The Journal of the Japan Society for Respiratory Care and Rehabilitation
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Questionnaire survey on the early mobilization addition in the FY 2022 revision of medical fees
Kazunori Kurata Noriaki KojimaKengo ObataShinya MatsushimaTomohiro MatsuoMasahiro TakahashiMasako FujitaGenki MoriwakiChiyo HonjoHitoshi Yokoyama
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2024 Volume 33 Issue 1-3 Pages 112-117

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要旨

2022年度診療報酬改定にて早期離床・リハビリテーション(リハ)加算(早期離床加算)の対象病床が拡大されたため,現状および問題点を把握する目的でアンケート調査を実施した.

【方法】日本集中治療教育研究会リハ部会で協議し31問の設問を設定,Google Formsにてアンケート作成し,メーリングリスト等を通じ2023年8月の2週間実施.

【結果】全回答122件,改定後に算定可能な病床を有する108施設のうち53.7%の施設が新たな病床で算定を開始していた.本調査時の早期離床加算算定状況はICU 76.5%,EICU 40.5%,SCU 8.3%,PICU 7.1%,HCU 36.1%.算定を開始した施設の65.5%で多職種連携が改善したものの,93.1%で業務量が増加したと回答.68.9%が「加算点数の増大」を要望していた.

【結論】早期離床加算の算定開始に伴い一定の効果が認められた一方,業務量の軽減や,加算点数の増大が今後の課題と考えられた.

緒言

2018年の診療報酬改定において早期離床・リハビリテーション加算(早期離床加算)が新設され,特定集中治療室管理料を算定する集中治療室(intensive care unit: ICU)の算定が開始された.早期離床加算の実態は,2018年から2019年にかけて算定率が65%であったと報告1されており,早期離床加算を導入した施設において人工呼吸器管理期間の短縮および日常生活動作能力の低下予防,在院日数の短縮や自宅退院率が増加すると報告されている2.こうした流れの中で,2022年の診療報酬改定では救命救急入院料,脳卒中ケアユニット入院医療管理料,小児特定集中治療室管理料およびハイケアユニット入院医療管理料を算定する病床においても早期離床加算の算定が拡充され,同時に早期離床加算に関わる職種として言語聴覚士(speech-language-hearing therapist: ST)も追記された.これにより,早期離床加算を算定する施設や病床が増加することが予測される.今回我々は,診療報酬改定後の現状を把握し,算定を開始したことでの変化や今後の課題を把握する目的でアンケート調査を実施した.本アンケートにより,離床加算算定を検討している施設だけではなく,すでに算定している施設にとっても参考となる情報になるのではないかと思われる.

対象と方法

対象は日本集中治療教育研究会(Nonprofit Organization Japanese Society of Education for Physicians and Trainees in Intensive Care: JSEPTIC)リハビリテーション(リハ)部会のメーリングリスト登録者(2023年8月現在510名)およびJSEPTICリハ部会のFacebook登録者(2023年8月現在474名)とした.調査期間は2023年8月15日から8月29日の2週間で,アンケートの設問はJSEPTICリハ部会で協議,作成し,設問数は31問とした.アンケートはWebサイト(Google Forms)にて作成し,重複回答を防ぐため,1施設1回答で依頼した.アンケート内容は,病院の病床数,集中治療室の有無および内訳,理学療法士(physical therapist: PT),作業療法士(occupational therapist: OT),STの集中治療室への介入状況,2022年診療報酬改定前後の早期離床加算算定有無,診療報酬改定後に早期離床加算算定を開始した病床,早期離床加算算定開始時の状況(提案・立ち上げに関わった職種,障壁や苦労した点),早期離床加算の運用状況(実際に算定している職種,休日の体制),算定開始後の変化(他職種との連携,リハの実施や早期離床加算のタイミング,リハの提供のしやすさ,リハの介入数/頻度,カンファレンスの記録などの業務量),早期離床加算を算定しない理由や算定を中止した病床の有無および内訳,今後の早期離床加算の算定予定病床,今後早期離床加算に望むこと,自由記載とした.なお,本調査においては救命救急入院料を算定する病床をEICU(emergency intensive care unit),脳卒中ケアユニット入院医療管理料を算定する病床をSCU(stroke care unit),小児特定集中治療室管理料を算定する病床をPICU(pediatric intensive care unit),ハイケアユニット入院医療管理料を算定する病床をHCU(high care unit)とした.本調査は公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院倫理審査委員会の承認(承認番号:4195)を得ており,アンケート上で同意を得たうえで回答を依頼した.

