Japan Marketing Journal
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
Special Issue / Invited Peer-Reviewed Article
Formation of the Inbound Tourism Business Ecosystem:
The Role of Tour Operators in Hawaii
Chiharu Kashiwagi
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2020 Volume 39 Issue 4 Pages 30-41

Details
Abstract

ハワイでは,誰が,いかにして,日本市場向けの観光ビジネスエコシステムを形成していったのか。本論文では,この問いに応えるために,国際的なツアーオペレーターであるJTBハワイの行動に着目し,観光地経営の視座に立った事例研究を試みる。日本企業が,時代の変化に適応しながら,各種の観光関連事業者や地域コミュニティと共に日本市場向けの観光事業を発展させていく過程を追跡する。結論として,本研究は,JTBハワイの行動には,①経済的価値と社会的価値を共創しようとする2方向の形成過程があること,②独自の事業が地域全体の観光事業の基盤として拡大し,定着していったこと,③民間企業の生き残り策が公的サービス組織を生み出したことを提示する。

Translated Abstract

Who and what comprise the tourism business ecosystem for the Japanese tourism market in Hawaii? To answer this question, this paper focused on the behavior of an international tour operator (JTB Hawaii) and conducted a case study from the viewpoint of tourism management. We examined the process by which JTB Hawaii established their share of the Japanese tourism market by building various tourism-related businesses and supporting local communities, while simultaneously adapting to the changing times. This study suggests that JTB Hawaii’s actions included: (1) a bi-directional process that co-created economic and social values, (2) expansion to become a core tourism business for the entire region, and (3) implementation of survival measures as a private company by creating a public service organization.

I. 研究の背景と目的

1. 研究の背景

日本政府は,観光交流人口の拡大を地方創生の柱としている。その牽引役として期待されるのが,日本版DMO(Destination Management/Marketing Organization)である。2015年以降,政府が推奨する「地域の稼ぐ力を引き出す(Japan Tourism Agency, 2019c)」観光地経営組織(DMO)の数は,候補法人を含め252団体に達している(Japan Tourism Agency, 2019c)。

観光による地域が稼ぐ仕組みの構成員は,単一の企業や産業に留まらない。観光地では,地域固有の自然環境,文化的資源を核として集積した宿泊,観光施設,交通などの主要な観光事業者が,観光サービス提供を支える地域事業者や公的機関,住民など地域コミュニティの理解と協力を得ながら観光客をもてなすことで便益を得る。観光研究領域では,観光地における多様な構成員(観光事業者,観光客,地域資源,地域コミュニティなど)間の関係性に着目し,生態学上の概念である「生態系(エコシステム)」として捉えた観光地経営の必要性が唱えられている(Murphy, 1985)。

エコシステムの概念は,経営学研究領域においても「ビジネスエコシステム(Business Ecosystem: BE)」として援用されている。始まりは,Moore(1993/1993)が「企業を単一産業の一部ではなく,多様な産業にまたがる1つのBEの一部」と捉え,その生態系の中で,「異なる企業や業界と共に競争あるいは協力しながら,価値を生み出す」と論じたことに遡る。Murphy(1985)Moore(1993/1993)のエコシステム概念の援用には,異なる点がある。前者は,観光客を含む地域コミュニティ,地域資源,観光産業との「均衡」を重視しているのに対し,後者は,価値を享受する顧客を除き,価値を創出するために自らの資源を出し合い協働することで互いに便益を得ようとする集合体(BE)に着目している。日本版DMOが目指す観光地経営は,地域が稼ぐ仕組みを創造する「観光ビジネスエコシステム(Tourism Business Ecosystem: TBE)」の育成と,持続可能な観光地であるための観光事業者,観光客,地域資源,地域コミュニティで構成される観光地エコシステムの均衡の管理が要求される。

近年,BE概念を援用したイノベーション研究が蓄積されつつある。その研究対象の多くは,製造業やIoTプラットフォーム業など企業間関係においてモジュラー性の高い水平分業化された産業(Sugiyama & Takao, 2011)である。他方,観光サービスを対象とした研究は乏しく,加えて,BE形成過程(Eguchi & Senoo, 2015)や,生成段階のアプローチ不足(La, 2012)など,動態的側面を捉えきれていない(Sugiyama & Takao, 2011)。日本は今,観光を地方創生の柱とし,地域の稼ぐ力を引き出すDMOの確立を目指している。このような状況の中で,TBEを牽引する中核的なアクターに求められる資質や機能を整理し,TBE形成過程を明らかにしようとする研究は,DMOが,TBE育成方策の計画と実行を講じる際に参考となるだろう。

