Japan Marketing Review
Online ISSN : 2435-0443
Peer-Reviewed Article
Balancing Service Quality and Risk Management in a Nursing-Care Facility:
Improving User Satisfaction and Creating a Positive Work Environment
Takako YamashitaKayo Yamazaki
Author information
JOURNAL FREE ACCESS FULL-TEXT HTML

2022 Volume 3 Issue 1 Pages 62-70

Details
Abstract

本研究は,介護現場における職員と利用者がサービスを通じてともに満足感を得るためにはどのような要因が必要であるか,介護現場がとるべき対応について検討を行った。先行研究より「離職要因」「サービス品質」「サービス・プロフィット・チェーン」「リスク・コミュニケーション」から職員および利用者の満足感の構成要因を検討した。続いて先行研究で用いられた概念の指標を基に質問項目を作成し,職員と利用者を対象に定量調査を行った。職員への調査からは「サービス価値」,「人間関係」,「マネジメントの質」,「信頼」,「リスクマネジメントの必要性」,「リスクマネジメントの浸透」の6つの因子間に正の相関があり,互いに労働条件にも強く影響し,働くモチベーションやサービス品質を決定づける重要な要因であることを確認した。また利用者満足度の分析では,「ケアマネージャーの品質」「提供サービス品質」「施設サービス品質」のそれぞれ正の関係がみられ,利用施設の「心理的ロイヤルティ」向上へ作用していることも確認でき,利用者満足向上と働きやすい職場環境の両立にむけた新たな視座を提供することができた。

Translated Abstract

This study examined the factors that contribute to satisfaction of both care providers and service users through assessment of services and management in nursing-care facilities. Factors that contributed to satisfaction of staff and users were examined based on turnover, quality of service, service profit chain, and risk communication. Questionnaire items were developed using indices for concepts used in previous studies to perform a quantitative survey of staff and users. Six factors of “service value,” “human relations,” “quality of management,” “reliability,” “necessity of risk management,” and “penetration of risk management” were extracted. These items were found to have a strong influence on each other with regard to working conditions and are essential factors that determine motivation to work and service quality. In the analysis of user satisfaction, positive correlations were found among “quality of care manager,” “quality of service provided,” and “quality of facility service,” and these factors were found to influence improvement of “psychological loyalty” to the nursing care facility.

I. 問題意識

本研究は,介護施設における「ケア」を通じ,職員が介護に安心・安全を確保しつつ,やりがいを持って働くことができる環境整備と,介護を必要とする利用者のQOL(Quality Of Life:生活の質)を高める施策によって従業員満足と利用者満足を両立させ,人手不足を克服して介護事業者が事業継続を可能とする方策を検討する。2013年長野県安曇野市の特養で,臨時におやつの介助に入った准看護師が入所者の女性(当時85)にドーナツを提供したところ,女性は食べた直後に心肺停止となり,その後死亡するという事故があった。一審で准看護師に有罪判決が下されたことが介護現場に大きな衝撃となり,施設では固形のおやつの提供を控えるようになるなど萎縮が生じた。一方,利用者にとって介護は人生の最終段階にあるイベントである。人はその人らしい人生を送る権利を有しており,それは要介護高齢者であっても同様である。介護サービス利用者のQOLは向上されるべきであり,介護現場が抱える人材不足が原因でQOLが低下するということは避けなければならない。そこで本研究では,まず介護福祉現場における多くの職員が職場の労働環境についてどのように認識しているのかを把握し,内部サービス品質にあたるリスクマネジメントおよび従業員満足の観点から実証分析を行った。さらに利用者の観点から介護サービス施設利用における満足度の構成要因について分析を行った。リスクマネジメントに関連する先行研究では,リスクマネジメント活動に関する事故防止の有効性やPDCAの重要性を説く研究が大半であり,「人間関係」に表されるような相互肯定的な尊重要求に基づく等しい交わりや,「人の心」に言及した研究は少ない。人間が行動・活動するサービスである以上,介護サービス自体がリスクを有しており,この不確実性を完全に統制することができないからこそ,心の危機管理を中核に置いた介護現場の内部支援サービスの重要性について確認することは意義あることと考えた。

II. 先行研究

1. 介護士の離職の要因に関する先行研究

介護施設におけるスタッフの離職に伴う組織的特性を調べたCastle and Engberg(2006)では,介護施設の質の向上は介護スタッフの離職率の低下を導くとの結果を示した。Castleの離職発生モデルは組織の特性と離職率の潜在的および中間的な変数として示し,8つの組織特性(スタッフ数,規模,管理職の離職率,入居者の介護度構成,ケアサービスの質,低所得者向け公的医療保険制度であるメディケイド(Medicaid)受給者率,設置主体が営利目的か否か,チェーン施設か否か)が,7つの仕事特性(作業負荷,職種間のインタラクション,組織忠誠心,人間関係,職業意識,報酬・福利厚生,自律性)を介して仕事満足度に影響し,最終的には離職率に作用することを指摘した。一方,Shimizu, Ogata, and Yoshimoto(2009)は,職員の働きやすさは個人属性により差異があるが,共通して求められていることは,「職員の人間関係の良さ」,「職員間の利用者情報の共有」,「上司や先輩のサポート」,「適切な職員配置」であり,さらに入職当初の指導体制の不整備の問題を指摘した。また介護職員は人手不足による負担感と看護職員の非協力を感じていること,看護職員は介護職員の問題解決スキルの低さから派生する利用者のケア目標や管理目標の共有に困難さを感じていることから,管理職の責務において職員間で情報や目標を共有する仕組みを制度化し,職員の問題解決スキルを育成するなど,組織内部からの支援の必要性を主張した。