結果

アンケートの回答は122件(122施設)であり,重複回答は認めなかった.

1. 回答施設の特徴

回答した施設の病床数は501~1,000床が44.3%で最も多く,次いで201~500床が41.8%であった.全回答施設の94.3%の施設が集中治療室を有しており,その内訳はICUが83.6%と最も多く次いでHCU 68.0%,EICU 34.4%,SCU 29.5%,PICU 11.5%であった.

2. 早期離床加算の算定状況

早期離床加算の算定状況および運用状況を表1に,診療報酬改定後の早期離床加算算定状況を表2に示す.改定前から早期離床加算を算定していた施設は60.8%であった.2022年度診療報酬改定において,早期離床加算を新たに算定開始可能な病床を有していた施設のうち54%が算定を開始していた.その内訳はHCU 51.7%,次いでICU 34.5%の順に多く,SCUとPICUはそれぞれ5%,2%と少なかった.診療報酬改定前からの早期離床加算算定有無で分けた集計では,算定していた施設はHCU,算定していなかった施設はICUにおいて新たに算定を開始した病床が多く認められた.アンケートを実施した時点(2023年8月)における早期離床加算の算定状況は図1に示す通りで,ICUが76.5%と最も多く,SCUとPICUは8.3%,7.1%と少なかった.また,ICU,EICU,PICU,HCUにおいては算定の予定ありまたは準備中と回答した施設も一定数存在した.早期離床加算を算定する対象患者については,45.0%の施設が集中治療室内の全症例と回答したものの,疾患別リハ料と早期離床加算を使い分けていると回答した施設も36%認めた.早期離床加算を実際に算定している職種はPTが96.6%と最も多く,次いで看護師の70.7%であり,STも25.9%認められた.土・日,祝日の算定は,62.1%の施設が「集中治療室の看護師のみで算定している」と回答した.

表1 早期離床加算の算定状況および運用状況

診療報酬改定前から早期離床加算を算定していたか,%(n)
算定していた60.8(62)
算定していなかった39.2(40)
診療報酬改定後に早期離床加算の算定を開始した病床があるか,%(n)
算定を開始した病床がある53.7(58)
算定を開始した病床はない46.3(50)
新たに算定を開始した病床はどこか,重複あり,%(n)
ICU34.5(20)
EICU29.3(17)
SCU5.2( 3)
PICU1.7( 1)
HCU51.7(30)
早期離床加算を算定する対象患者,%(n)
全症例45.0(26)
疾患別リハ料と使い分けている36.0(21)
疾患別リハの処方がある全患者16.0( 9)
その他3.0( 2)
早期離床加算を実際に算定する職種,重複あり,%(n)
PT96.6(56)
OT32.8(19)
ST25.9(15)
医師6.9( 4)
看護師70.7(41)
土日および祝日に早期離床加算を算定する職種,%(n)
専任・専任以外のPT・OT・ST8.6( 5)
専任・専任以外のPT・OT・STと看護師22.4(13)
看護師62.1(36)
算定しない5.2( 3)
その他1.7( 1)

ICU: intensive care unit, EICU: emergency intensive care unit, SCU: stroke care unit, PICU: pediatric intensive care unit, HCU: high care unit, PT: physical therapist, OT: occupational therapist, ST: speech-language-hearing therapist

表2 診療報酬改定前の早期離床加算算定有無で分けた各病床の算定開始状況

診療報酬改定前からICUで算定を
していた
n=55
していなかった
(n=53)
算定を開始した病床の内訳,%(n)重複あり
ICU7.3( 4)30.2(16)
EICU23.6(13)7.5( 4)
SCU3.6( 2)1.9( 1)
PICU1.8( 1)0( 0)
HCU38.2(21)17.0( 9)