2. 研究の目的と方法

政府並びにDMOの注目する標的市場が,訪日外国人旅行者である。2003年から開始した政府による外国人誘客宣伝活動以降,2018年の訪日外国人旅行者数約3,120万人(Japan National Tourism Organization, n.d.),旅行消費額4兆5,200億円(Japan Tourism Agency, 2019b)と,市場規模は堅調に成長している。拡大基調は,地域にも広がりつつある。2018年の訪日外国人延べ宿泊者数は,過去最高の9,428万人泊に達し,その内,地方部1)での宿泊が4割を上回る結果となった(Japan Tourism Agency, 2019d)。今後,外国人旅行者による地域経済効果の創出には,「地域が稼ぐ仕組み」を創出するインバウンド観光ビジネスエコシステム(Inbound Tourism Business Ecosystem: ITBE)の形成が求められる。

本研究の目的は,誰が,いかにしてITBEを形成させたのかを知ることにある。中核的アクターによるITBE形成過程の理解は,DMOが,特定市場に対応したインバウンド観光事業を推進する際に,TBE形成の支援と観光事業者,観光客,地域資源,地域コミュニティとの関係性の均衡を保つ管理方策に活かすことができるだろう。

研究方法は,動的で経時的な変化の追跡が求められることから事例研究を採用した。研究対象には,国際的な観光地ハワイに所在する日本の大手ツアーオペレーター(Tour Operator: TO)2)JTBハワイを選定する。ハワイは,日本市場を観光産業の重要なターゲットとして成長させた観光地であり,地理的(海に四方を囲まれた島),文化的(特有の文化を保有),産業構造の基盤(農業から観光へと拡大)の点で,日本と類似した特徴を持っている。このような場に,日系TOの中で,いち早く進出したのがJTBハワイである。ITBE形成におけるTOの機能について2章に記すが,同社は,日本人の海外旅行市場開拓段階から現在に至るまで,ハワイにおいて日本人観光客が必要とする価値を届ける仕組み(価値システム)の開発や,商品サービスの提供を事業者と共に創造する先駆的企業である。したがって,JTBハワイの企業行動の変容に着目することは,ハワイにおける日本市場対応型ITBE形成の過程を知る上で有意義であると判断した。

なお,情報源には,公的機関や企業,研究者によって公式に発表された文書とインタビューから得られた口述記録を採用した。その際,複数の証拠源の利用,証拠の連鎖の維持,主要な情報提供者による事例研究レポートのレビューを行うこと(Yin, 1994)で,研究の妥当性の確保に努めた。

事例記述の前に,次章では,TBE形成の仕組みを確認した後,中核的アクターとしてのTOの機能について述べる。

II. TBE形成と牽引役としてのツアーオペレーター

1. TBE形成の仕組み

Sugiyama and Takao(2011)は,BEを「新しい価値創造の構想の実現に対し,人工物の開発や生産などによって貢献しようとするエージェントの集合体」と定義した。その際,「価値システムの構造」を価値システム,人工物(商品やサービス)システム,組織間システム(BE)の3層で表し,BEの境界が,顧客に価値を届けるシステムを起点に,人工物の開発,生産に必要な資源保有者を選択することによって規定されると述べている。つまり,価値システムの構造は,BE構成員の選択と範囲を規定しながらBEを形成していく仕組みとも言えるだろう。

Eguchi and Senoo(2015)の研究では,BE形成過程の枠組みとして価値システムの構造(Sugiyama & Takao, 2011)の各層を引用している。

1は,Sugiyama and Takao(2011)の概念図を基に,観光地における価値システムの構造(TBE形成の仕組み)として作成したものである。この図では,彼らがBEによる価値創造のための商品やサービスなどの開発や生産の仕組みを「人工物システム」と名付けていたのに対し,「資源システム」と読み替える。その意図は,観光地経営の観点から,観光商品の基礎単位として(非人工的創造物である)自然環境資源が存在すること(UNWTO, 2007),自然環境資源の有限性や制御不可能性といった人工的,人為的な操作の難しい性質を意識したことにある。

図1

観光地の価値システム構造(TBE形成の仕組み)

出所:Sugiyama and Takao(2011)の概念図を基に,筆者が作成したもの

本研究では,Eguchi and Senoo(2015)と同様に,図1で示した構造上の各層をTBE形成過程の枠組みとして,中核的アクター3)の行動を追跡する。

2. キーストーン種TOの事業特性:TBE形成に及ぼす正と負の側面

Moore(1993/1993)は,BE全体に恩恵をもたらし,変化に直面した際の生き残りの可能性を高めることのできる存在を生物学から引用して「キーストーン種」と呼称する。本研究では,BE形成を牽引するアクターを「キーストーン種」と名付け,その役割を担える有望な企業として,TOに着目する。以降,TOの事業特性とTBE形成との関わりについて述べる。

