Japan Marketing Journal
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
Review Article / Invited Peer-Reviewed Article
Marketing Communication with Online Characters:
A Focus on the Effect of Avatars
Yuumi Ogura
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JOURNAL OPEN ACCESS FULL-TEXT HTML

2022 Volume 42 Issue 1 Pages 65-72

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Abstract

オンラインショッピングを利用する消費者の増加に伴い,多くのオンライン通販サイトや仮想空間では,消費者の購買をサポートするためにアバターが活用されている。アバターは,消費者のオンラインショッピング経験を高める効果を発揮することが示されており,企業がウェブサイトの運営を成功させるために重要な存在であると言える。しかし,アバターに対する実務的な重要性が高まっているにもかかわらず,アバターに関する研究知見は整理されておらず,アバターに対する体系的な理解は得られていない。そこで,本論では,アバターに関する既存研究を(1)アバターの存在による効果,(2)アバターのデザインによる効果,(3)アバターのコミュニケーションによる効果という3つのテーマに基づいて分類し,それぞれの研究潮流を概観する。また,今後の研究課題として,(1)調整変数の検討,(2)ソーシャルメディアにおけるアバターへの着目,(3)さらなるアバターのデザイン要因の考慮(4)アバターのデザインによる効果とコミュニケーションによる効果の同時的な検討を指摘する。

Translated Abstract

As more consumers shop online, avatars are being used to support consumer purchase behavior in many online shopping sites and virtual worlds. Previous studies have suggested that avatars have positive effects on consumers’ online shopping experience and are important for the successful operation of a website. Despite their increasing importance, findings from previous studies have not been organized to provide a systematic understanding of avatars. Therefore, in this paper, previous research on avatars is reviewed in terms of the effects of (1) the existence of avatars, (2) avatar design, and (3) avatar communication. Based on this review, this paper suggests that future research should (1) examine new moderation variables, (2) focus on avatars in social media, (3) examine new avatar design factors, and (4) simultaneously examine the effects of avatar design and communication.

I. はじめに

消費者が実店舗ではなくインターネット上で買い物をするようになって久しい。現在では,低価格の日用品から高価格の自動車まで,あらゆる製品・サービスをオンライン通販サイトや企業の直販サイトなどで購買することが可能である。そうしたウェブサイトにおいて,消費者の購買意思決定を助けるために,オンラインキャラクターが活用されている(Prendinger & Ishizuka, 2004)。このようなキャラクターは,アバターと呼ばれる。アバターとは,仮想空間やオンラインゲームなどに登場するユーザーの分身のことであり(Hemp, 2006; Piyathasanan, Mathine, Wetzels, Patterson, & de Ruyter, 2015),コンピューターテクノロジーによって擬人化され,かつ,視覚的に表現された存在である(Holzwarth, Janiszewski, & Neumann, 2006)。最近では,多くの企業がセールスパーソンやカスタマーサービスの役割を担うアバターを活用して,自社のウェブサイト上でオンラインショッピングを行う消費者に対応している(Holzwarth et al., 2006; Keeling, McGoldrick, & Beatty, 2010; Moon, Kim, Choi, & Sung, 2013; Wang & Fodness, 2010)。

企業が自社のウェブサイト上でアバターを活用する利点として,大きく2つ挙げられる。第1に,製品情報を効率的に伝達することができる点である(Beldad, Hegner, & Hoppen, 2016; Jin & Bolebruch, 2009; McGoldrick, Keeling, & Beatty, 2008; Qiu & Benbasat, 2005, 2009)。すなわち,アバターを活用しなければ,企業は消費者に製品情報を文字だけで伝達しなければならない一方,アバターを活用すれば,あたかも販売員が語り掛けるかのように製品情報を分かりやすく伝達することができる。第2に,消費者の製品態度やブランド態度(e.g., Holzwarth et al., 2006; McGoldrick et al., 2008),購買意図(e.g., Holzwarth et al., 2006; Moon et al., 2013),およびウェブサイトに対する満足感(e.g., Hemp, 2006; Wood, Solomon, & Englis, 2005)を効果的に高めることができる点である。すなわち,アバターを活用しなければ,企業は自社のブランドやウェブサイトに対する好ましい反応を消費者から得にくい一方,アバターを活用すれば,ウェブサイトを訪れた消費者が製品やサービスを購買する可能性を高めやすい。このように,アバターは消費者のウェブサイトに対する評価や購買行動に好ましい効果をもたらすと考えられる。