※ICUのみを有し,改定前から既に算定を開始していた施設は除外して集計

ICU: intensive care unit, EICU: emergency intensive care unit, SCU: stroke care unit, PICU: pediatric intensive care unit, HCU: high care unit

図1 2023年8月現在の早期離床加算算定状況

集計対象は病床を有しているICU 102施設,EICU 42施設,SCU 36施設,PICU 14施設,HCU 83施設

ICU: intensive care unit, EICU: emergency intensive care unit, SCU: stroke care unit, PICU: pediatric intensive care unit, HCU: high care unit

3. 早期離床加算算定開始後の変化

早期離床加算算定開始後の変化について表3に示す.他職種との連携が良くなった65.5%,リハ提供のしやすさが良くなった62.1%,リハ介入数/頻度が増えた46.6%,リハ実施や早期離床のタイミングが早くなった60.3%であり,各設問において「悪くなった」との回答は無かった.カンファレンスや記録などの業務量については93.1%が増えたと回答した.

表3 早期離床加算開始後の変化

多職種との連携,%(n)
良くなった65.5(38)
変わらない31.0(18)
分からない3.4( 2)
悪くなった0( 0)
リハ実施や早期離床のタイミング,%(n)
早くなった60.3(35)
変わらない36.2(21)
分からない3.4( 2)
遅くなった0( 0)
リハ提供のしやすさ,%(n)
良くなった62.1(36)
変わらない32.8(19)
分からない5.2( 3)
悪くなった0( 0)
リハ介入数/頻度,%(n)
増えた46.6(27)
変わらない50.0(29)
分からない3.4(3.4)
減った0( 0)
カンファレンスや記録などの業務量,%(n)
増えた93.1(54)
変わらない5.2( 3)
分からない1.7( 1)
減った0( 0)

4. 早期離床加算の算定開始について

早期離床加算の算定を開始するにあたり最初に提案した人については,集中治療室に従事するリハスタッフが46.6%と最も多かった.実際に早期離床加算算定の立ち上げに関わった職種はPT,看護師,集中治療室の医師および事務が多かった.立ち上げの際の障壁についてはコストの問題やカンファレンスの設立/運用をはじめ多岐に渡っていた(表4).

表4 早期離床加算の算定開始時について

最初に提案した職種,重複あり,%(n)
集中治療室に従事するリハスタッフ46.6(27)
リハ部/科の責任者34.5(20)
事務27.6(16)
看護師24.1(14)
集中治療室の医師22.4(13)
リハ医師8.6( 5)
実際の立ち上げに関わった職種,重複あり,%(n)
PT100.0(58)
OT13.8( 8)
ST6.9( 4)
集中治療室の医師79.3(46)
リハ医師34.5(20)
看護師94.8(55)
事務53.4(31)
臨床工学技士13.8( 8)
管理栄養士10.3( 6)
薬剤師6.9( 4)
立ち上げ時の障壁,重複あり,%(n)
(算定の基準)5年以上の経験を有する医師10.3%( 6)
(算定の基準)適切な研修を修了した看護師27.6%(16)
(算定の基準)十分な経験を有するPT・OT・ST12.1%( 7)
(算定の基準)早期リハに関するプロトコル31.0%(18)
病院の理解を得ること10.3%( 6)
リハ部/科の理解を得ること31.0%(18)
集中治療室の理解を得ること43.1%(25)
事務の協力を得ること24.1%(14)
コストの問題(収益や人員)51.7%(30)
カンファレンスの設立/運用50.0%(29)

PT: physical therapist, OT: occupational therapist, ST: speech-language-hearing therapist

5. 今後,早期離床加算に望むこと

早期離床加算に今後望むことは「加算点数の増加」が68.9%と最も多かった.一方,「PT・OT・STのいずれかの専従を必須とする」との回答も34.4%得られた.また,自由記載には体外式膜型人工肺の使用など,集中治療の中でも重症度が高い患者では治療期間が長くなり,現在の早期離床加算の算定可能日数である14日間では短すぎて実用的ではないため加算日数の延長を要望する,などの回答が複数認められた.早期離床加算を算定していない理由は,「疾患別リハ料の方が高いと試算したため」,「PT・OT・STで介入すると減収に繋がるため」といったコスト面の理由が最も多かった(表5).