(1) サプライチェーンの管理機能

TOは,特定市場をターゲットとした観光のサプライチェーン(資源の発掘と調達,商品サービスの製造,販売までの一連の流れ)を独自に構築し,主導的な立場にある。こうしたTOの立場に期待する地域の観光関連事業者は,自社商品サービスの販売委託やパッケージツアーとしての商品化に積極的に関わろうとする。反面,大規模なTOが支配力を強めてしまうことによる観光関連事業者の交渉力の低下や,利己的な大量生産型商品開発による地域らしさの欠如が懸念される(Ammirato, Felicetti, & Gala, 2015)。

(2) 組み合わせ機能

収益原理の1つである範囲の経済を支えるのは,「組み合わせ」である(Kagono & Inoue, 2011)。組み合わせの利点には,顧客価値の増大,コスト削減や固定費の分散による効率性,情報や知識の多重利用などが挙げられる(Kagono & Inoue, 2011)。TOは,外部の資源の調達と調整を行いながら,それらを組み合わせ,独自の価値システムで顧客に価値を届ける事業を行う。

(3) 柔軟性の高さ

企業を取り巻く環境の不確実性に対抗する手段には,「外部性を進めて柔軟性を保つ」方法がある(Kagono & Inoue, 2011)。TOは,環境の変化に応じて,外部資源の発掘と提供を受け,価値システムに組み込む。TOには,自由に資源を取捨選択できるという点で,柔軟性の高い性質がある。反面,柔軟性が,利己的な行為を招く可能性もある。集客力の高い時は,資源保有者に対し増販体制へシフトするための仕入れ量を要求する。しかし,集客力に陰りが見え始めると,身勝手に切り捨てる可能性もある。

(4) 外来種としての存在

地域外部から参入する国際的TOは,言わば外来種のような存在である。TOは,本社のある国・地域市場でブランド力があり,顧客のニーズや行動特性にも熟知している。また,インバウンド特定市場をいち早く拡大させる強力な牽引役となり得る。しかし,外来種は,エコシステムや経済に重大な影響を与えることもある。支配者となった国際的TOは,観光地全体の持続可能な開発ではなく,当該地域での投資の見返りに,できるだけ迅速な利益の刈り取りを目指してしまう恐れがある。こうした行為が,許容量の超過,環境の悪化,社会的基盤への負荷,サービスの劣化を招き,持続的な観光地発展の障害になりかねない(Ammirato et al., 2015)。

以上,2章では,TBE形成の仕組みを示した後,キーストーン種としてのTOの正と負の側面を整理した。以降,3章では,日系TOの代表的企業であるJTBハワイの行動変容を追跡し,ITBE形成過程を検証する。4章では,本研究によって得られた結果から,理論的発見と実務上の示唆を述べる。

III. ハワイにおけるITBEの形成

1. ハワイ州の概要

ハワイ州は,1959年にアメリカ合衆国50州の中で最後に加盟した州である(Consulate General of Japan in Honolulu, 2019)。州の総面積は,16,634 km2(東京都の約7.6倍),142万491人(2018年7月1日現在)が暮らしている(Consulate General of Japan in Honolulu, 2019; State of Hawaii, 2019)。居住者の人種は,多様である。2018年の国勢調査(United States Census Bureau, 2018)によると,白人24.3%(34.6万人),ハワイアン系6.4%(9.1万人)に対し,アジア系(純粋)37.6%(53.4万人)であり,アジア系の中で,フィリピン系15.5%(22.0万人)の次に多いのが日系11.5%(16.3万人)である。その背景には,移民政策がある(Consulate General of Japan in Honolulu, 2019)。日本人の移民は,1868年から開始した。特に,1885年から1924年までの間,国や民間企業の斡旋による日本人移民者数は増え続け,1930年時点でハワイ州全人口の42.7%にまで上っていた(Consulate General of Japan in Honolulu, 2019)。契約期間終了後もハワイに定住した人が,現在の日系アメリカ人コミュニティを形成している。