アバターが多くのウェブサイトで活用され,実務的な重要性が増していることを背景として,アバターの効果を検討する学術研究が2000年代以降急速に増加している。しかしながら,アバターに関する研究知見をまとめたレビュー論文は存在しておらず,企業がアバターを有効に活用する方法についての体系的な理解は得られていない。そのため,最近20年のアバター研究の知見を整理するとともに,今後の研究によって取り組まれるべき課題を議論する必要性は高いと考えられる。そこで,本論では,アバターに関する既存研究を,(1)アバターの存在による効果,(2)アバターのデザインによる効果,(3)アバターのコミュニケーションによる効果という3つのテーマに基づいて整理し,それぞれのテーマの研究潮流を概観する。その結果として,今後の研究課題を提示する。

II. アバターの存在による効果

アバターに関する既存研究の多くは,オンライン環境におけるアバターの存在が消費者の購買意思決定に正の効果をもたらすと主張している(e.g., Holzwarth et al., 2006; Lin, Doong, & Eisingerich, 2021; Wang, Baker, Wagner, & Wakefield, 2007)。それらの主張の根拠として,消費者は,実店舗における販売員と同様に,ウェブサイトにおけるアバターとも相互的なコミュニケーションを行うことが可能であるということが考察されている(e.g., Isbister & Nass, 2000; Moon, 2000, 2003; Reeves & Nass, 1996)。

アバターの存在の効果を検討した代表的な研究として,Holzwarth et al.(2006)が挙げられる。彼らは,ウェブサイト上のアバターが消費者の購買プロセスに対してどのような影響を及ぼすのかを検討した。実験では,レジャーシューズをカスタマイズするウェブサイトを使用して,アバターが存在する場合と存在しない場合を比較した。実験の結果,アバターの存在は,当該ウェブサイトに対して知覚するエンターテインメント価値と情報価値を媒介して,消費者の小売業者への満足感,製品態度,および購買意図を高めるということが示された。

続いて,Wang et al.(2007)は,旅行予約を行うウェブサイトを用いて,アバターの存在が消費者のウェブサイトへの愛顧意図に正の影響を及ぼすということを見出した。ただし,ウェブサイトへの愛顧意図とは,消費者が当該ウェブサイトを使用したり,当該ウェブサイトの使用を友人や知人に薦めたりする程度を意味する。また,アバターの存在とウェブサイトへの愛顧意図の関係は,消費者のウェブサイトに対する社会性知覚によって媒介されるということが見出された。ただし,ウェブサイトに対する社会性知覚とは,当該ウェブサイトがあたかも生身の人間のように閲覧するユーザーと関わり合おうとしていると消費者が知覚する程度を意味する。

アバターの存在の効果に関する最新研究として,Lin et al.(2021)は注目に値するだろう。彼らは,ウェブサイトが推奨する製品と当該製品に関するカスタマーレビューの評価が対立する状況において,アバターが果たす役割を検討した。そもそも既存研究によって,ウェブサイトが推奨する製品とカスタマーレビューの評価の対立は,消費者が知覚するウェブサイトに対する信頼性,および,推奨された製品の購買意図に負の影響を及ぼすということが報告されている(Pavlou, Liang, & Xue, 2007)。Lin et al.(2021)は,ウェブサイトが推奨する製品とカスタマーレビューの評価の対立による負の影響がウェブサイト上のアバターの存在によって緩和されるということを示した。具体的に,ウェブサイトが推奨する製品とカスタマーレビューの評価が対立しているとき,ウェブサイト上でアバターが製品を推奨する場合の方が,ウェブサイト上で推奨製品が単に提示される場合より,消費者は当該ウェブサイトに対する信頼性とアバターに推奨された製品の購買意図が高いということが見出された。加えて,アバターの可愛らしさの水準が低い場合の方が,可愛らしさの水準が高い場合に比べて,ウェブサイトが推奨する製品とカスタマーレビューの評価の対立が及ぼす負の影響がより大きく緩和されるということも示された。アバターの存在による効果を検討した既存研究の概要は表1に要約される通りである。