表5 今後の早期離床加算に望むこと

早期離床加算に今後望むこと,重複あり,%(n)
加算点数の増加68.9(84)
カンファレンスに関する要項の緩和27.0(33)
スタッフに関する要項の緩和33.6(41)
施設基準の緩和21.3(26)
PT・OT・STのいずれかの専従を必須とする34.4(42)
特になし10.7(13)
早期離床加算を算定しない理由(算定していない施設),重複あり,%(n)
疾患別リハ料の方が高いと試算したため37.5(24)
PT・OT・STで介入すると減収に繋がる29.7(19)
リハ部/科の方針26.6(17)
病院の方針14.1( 9)
適切な研修を修了した看護師(人員の問題)17.2(17.2)
十分な経験を有するPT・OT・ST(人員の問題)6.3(6.3)
5年以上の経験を有する医師(人員の問題)4.7(4.7)
早期リハに関するプロトコルの問題10.9( 7)
リハスタッフの協力が得られない6.3( 4)
医師の協力が得られない6.3( 4)
看護師の協力が得られない4.7( 3)

PT: physical therapist, OT: occupational therapist, ST: speech-language-hearing therapist

考察

早期離床加算の算定状況および効果

本調査の結果,2022年度の診療報酬改定前からICUにて早期離床加算を算定していた施設は60.8%であったのに対し,調査時点(2023年8月)では76.5%に向上していた.日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会の報告1においても2019年3月の時点でアンケートに回答した施設のうち19%が「早期離床加算算定開始の準備中である」と回答しており,本アンケートは調査対象が同一ではないものの,このような準備中であった施設が新たに算定を開始したのではないかと考えられる.今回拡充された病床のうちEICUで41%,HCUで36%が算定を開始しており,これらの病床については今後の算定を予定または準備中と回答した施設も多く,今後も増えるのではないかと予想される.一方,SCUとPICUは算定している施設が少なく,SCUに関しては今後の算定の予定または準備もほぼ無いという結果であった.なお,表2において診療報酬改定前からICUで早期離床加算を算定しているにもかかわらず,改定後にもICUでの算定を開始したと回答した施設が4件認められた.誤回答の可能性も考えられるが,同一施設内において特定集中治療室管理料を算定する病床が複数存在することも考えられたため,本調査では有効な回答とみなした.

早期離床加算を実際に算定している職種についてはPTが最も多かったものの,2022年度診療報酬改定で新たに追記されたSTも25.9%が算定していることが明らかとなった.また,PTの次に算定することが多い職種は看護師であり,早期離床加算をもとに多職種連携が図れているのではないかと考えられる.実際に,算定を開始したことで他職種との連携が改善した施設は66%認められており,リハ提供のしやすさや介入数/頻度,リハ実施や早期離床のタイミングも向上していた.これらはPT以外の看護師,OT,STをはじめとした多職種連携が強化されたからではないかと思われる.しかし,休日対応においては69%の施設で「看護師が算定する」と回答しており,リハスタッフが休日対応を行っている施設は依然少ないようである.先に挙げた早期離床加算の効果は,これまで実施できていなかった休日のリハを看護師で対応し始めた影響も考えられる.