この地の基幹産業は,観光である。州を構成する8つの島の内,6つの島が観光客を受け入れ,年間約1,000万人弱の来訪者が訪れる(State of Hawaii, 2019)。2018年の観光消費額は,約1.92兆円(1ドル110円換算),政府機関に次いで第2位の労働雇用創出(12万5,600人:全体の18.7%)をもたらしている(State of Hawaii, 2019)。ハワイを訪れるインバウンド観光客の中で圧倒的な割合を占めるのが,日本人である。Hawaii Tourism Authority(2019a)の2018年実績報告によると,航空機利用の来訪者9,761,488人の内,アメリカ本土西部4,203,894人(43.1%),アメリカ本土東部2,173,458人(22.3%)に次いで,日本は1,489,778人(15.3%)と3番目に多く,エリアで捉えた太平洋州(415,764人),その他のアジア(379,925人)の来訪者を上回る。

一方,日本人から見たハワイは,最も行ってみたい場所であり,他の国地域と比べて圧倒的な人気を安定的に維持している(JTB, 2019)。その人気は,憧れだけに留まらない。2018年実績によると,日本人が多く訪れた海外旅行訪問先順位では,韓国,中国,台湾,タイに次いで5位,海外旅行訪問先経験率1位(44.1%)であり,2回以上のハワイへの再来訪者数割合は,中国(77.0%),アメリカ本土(73.1%)に次いで3位(66.7%)であった(JTB, 2019)。中国とアメリカ本土は,ハワイと比べて業務出張目的の割合が高いことを考慮すれば,ハワイにおける「(義務ではない)観光旅行」の割合(80.2%)の高さ(JTB, 2019)もまた,日本人のハワイ人気を裏付ける側面と言えよう。

日本市場対応型の観光基盤が作られた主要素として,Sudo and Endo(2005)は,①ハワイのイメージ形成(映画,流行歌などのエンターテイメント,マスメディアの力),②可処分所得と余暇時間の増加を背景とした大衆観光消費者の出現,③技術の進歩(予約発券業務のシステム化)④旅行業界の組織化(パッケージツアー),⑤規制の強化と緩和を挙げている。2節では,彼らが要因の一つに挙げた④の代表企業であるJTBハワイの活動について記述する。

2. JTBハワイの活動

JTBは,日本の大手TOの中で初のハワイ進出と旅行団の送客を実現し,進出から56年目となる今もなお,観光事業に邁進している。ハワイ州が,JTBホノルル支店開設50周年を記念し,2014年10月1日を「JTB DAY」と制定したのも,これまでの貢献に対する評価と言えよう。

この節では,時代の変化の中で,JTBハワイがどのような課題に直面し,どのようにそれを乗り越えようとしたのか,実際に現場に携わった社員のインタビューを基に,3つの時代に区分し,その一例を紹介する。

(1) 団体旅行市場の開拓と拡大(1960年代後半~90年代)

海外旅行の自由化(1964年)は,個人旅行だけでなく団体旅行需要を拡大する絶好の機会であった。1970年代当時JTBホノルル支店(JTBハワイの前身)で団体手配マネージャーであった浅沼氏(元ホノルル支店長)は,「この時期は,ハワイにおいて日本のTOの力,特にホテルなどの手配力がなかった。しかし,ハワイに根付いていく実感はあった」とそう振り返る。1977年3月単月の個人旅行パッケージツアーと団体旅行の実績は,10,000人程度だったという。State of Hawaii(2019)の統計データによると,1977年の1日当たりの州外来訪者数は,平均7,053人であり,単純に30日で計算した1か月推計211,590人と比べると5%弱の扱いとなる。日本における海外旅行市場が未成熟期の実績数としてみれば,現地での仕入れ交渉と共に,日本側の営業担当社員の努力を窺い知ることができる。

1978年には,日本傷痍軍人会ハワイ大会の斡旋業務を受託する。その際,日本からの来訪500名とアメリカ元軍人との交流の機会が設定された。交流の実現には,日系二世の協力が欠かせなかった。ホノルル支店開設以降3人目の支店長は,「(事業を1つずつ実現するためには,)地域の中にしっかりと入っていく必要性がある」と浅沼氏に語っていた。

1980年代初期には,某企業の招待旅行を近畿日本ツーリスト(KNT)と協業で受託した。KNTの存在は,日本で競争相手でも,現地では協働するパートナーである。パートナーとは,互いに調整しながら情報共有することが不可欠であった。

1980年代後半から1990年代初めにかけて,団体旅行は民間企業を中心に1団体1,000人から2,000人規模へと大型化していた。しかし,バブル崩壊後,民間企業の海外旅行需要は,じわじわと冷え込んでいった。こうした中で,JTBホノルル支店は,新たなターゲットとして学生団体に目を向けた。日系人の移民の歴史や平和教育,英会話,異文化体験,スポーツアクティビティ,治安の良さ,温暖な気候などといったハワイの特性は,修学旅行に適したコンテンツとなる。早速,ホノルル日本人商工会議所とハワイ州産業経済開発観光局と共に誘致活動を開始する。商工会議所会員の観光産業比率は,そう高いわけではない4)。それにも関わらず,商工会議所が協力したのは,「学生達が再びハワイへ来訪する時に,ビジネス機会を生む期待があった」と浅沼氏は振り返る。日本側の営業活動には,JTB各支店の教育旅行営業担当者の協力を得ながら進められた。