表1

アバターの存在による効果に関する研究

III. アバターのデザインによる効果

1. アバターの人間らしい見た目の正の効果

複数の研究によって,アバターの存在による正の効果が示されたのち,後続の研究では,アバターのいかなる外見的特徴が消費者のアバターに対する評価や購買意図に好ましい影響を及ぼすのかが検討された。それらの研究は,アバターの外見的特徴として,アバターの外見から知覚される専門性と身体的魅力に着目した(e.g., Holzwarth et al., 2006; Liew & Tan, 2018)。例えば,Liew and Tan(2018)は,アバターの専門性が消費者の購買意図に及ぼす影響を検討した。具体的に,彼らはアバターの専門性を衣服の種類(スーツ/普段着)によって操作した。すなわち,ヘアスタイリング機材,医療機器,カメラ,洗濯機の4種類の製品カテゴリーを対象として,各カテゴリーのオンライン通販サイト上に,スーツを着用したアバターか,普段着を着用したアバターのどちらかを登場させ,両者を比較する実験を行った。実験の結果,専門性が高いアバターは,専門性が低いアバターと比較して,消費者の購買意図をより高めるということが示された。

さらに,アバターのデザインが,アバターの身体的魅力を左右するということが報告されている(e.g., Jin & Bolebruch, 2009; Mull, Wyss, Moon, & Lee, 2015)。具体的に,Jin and Bolebruch(2009)は,人間型のアバターと動物型のアバターを比較検討した。結果として,人間型のアバターの方が,動物型のアバターよりも,身体的魅力が高く知覚され,そのアバターが発する広告メッセージの情報価値も高く知覚されるということが示された。さらに,Mull et al.(2015)によると,人間型のアバターは,動物型のアバター,妖精型のアバター,および,ヒューマノイド型のアバターよりも,身体的魅力,信憑性,および,同質性が高く知覚されるということが報告された。加えて,彼らは,人間型のアバターは,他の種類のアバターよりも,消費者のアバターとの相互作用意図が高いということを示した。すなわち,消費者は,人間型のアバターと積極的にコミュニケーションを行って交流しようとするということが示唆された。

人間型のアバターに着目したLuo, McGoldrick, Beatty, and Keeling(2006)は,アバターのデザインの効果におけるアバターの性別の役割を検討した。彼らは,アバターを人間らしい見た目にするデザインの効果は,そのアバターの性別によって異なるということを見出した。すなわち,人間らしい見た目にデザインされたアバターが女性である場合よりも,男性である場合のほうが,消費者が知覚するアバターへの好感,信頼性,および適切性は高かった。

2. アバターの人間らしい見た目の負の効果

Luo et al.(2006)のように,人間型のアバターの人間らしい見た目の正の効果を示す研究が存在する一方で,異常なほど人間らしくデザインされたアバターの負の効果を見出した研究も存在する(Gammoh, Jiménez, & Wergin, 2018; Shin, Kim, & Biocca, 2019; Tinwell, Nabi, & Charlton, 2013)。それらの研究の多くは,不気味の谷現象に着目している。不気味の谷現象とは,生身の人間のような見た目をした非人間の対象物に対して,消費者が不気味さを知覚することである(Mori, 1970)。Tinwell et al.(2013)は,アバターに対して不気味の谷現象が生起するメカニズムを探究した。結果として,アバターのまぶた,眉,あるいは額といった顔の上部の動きが欠如することで,アバターに対するサイコパス性を高く知覚して,それゆえ,消費者はアバターに対して不気味さを知覚するということが示された。

