
LAA % | 13.9±13.6 | -0.257 | NS |
6MWD m | 435±95 | 0.575 | <0.001 |
SD: standard deviation, DLW: doubly labelled water, PAL: physical activity level, mMRC: modified Medical Research Council dyspnoea scale, CAT: COPD Assessment Test, BMI: body mass index, FFMI: fat-free mass index, SMI: skeletal muscle mass index, PEmax: maximum expiratory pressure, PImax: maximum inspiratory pressure, FEV1: forced expiratory volume in 1 s, FVC: forced vital capacity, DLCO: diffusing capacity of the lung for carbon monoxide, VA: alveolar volume, LAA: low attenuation area, 6MWD: 6-min walk distance, NS: nonsignificant.
文献4のTable 3より抜粋
これまでの検討により,COPD患者におけるNEATの重要性が明らかになったと考えられる.COPD患者に対し,散歩を奨励したり,実施可能なスポーツを勧めることは有意義なことと考えられる.一方で歩数だけに満足し,自宅での座位時間が増加して歩行以外のNEATが減少してしまうと,全体としてPALが低下する結果となることが危惧される.NEATを客観的に評価するには,歩行と歩行以外の活動時間を区別できる加速度計を用いることが望ましいが,日常的にCOPD患者が使用することは難しい.簡便にNEATを評価する方法として,白畑らはCOPD患者でのNEAT質問票によるNEATスコアの妥当性を報告した5).NEAT質問票は濱崎らが開発し,糖尿病患者において加速度計によるPALとの相関が検証されている18).また,糖尿病患者において,その臨床的有用性が報告されている19).白畑らによるCOPD患者,濱崎らによる2型糖尿病患者における解析では,加速度計によるPALとNEAT質問票による歩行に関連するNEATスコア,歩行以外のNEATスコア,総NEATスコアとのそれぞれの相関には同様な傾向がみられた(COPD [n=36]: r=0.317,p=0.060,r=0.515,p=0.001,r=0.518,p=0.001 vs. 糖尿病 [n=51]: r=0.444,p=0.001,r=0.526,p<0.001,r=0.604,p<0.001)5,18).いずれの疾患でも歩行以外の日常活動によるNEATの重要性が示唆された.今後の検証が必要ではあるが,NEAT質問票は様々な呼吸器疾患に対し,広く利用できる可能性があると考えられる.
COPD患者の栄養評価には,食事調査や栄養に関するアンケートを行うが,正確に評価することは難しい.一般的にエネルギー消費量を測定し,それと同等なものとして摂取量を評価する方が精度が高い.しかしながら,TEEの測定にはDLW法が必要である.BMRだけを測定して,加速度計によるAEEを用いてPALとTEEを推定する方法も考えられるが,前述のように誤差もある.ここでは,西田らが報告したbrief-type self-administered diet history questionnaire(BDHQ)質問票の有用性について紹介したい6).BDHQ質問票は日本人健常者の食習慣を簡便に調査するために開発された自記式の質問票であり20),最近1か月間の58種類の食べ物,飲み物について摂取頻度や調理法を記入する(所要時間:15~20分).高齢者に加え,高血圧,脂質異常症,肝疾患,糖尿病,潰瘍性大腸炎などの疾患を有する患者群において,その妥当性が検証されている21,22,23).自記式の食事調査では,実際の摂取量よりも過小評価となることが多いが,西田らはCOPD患者においても,平均で 186 kcalの過小評価ではあったが,その差は他の疾患とほぼ同等であり,BDHQ質問票が有用と報告した.さらに興味深いのは,BDHQ質問票による摂取エネルギー量は一般的な傾向と同様に年齢が高いほど過大評価,体重が重いほど過小評価となっていたが,これに加え,COPD患者では不安症傾向があると過小評価,血清IL-6 が高いと過小評価となる傾向を認めた(表6).これらの因子により補正を加えることにより,BDHQ質問票により推定したCOPD患者の摂取エネルギー量の精度を改善できる可能性がある.BDHQ質問票は食習慣を簡便に調査するツールであり,摂取エネルギー量の推定には,なおかなりの誤差がある.また,使用するためには専用サイトからの登録が必要であるが24),その簡便性と妥当性を考慮すれば,今後COPDを含む様々な呼吸器疾患患者で広く検証されることが望まれる.
*p<0.05; **p<0.01. CAT, chronic obstructive pulmonary disease assessment test; CRP, C reactive protein; EIBDHQ, energy intake estimated by brief-type self-administered diet history questionnaire; EIDLW, energy intake calculated by doubly labelled water method; FEV1, forced expiratory volume in one second; HAD, Hospital Anxiety and Depression Scale; IL-6, interleukin 6; mMRC, modified medical research council; 6MWD, 6 min walk distance; SNAQ, simplified nutritional appetite questionnaire.
文献6のTable 3を転載
GOLD 1,2 までの外来通院中のCOPD患者では,BMR,TEE,PALともに一般の高齢者と大きな差はみられなかったが,GOLD 3,4 に進行するにつれて,PALが低下し,それに伴ってTEEも減少する傾向がみられた.COPDおよびそのハイリスク患者では,1.5 METs以上の活動時間のうち,1.5~3.0 METsの軽強度の歩行以外の活動時間が大半を占めており,これを維持することが身体活動性の維持に重要と考えられた.この軽強度の歩行以外の活動時間の評価には,NEAT質問票が簡便で有用な可能性がある.また,COPD患者のエネルギー摂取量の推定には,簡便な自記式質問票であるBDHQが有用な可能性がある.
今後,比較的軽症のCOPD患者に対し,どのように運動,歩行,生活,栄養の指導を行うことが,将来の身体活動性とQOLの維持に有用であるかを検討することが重要と考えられる.
本稿は医薬基盤・健康・栄養研究所 田中茂穂先生(現 女子栄養大学),西田優紀先生(現 東京医科歯科大学),慶應義塾大学スポーツ医学研究センター 勝川史憲先生のご指導の下,当院の白畑 亨先生,佐藤秀彰先生らと共に行った研究成果をもとに執筆した.
本論文の一部は第31回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術講演会の教育講演9「COPDにおけるエネルギー消費と栄養」として発表した.
本論文発表内容に関して特に申告すべきものはない.