このような団体旅行対応型の事業は,日本全国の支店に所属する営業担当者が営業及び企画,添乗を担当し,ハワイでは仕入れ・斡旋を担当するという顧客の送りと受けの仕組みを構築している。その際,受け地側では,空港や主要なホテルにJTB団体旅行専用カウンターを設置するなど,顧客の利便性と関係機関の負担軽減を考えた対応を行っている。

(2) 大量消費型観光の終焉―生産者志向型から顧客志向型パッケージツアーへの転換(1990年代)

大手TOが,海外旅行へ行く手段として「パッケージツアー」を主力とする中で,「(海外輸入航空券を使った)格安航空券」の販売で旅行業界に参入してきたのが,H.I.Sである(H.I.S, n.d.)。当時のH.I.Sのビジネスモデルは,若者や旅慣れた人々のニーズを満たす新たな旅の手段を提案した。同時に,国内の航空業界や既存の旅行業界にも大きな変化をもたらした。政府は,日本の航空会社の裁量に任せた柔軟な価格設定を認め,1994年4月より1名から適用可能な個人旅行向け新運賃制度導入に踏み切った(Ministry of Land, Infrastructure and Transportation, 2003)。旅慣れた顧客が増えていく中で,航空会社は,IT技術を使った独自の予約システムやマイレージプログラム導入を開始し,旅行会社を介さずに予約決済のできる環境を整えていった(ANA, n.d.; JAL, n.d.)。

このような状況の中で,JTBは,パッケージツアー離れの要因を徹底的に分析した5)。結果,従来のようなTOの効率性を重視したシステムを大きく見直し,より自由な行動を望む顧客に応える新たなシステムへと転換させた。それが,1995年から開始した「オリオリシステム」である。新たな商品には,「お客様が自由であること,安心したパッケージツアーであること,快適であること」とする「LOOK宣言」が掲げられた。現地では,新しい商品へと変革するために,各観光関連事業者と粘り強い交渉をしている。ここでは,その一例を示す。

① 2次交通対策(オリオリトロリーやバスの充実)

JTBの観光客は,滞在中,食事,観光,買い物の移動手段としてオリオリトロリーやバスを無料で利用できる。これらは,8分から10分間隔で運行し,観光客の移動をより一層便利にした。日本人観光客向け交通システムの導入は,観光関連事業者ネットワークの拡大や市民生活にも良い効果をもたらしている。導入前の日本人観光客の滞在は,ワイキキビーチ周辺のホテルに集中していた。しかし,導入による利便性の向上と行動範囲の拡大によって,ワイキキビーチから離れたホテルを使ったパッケージツアーの企画がしやすくなった。結果,JTBは,受入可能な客室数を増やす一方で,新規契約先ホテル及び周辺の商業施設や飲食店も,売り上げに繋がるビジネス機会を得ている。さらに,日本人観光客の公共バス利用を大幅に減らし,市民の暮らしに対する負荷を軽減した。

② サービス品質の向上(オリオリタクシー)

一般のタクシーは,とても古く,乗車に不安を感じる声が多かった。そこで,一定の条件(車体は5年以内のもの,ユニフォームの着用,領収書の発行,日本語のできる配車係をつけること)を満たすタクシーをオリオリタクシーとした。

③ サービス提供プロセスの改善(宿泊施設)

ハワイの商慣習では,客室清掃係が,通常12時頃に出勤し,清掃後の15時以降にチェックイン時間を設定していた。そのため,日本を夜の時間帯に出発し,ハワイに早朝到着する観光客は,長時間の飛行から解放されても15時までチェックインできない。そこで,JTBは,日本人観光客が航空機の出発する午前便に合わせて早朝にチェックアウトする事実を伝え,朝から清掃可能であることをホテル側に提案した。約5年の交渉の末,日本人観光客の12時チェックインを実現させた。

④ サービス提供プロセスの改善(ストレスフリーな空港送迎と初日昼食の変更)