さらに,Shin et al.(2019)は,異常なほど人間らしくデザインされたアバターが消費者の情報処理にどのような影響を及ぼすのかを検討した。具体的に,極限まで人間に似せてデザインされたアバターと漫画風にデザインされたアバターの間で,消費者の情報処理量がどのように異なるのかを比較検討した。実験の結果,極限まで人間に似せてデザインされたアバターの場合,漫画風にデザインされたアバターの場合と比べて,不気味さの知覚を介して,消費者は情報処理をしにくくなるため,アバターの性格を正確に判断できなくなるということが見出された。したがって,異常に人間らしい見た目のアバターは消費者の意思決定に負の影響を及ぼすと言いうるだろう。

Gammoh et al.(2018)は,消費者の製品知識を考慮に入れて,人間らしくデザインされたアバターが消費者の広告態度や購買意図に及ぼす影響を検討した。具体的に,人間らしくデザインされたアバターが登場する広告と,生身の人間が登場する広告を比較した。実験の結果,アバターが登場する広告の方が,生身の人間が登場する広告よりも,製品知識が少ない消費者の広告態度と購買意図は低かった。一方,アバターが登場する広告と人間が登場する広告の間で,製品知識が多い消費者の広告態度と購買意図に違いは認められなかった。すなわち,製品知識が少ない消費者の場合,アバターの人間らしい見た目の負の効果が大きいということが示唆された。

3. アバターのカスタマイズの効果

アバターの特徴の1つとして,ユーザーである消費者がアバターの見た目をカスタマイズして,好みの見た目のアバターをデザインできることが挙げられる。こうしたアバターのデザインのカスタマイゼーションに着目した研究がいくつか存在する(e.g., Hanus & Fox, 2015, 2017)。Hanus and Fox(2015)は,仮想空間に存在するセールスパーソン・アバターのデザインのカスタマイゼーションが,消費者のブランド態度に及ぼす影響を検討した。エナジードリンクを対象製品として用いた実験の結果,アバターの服装,顔のパーツ,髪型,および髪の毛の色をカスタマイズした消費者は,それらをカスタマイズしなかった消費者よりも,仮想空間内でアバターに宣伝されたブランドに対する態度が高いということが見出された。

続いて,Hanus and Fox(2017)は,カスタマイズ可能なアバターのデザイン要素の数が消費者の製品評価にどのような影響を及ぼすのかを検討した。バックパックの防水カバーを対象製品として用いた実験では,アバターのデザインを全くカスタマイズできない状況,アバターの顔のパーツ,髪型,あるいは,めがねや帽子などのアクセサリーのいずれか1つをカスタマイズできる状況,および,それら全ての要素をカスタマイズできる状況を比較した。実験の結果,カスタマイズ可能なアバターのデザイン要素が多いほど,そのアバターに対するアイデンティティ知覚とコントロール感が高くなり,それゆえ,消費者がアバターに宣伝された製品を好意的に評価するということが示された。なお,アバターのデザインによる効果に関連した一連の既存研究は表2に要約される通りである。

表2

アバターのデザインよる効果に関する研究

IV. アバターのコミュニケーションによる効果

アバターの外見的特徴ないしデザインの効果に関する研究と並行して,アバターのコミュニケーション形式の効果に関する研究が展開された(e.g., Keeling et al., 2010; Moon et al., 2013)。例えば,Keeling et al.(2010)は,アバターのコミュニケーション形式を,売上達成のために高い能力と専門性を発揮するタスク志向形式と,消費者から友好的で親しみやすいと感じられるように振る舞うことを目指す社会志向形式の2種類に分類した。そのうえで,2種類のアバターのコミュニケーション形式が消費者のウェブサイトに対する信頼性と愛顧意図にどのような影響を与えるのかを検討した。実験の結果,タスク志向形式と社会志向形式のコミュニケーションのどちらも,ウェブサイトに対する信頼性と愛顧意図を高めるということが見出された。さらに,本などの探索財をウェブサイト上で販売する場合には,タスク志向形式のコミュニケーションが,旅行保険などの信用財をウェブサイト上で販売する場合には,社会志向形式のコミュニケーションが効果的であるということが示された。