早期離床加算の算定開始について

早期離床加算の算定開始について,最初に提案したのはリハ関連の職種が多かった.実際の立ち上げにおいては全施設においてPTが関わっており,その他にも看護師,集中治療室の医師,リハ医師,事務をはじめ,施設によっては臨床工学技士,管理栄養士,薬剤師とも協働していた.早期離床加算の算定を開始するうえでの障壁として,カンファレンスの設立/運用やコスト(収益や人員)の問題が多く挙げられており,これから立ち上げを検討している施設は多職種で協働しながら,これらの課題について重点的に検討することが望ましいと考える.また,本調査にてリハ職種のみでの休日対応が困難な施設も多いことが示されており,休日対応についても予め検討が必要であると思われる.算定開始時の障壁として,その他に「集中治療室やリハ部/科の理解を得ること」も挙げられており,まずは算定を開始したい集中治療室との連携を強化する必要があると考える.なお,リハ部/科の協力が得られないことに関しては,早期離床加算が診療報酬上,入院料として算定されており,リハ部/科の実績に反映されないという問題点も考えられる.これは,集中治療室の患者に対して従来の疾患別リハ料で算定した場合はリハ部/科の収益として計算される施設が多いと思われるが,早期離床加算で算定した場合は各病床の入院料に加算という形で計算されるうえに,看護師等のリハ職以外も算定が可能なことから,リハ部/科の収益として計算がしにくくなる点が考えられる.これらも踏まえ,リハ部/科の理解を得る必要があると考える.

早期離床加算の課題・今後望むこと

早期離床加算の算定を開始したことで93.1%の施設にて業務量が増えたと回答し,68.9%の施設が早期離床加算の点数増大を求めていることが明らかとなった.また,早期離床加算の算定状況をみると,SCUとPICUが少なく,特にSCUにおいては今後の算定開始予定も無いことが分かった.SCUは対象疾患の都合上PT・OT・STの多職種で介入することが多く,疾患別リハ料で算定する方が算定可能な点数が高くなることが考えられる.早期離床加算は介入するリハ職種や回数に関係なく1患者につき1日500点のみの算定が可能である.一方,疾患別リハ料の1つである脳血管疾患リハ料Iを例にとると,急性期病院の多くはリハ職種が1日1単位(20分の実施)介入した場合,最大365点の算定が可能である.PT,OT,STが1単位ずつ介入した場合は単純に3倍の算定が可能となり,早期離床加算の算定を大きく上回ることになる.患者のアウトカムを良くするといった目的から見れば「早期離床加算」も「疾患別リハ料」も同じであるが,表1にまとめたようにより多くの職種で休日なども切れ間なく介入できるなど,早期離床加算での介入メリットも多数ある.早期離床加算を利用して,より多職種での頻回なリハビリテーション介入を施設内で展開するのであれば,介入回数や業務量に見合った加算点数の増大と算定可能日数の延長が望まれる.

加算点数増大の他に早期離床加算に今後望むこととしては,カンファレンスやスタッフに関する要項の緩和や施設基準の緩和がそれぞれ約20~35%程度認められた.加算点数増大の要望ほど多くはないものの,これらの要因により早期離床加算の算定を開始できない施設がある可能性も考えられる.一方,34.4%はPT・OT・STの専従化を算定要件として要望していた.高橋ら3は集中治療室に従事するうえでリハスタッフの質保証が重要であるとしており,現場の意見も同様ではないかと考えられる.

本アンケート調査の限界

本アンケート調査はJSEPTICのメーリングリストおよびFacebookの登録者を対象に実施した.このため,アンケート調査時点の登録者数は把握しているものの,双方に重複して登録している者や,同一施設に複数の登録者が存在している可能性が高いため,アンケート調査における母集団のサンプルサイズが把握できず,回収率を示すことができていない.次に,先のメーリングリストおよびsocial networking service(SNS)の登録者のみを対象とした調査であるため,日頃から集中治療に興味を持った施設が対象となる選択バイアスが生じていた可能性があり,早期離床加算の算定状況は過大評価されていることも考えられる.そして,1施設1回答で依頼したため,回答者が施設内のどのような立場(管理者,集中治療室専任/専従者,一般スタッフ)か不明である.さらに,リハ関連のメーリングリストおよびSNSではあるが,医師や看護師などリハ職種以外も参加は可能であり,実際にリハ職種が回答しているかは確認できていないため,早期離床加算の効果や課題などは現場の意見が正しく反映されていない可能性も考えられる.最後に,各回答に関しては病床ごとの集計が困難な点が挙げられる.これはアンケートのボリュームの都合上,病床ごとに分けての調査ができなかったためであり,複数の病床を有している施設も多い中で,回答がどの病床に対してのものか判別が困難なためである.

著者のCOI(conflicts of interest)開示

本論文発表内容に関して特に申告すべきものはない.

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