従来のパッケージツアーでは,空港から市内に向かう際,入国審査を終えて全ての観光客が揃ってから一度に輸送する効率性重視のシステムを運用していた。また,ホテルチェックイン時間までの間,本人が望まなくても市内観光と量の多いランチビュッフェに付き合わなければならなかった。オリオリシステムでは,空港で他の人を待たずに空港送迎手段(専用シャトルバスもしくはオリオリタクシー)が選択でき,昼食もアロハタワーにある4か所のレストランで24種類のメニューの中から選択できる食事券を配布する形に変更した。また,食事券は当日だけでなく滞在中好きな時間に使えるようにした。

(3) コミュニティ・リレーションズの強化(1990年代半ば~)6)

毎年3月に開催される日本とハワイの文化交流イベント「ホノルルフェスティバル」は,2019年で25周年を迎えた。今や,ハワイ州認定の「レガシーイベント」となり,その内容も日本の文化芸能団体の旅行機会の創出を狙ったイベントから,地域コミュニティや国際社会に対する公益性の高いイベントへと転換している。桑原氏(元JTBハワイ取締役)は,初開催に向けた企画の段階から「単に神輿を地元の人に担がせるような内容ではなく,文化交流を核としたい」と考えていた。州政府始め関係機関との交渉を開始して約3年後の1995年に,第一回目が開催された。イベントでは,日本各地から来た文化芸能団体が,大通りや集客力のある施設会場に分散して演技を披露した。その際,衣装や道具など現地調達の必要な場合でも,できる限り現物に近い形で再現するための努力を惜しまない。例えば,笠間稲荷神社の流鏑馬では,人通りの多いアウアヒ通りを通行止めにし,馬を走らせ弓をひくといった許可取りの難しい企画でも,粘り強く交渉し実現させている。イベントは,日本の文化芸能団体にとって,独自の文化芸能を世界へ発信できるだけでなく,活動自体に誇りを感じる機会である。一方,ホノルル市民にとっても,日本の文化芸能に触れる貴重な体験の場を創出した。

節目は,1997年に訪れる。イベントは,すでに3年目を迎えていた。ハワイでは,州最大の祭りとなり,地元の人が心待ちにするイベントへと成長していた。また,州教育局が,教育的価値を評価し,この年から州の教育プログラムとして組み込んでいる。ちょうどその頃,社内では,費用のかかるイベントを廃止する声もでていた。しかし,JTBハワイの最終的な判断は「もはや1企業のおもちゃで終わってしまうようなイベントではない。継続する道を考えるべきである」と,財団法人化を模索する。結果,2000年には,「ホノルルフェスティバル財団」とコミュニティの教育支援や文化財の保護などを行う「Good will7)財団」を設立させている。現在のホノルルフェスティバルでは,JTBは1スポンサーにすぎず,JTB以外の企業もメンバーに入っている。また,イベントの内容も日本文化だけでなく世界各国の文化を紹介する国際的なイベントへと進化し続けている。

3. ITBE形成におけるJTBハワイの役割

前節の事例から発見した事象を以下にまとめる。

(1) 生き残り行動がもたらす外部経済効果

JTBハワイが,競争優位性と事業の維持,拡大のための価値システムの開発と改変を行う過程で創出した産物は,日本市場向け観光事業の基盤として定着し,サービス品質の向上など経済的効果に寄与している。具体的には,観光客向け交通システム,外国語対応ツール(食事券を始め,ホテルチェックインや免税店での買い物時に旅券,航空券代わりに提示する顧客情報カードなど)が観光事業の基盤となり,オリオリタクシー導入や,ホテルのチェックイン時間の改善などがサービス品質の向上策として挙げられる。また,JTBハワイは,持続可能な地域コミュニティ向けサービスを提供するために財団法人2団体を設立した。このような行動は,社会的効果をもたらしている。

(2) JTBハワイによるITBE形成

2は,外来種(外資系企業の参入)であるJTBハワイによるITBE形成の過程を表している。

図2

JTBハワイによるITBE形成過程

出所:Eguchi and Senoo(2015)によるBE形成過程の図を参考に筆者作成

以下,その特徴を述べる。

① 価値システム起点の流れ

JTBは,海外旅行の自由化(1964年)の5年前から海外旅行企画商品(日本国内金融機関と連携した海外積立旅行やパッケージツアー)販売体制の構築といった価値システムの開発に取り組んでいた(JTB 100 shunenjigyo suishiniinkai, 2012)。そして,自由化の年にハワイへ支店を設け,パッケージツアーの企画や仕様に沿った商品サービス開発のために,資源保有者であるアクターとの関係構築(組織間システムの形成)に努めた。この組織間システムには,日本では競合関係にある企業も含まれる。互いに同一業界の中で競争しながらも,日本市場拡大のための情報交換や大きな事業を共同で斡旋する。