また,Moon et al.(2013)は,セカンドライフというインターネット上の仮想空間を用いて,消費者自身のアバター,セールスパーソンのアバター,および他の消費者のアバターの三者が同時に相互的なコミュニケーションを行える状況を考慮した。彼らは,仮想空間上のアパレル店において,消費者自身のアバターが,セールスパーソンと他の消費者のアバターの二者と同時にコミュニケーションを行う場合,セールスパーソンと他の消費者のどちらか一方のアバターとしかコミュニケーションを取らない場合,どちらのアバターともコミュニケーションを取らない場合という3つの状況を比較検討した。実験の結果,消費者自身のアバターが,セールスパーソンと他の消費者のアバターの二者と同時にコミュニケーションを行う場合,対象店舗での購買意図が最も高いということが示された。アバターのコミュニケーションによる効果を検討した既存研究の概要は表3に要約される通りである。

表3

アバターのコミュニケーションに関する研究

V. 今後の研究課題

本論では,アバターに関する既存研究を,(1)アバターの存在による効果,(2)アバターのデザインによる効果,(3)アバターのコミュニケーションによる効果という3つのテーマに基づいて整理したうえで,各テーマについての研究をレビューした。そのレビューに基づいて,今後の研究によって取り組まれるべき研究課題を以下のように提示することができるだろう。

3つのテーマの研究が今後取り組むべき課題として,第1に,調整変数の検討が挙げられる。各テーマの既存研究は,主として,アバターの存在,デザイン,あるいはコミュニケーションが消費者心理に及ぼす直接的な影響を検討してきた。その中の一部の研究では,アバターの性別(Luo et al., 2006),や,探索財か信用財かという製品の種類(Keeling et al., 2010)が調整変数として考慮された。しかしながら,アバターの多様な効果を探究するためには,さらなる調整変数の検討が必要であるだろう。すなわち,今後の研究では,消費者の制御焦点や解釈レベル,情報処理能力といった消費者特性や,ウェブサイトのレイアウトや色調といったウェブサイト特性を考慮に入れる必要があるだろう。

第2に,ソーシャルメディアにおけるアバターへの着目が挙げられる。近年では,SNSなどのソーシャルメディアにおいて,アバターがブランドのエンドーサーとして活用されている(Thomas & Fowler, 2021)。既存のアバター研究では,オンライン通販サイトや企業の自社ウェブサイト,インターネット上の仮想空間がアバターの登場する文脈として想定されてきた。そのため,今後の研究では,ソーシャルメディアにおけるアバターと,既存研究が考慮してきたアバターを同様に取り扱うことができるのか,もし同様ではないとすれば,両者がどのように異なる影響を消費者の購買行動にもたらすのかを検討する必要があるだろう。

また,第2のテーマ,すなわちアバターのデザインによる効果に関する研究が今後取り組むべき課題として,さらなるアバターのデザイン要因の考慮が挙げられる。既存研究では,人間型のアバターか動物型のアバターかという形態の違い,あるいは,人間らしい見た目か否かというアバターのデザイン要因に着目してきた。しかしながら,アバターのデザインをより詳細に設定することが可能であることを考慮に入れると,今後の研究において,アバターの表情や,アバターの顔の非対称性といったその他のデザイン要因の効果を検討する必要があるだろう。

加えて,第2のテーマであるアバターのデザインによる効果と第3のテーマであるアバターのコミュニケーションによる効果の同時的な検討は,今後取り組まれるべき課題であると言いうるだろう。これまで,両者の研究は別々に展開されてきたものの,あるアバターの外見上のデザインとそのアバターのコミュニケーション形式は強く関連していると考えられる。そのため,いかなるデザインのアバターが,どのような形式のコミュニケーションを行えば,消費者の購買意思決定に有効に作用するのかを検討する必要性は高いだろう。

謝辞

拙稿の刊行に際して,立命館大学の菊盛真衣先生には,懇切丁寧なご指導を賜りました。ここに記して,感謝の意を申し上げます。

小倉 優海(おぐら ゆうみ)

立命館大学大学院経営学研究科博士後期課程。専攻は,広告論,消費者行動論。

References
 
© 2022 The Author(s).

本稿はCC BY-NC-ND 4.0 の条件下で利用可能。
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