このように,JTBが独自の事業確立に向けた行動をとる時には,価値システムを起点に,仕様・企画に則った資源システムの開発を手掛け,資源を調達するための組織間システムを形成している。

② 組織間システム起点の流れ

文化交流イベントの実現に向けて,JTBハワイが着手したのは,州政府を始め公共団体,地元企業との交渉と協力要請であった。このように,まずは「組織間システム」を構築した上で,イベントで披露する「資源システム」を編集しながら「価値システム(イベント)」を作り上げている。

③ 2WAYの流れが生み出す新たな公益

JTBハワイは,文化交流イベント独自のBEを形成する過程で,[1]継続の危機,[2]政府からの評価,[3]地域コミュニティからの評価に直面し,自成しようとした結果,新たな公的サービス組織を生み出している。その後も,新たな組織が,価値システムを使ったサービスを提供する中で,公益性の高い組織間システム8)を築いている。

上述の通り,JTBハワイは,価値システム起点だけでなく組織間システム起点の2WAYで事業推進することで,持続的で堅牢なBEを形成している。このエコシステムが,市場開拓のための駆動力となり,自社の創り上げた組織間システムは経済的循環を,財団法人とその活動を支える組織間システムは社会的循環をもたらす役割を担う。この2種の組織間システム同士もまた互いに影響し合いながら,ハワイにおけるITBEは進化し続けている。

IV. 討議と結論

本研究は,BE概念を用いた既存研究上,開拓の余地のあるBE形成過程について,観光地経営の視座から捉えている。観光地経営方式は,国並びに各地域が強い関心を寄せているものの,未だ手探りの状態にある。そこで,本研究では,日本同様に海に囲まれたハワイにおいて,今もなお日本市場の維持,拡大を図るTO(JTBハワイ)が,キーストーン種としてITBE形成に影響を及ぼしながら地域に根付いていく行動変容を探索した。「誰が,どのような機能を活かして,どのようにITBEは形成されるのか」といった過程を知ることは,インバウンド誘客を目指す地域のDMOが,持続的な観光イノベーションをもたらすBEの育成と共に,地域内の観光事業者,地域コミュニティ,地域資源と観光客との間の均衡を図る管理方策の検討に活かせるであろう。以下,本研究から得られた理論的な発見と実務的な示唆を述べる。

1. 理論的な発見

(1) 2WAYの進行が,持続的で堅牢性のあるTBEを形成する

JTBハワイによるTBE形成では,日本人観光客が効率的かつ不便を感じずに海外旅行へ行くための予約販売サービスの仕組みづくりといった価値システムの構築から始める場合と,地域におけるコミュニティ内の団体や行政等との関係づくり強化といった組織間システムの構築から始める場合の2WAYで進められている。2WAYの事業推進により,外来種であるキーストーン種は,地域コミュニティや地域資源に悪影響を及ぼすことなく地域に根付いていったと考える。この現象は,Eguchi and Senoo(2015)による半導体メーカーとペット向け保険会社の比較事例研究では,(非観光領域の)BE形成過程が1WAYの事業推進を通じて進むものと捉えていた点と異なる。

(2) キーストーン種の自成が新たな公益を生むことがある

本研究は,キーストーン種が,TBE形成過程において,自社のビジネスと地域コミュニティや地域資源との均衡を図るために,公的サービス提供に向けた新たな組織化,資源システム,価値システムの改変を行うことを確認した。この行動は,経済活動と社会貢献活動という2面性を備えたまま,継続的に事業を推進するための防衛策であり,キーストーン種としての存在意義を示す強化策でもある。

2. 実務的な示唆

(1) ターゲット市場対応のTOがキーストーンになりうる

観光活動の成熟化やデジタル時代の発展に伴い,TOによるパッケージツアーの販売力は弱まっている。こうした状況の中でも,日本人のハワイ旅行パッケージツアー利用率は,いまだに高い(JTB, 2019)。日本においても,インバウンド観光誘客を図る方策として,特定市場に対応したTOもしくはTO同様の組み合わせ機能(範囲の経済)と販売ネットワーク機能(規模の経済)を有する民間事業者の誘致,活動支援,地域内事業者と協働する機会の創出が,実質的なITBE形成に有効と考える。中でも,旅行会社等が企画した団体ツアーや個人旅行パッケージツアー利用率の高いベトナム(41.3%),中国(39.6%),台湾(39.5%)市場の開拓には,期待できる方策となるだろう(Japan Tourism Agency, 2019a)。

(2) 外来種TOによるITBE形成には,地域の有力者や在日外国人を味方につける

ハワイの事例では,日本市場向けのITBE形成の初期あるいは改変段階で,組織間システム形成の支援者となったのが,日系人や在ハワイ日本人であった。彼らの有する人的ネットワークや情報などの資源提供がなければ,商慣習や文化的背景の異なる地で事業を根付かせ,発展させることはできなかった。このことから,今後,ITBE形成の促進と管理の役割を期待されるDMOは,地域の有力者の理解と在日外国人コミュニティに地域の魅力を伝え,応援してもらえる関係づくりにもっと目を向ける必要があるだろう。

(3) 個人レベルの地域愛着とコミュニティとの密接な関係が,TBE形成の基本となる

今回の調査対象者には,①個人レベルでも地域コミュニティに深くかかわり,家族的な人間関係を築く,②地域愛着がある,③政府,DMO,事業者との積極的なコミュニケーションと連携を心がける,④イベント運営やプロモーションなど「一緒にやる」経験が仲間意識を高めている,といった共通した行動や思いが存在する。DMOは,地域内で働く人々にも,地域コミュニティとの接触と「一緒にやる」機会を提供することで,盤石なTBEのネットワークを築くことができるだろう。

3. 本研究の限界

本研究は,単一事例を対象としているため,一般化可能性の問題が残っている。今後は,複数の事例研究を重ねることで,更なる検証が必要である。

謝辞

株式会社JTB広報室並びに浅沼様(元JTBホノルル支店長),辻野様(元JTBハワイ代表取締役),今岡様(元JTBハワイ部長),桑原様(元JTBハワイ取締役),鈴木様(JTBハワイスペシャリスト兼ホノルルフェスティバル財団事務局主事),梶原様(JTB海外仕入商品事業部部長)には,大変お忙しい中,本調査のご協力をいただいた。改めて皆様に感謝を申し添える。

付記

本研究は,JSP科研費(課題番号:18H00910)研究助成による成果の一部である。

1)  三大都市圏以外(東京,神奈川,千葉,埼玉,愛知,大阪,京都,兵庫)の都道府県を指す。

2)  TOとは,企画に基づいて海外旅行先のホテルやレストラン,交通手段などの予約手配を行い,パッケージツアーなどの旅行商品として販売を行う会社のことである(JTB Tourism Research & Consulting Co., n.d.)。

3)  本研究では,BE構成員を「エージェント(Sugiyama & Takao, 2011)」ではなく「アクター」とした。観光領域におけるエージェントは,代理業のような民間事業者を想起させやすいことと,TBE構成員として民間事業者だけなく,公的機関や住民も含まれることを理由に変更した。

4)  浅沼氏によると「ホノルル日本人商工会議所は,弁護士,銀行,不動産業など日系人中心のビジネス従事者のトップが多く参加する団体である。JAL,JTBは長年の会員ではあるが,旅行業界の比率は極めて低かったと記憶している。JTBとしては,団体旅行の営業と斡旋業務のいずれにおいても大切な団体であり,地元に根を下ろすための社会貢献の上からもこのような「ローカル」日系人の重鎮たちとの関係構築は重要である」と述べている。

5)  以降の記述は,JTB関係者インタビュー(実施日:2018年7月20日,2018年9月18日,2019年3月11日,12日)記録とJTB Hawaii Travel, LLC.(2015).「Oli Oliハワイ.com」『JTB Hawaii Travel, LLC』.(https://www.oliolihawaii.com/)(December 19, 2019)掲載情報を参照した。

6)  JTB関係者インタビュー(実施日:2019年3月11日,12日)記録とHonolulu Festival Foundation(n.d.).「Honolulu Festival」『Honolulu Festival Foundation』.(https://www.honolulufestival.com/ja/)(December 19, 2019)掲載情報を参照した。

7)  1983年設立の「PanPacific Goodwill財団」を,事業内容の一つであった「チャリティゴルフ大会」の発展的解消をきっかけに,名称変更して新たに設立された団体。文化,教育,チャリティ,若者の交流による日布間の良好な関係づくりやハワイにおける文化遺産の保全などを目的としている。

8)  例えば,文化交流イベント運営ボランティアスタッフ(日本の現役大学生がゼミ活動や講義の一環で参加),州内や他の国・地域の文化団体(イベント参加者),州内の小中学校(教育プログラムの参加)などが挙げられる。

柏木 千春(かしわぎ ちはる)

流通科学大学人間社会学部観光学科教授。著書に,『観光地の交通需要マネジメント価値共創に向けた協働のネットワーク』単著,碩学舎2018年,『観光地域づくりの教科書』共著,大正大学出版会2017年,『1からの観光事業論』編者,碩学舎2016年,等ある。

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