2. サービス品質に関する先行研究

サービス商品の中核価値は,提供者と顧客の相互作用によって形成される(Grönroos, 1990)。Shimazu(2005)は医療関係の専門職による質の評価と,利用者の知覚による質の評価には「サービス評価の二面性」が存在すること,またサービスを受ける期間を通じて利用者の状態が変化する「利用者の変容性」,あるいは,利用者自身も具体的な期待サービスが明確につかめていない「期待の不明確性」があることを指摘した。Donabedian(1966)は医療の質を定量化し,治療方法やその結果についてサービス評価の枠組み「構造(Structure)」,「過程(Process)」,「結果(Outcome)」に照らし,サービス利用後の利用者の「結果(Outcome)」に基づき,患者が納得できる医療とは何かを分析した。Kubo, Okada, Kanbe, and Shirasawa(2002)は,介護施設側は施設自体の都合のためだけでなく,入所者自身が何かを達成できるという環境を整える必要があり,やりたいことを選択し自己決定していくことが「自分でできる」という感覚を取り戻していくことにつながる,と生活満足度向上についてのエンパワーメント支援の必要性を提言した。顧客ロイヤルティが原動力となってサービス企業組織の収益向上と成長が推進されるとする「サービス・プロフィット・チェーン」(Heskett, Jones, Loveman, Sasser, & Schlesinger, 1994)によれば,従業員の動機付けとなる内部支援サービスとは,「職場設計」,「人事方針や育成」,「報酬」,「顧客サービス用ツール」,「団結」等とし,「従業員サービス価値」や「顧客満足」あるいは「顧客ロイヤルティ」や「利益」などが,最終的に「内部サービス品質」や「従業員満足」を高める作用をもつ特性があるとした。従業員の動機付けには内部サービス品質が関与し,最終的に獲得した顧客ロイヤルティは従業員満足度に作用すると考えることができる。

3. リスク・コミュニケーションに関する先行研究

介護現場では事故や事件は絶えないが,その被害を最小限に抑え,事故発生の芽を断つために「リスク」の管理体制を整える必要がある。リスク・コミュニケーションとは「個人,機関,集団間での情報や意見のやりとりの相互作用的過程」(National Research Council, 1989)であると定義されている。そこには「教育」「参加」「信頼」が必要(Ogawa, 2007)とされ,なかでもリスク情報の送り手(Communicator)ないし情報内容そのものが,信頼できるか否かが重要であることを指摘した。人々は,リスクがどの程度の確率でどの程度の被害をもたらすのか,という評価だけで当該リスクを受容するかどうかを決めるのでなく,リスク管理が信頼できるかどうかによって,当該リスクを受容するかどうかを決める。リスク・コミュニケーションにおいては,メッセージの送り手が所属する機関への信頼や,社会システムそのものへの信頼をも含む。つまり,信頼を媒介として相互理解を促し情報共有を保証できるような風土を醸成することが,有効な目標となる。Horigome(2016)は,介護施設においてはサービスを提供する際に,施設全体の組織としての「組織風土の構築」があり,その中で施設職員は利用者に対するQOLとリスクの関係性を踏まえ,QOLとリスクのバランスを検討しサービス提供へと反映していくこととなるとした。本研究でも,介護事故を軽減させたいという施設側のリスク感性を磨く施策が,介護事故軽減につながると考えた。

III. 実証分析

1. 介護サービスの従業員満足に関する実証分析

介護施設現場における職員の働きやすさの規定因を確認するため,先行研究で提示された概念に則った定量調査を実施した。そのうえで,職員がどのように働きやすさを求めているのか,従業員サービス価値につながるそれぞれの概念化を探索的に試みた。測定尺度はOgiso, Abe, Andou, and Hirasawa(2010)Yoshida and Hori(2001)による妥当性検証済みの職員の満足感測定尺度を基に項目の追記・削除を行い作成した。また,職員が想定する利用者満足の構成要素について質問項目に追加し,その要素は従業員サービス価値として定量調査に取り入れた。調査の実施内容については以下の通りである。

①日時:2020年9月9日~9月30日

②対象者:Nケアサービスの在宅介護事業所(通所介護,小規模多機能介護)および施設介護事業所(グループホームや特定施設介護)で勤務する職員。

③サンプル数:上記期間で369票を採取し,データの欠損がないことを確認したうえで369票すべてを分析対象とした。

(1) 因子分析

従業員満足度を構成する要因を分類するため42項目に対して最尤法による因子分析を行った。固有値の減衰状況と因子の解釈可能性から,因子負荷量が.40に満たない5項目を削除し,再び最尤法・Promax回転を行い,更に因子負荷量が.40に満たない4項目を削除した最終的な因子分析結果を表1に示す。固有値1.0以上の因子は6つあり質問項目の因子所属が明瞭であったため,6因子構造が妥当であると判断した。第1因子は,「利用者の満足度にどの程度影響しているか」と尋ねた項目で「入浴での清潔保持」,「施設の環境・居心地」などの9項目で構成されていることから施設利用者へ提供している「サービス価値」因子と命名した。第2因子は,「(職員間で)個性を認め合う」,「仲間をサポート」,といった9項目から構成されており「人間関係」と命名した。第3因子は,「上司の決断が速い」,「リーダーシップに満足」,「運営方針は一貫している」といった6項目で構成されていることから「マネジメントの質」因子と命名した。第4因子は,「利用者からの信頼」,「同僚からの信頼」などの4項目から「信頼」と命名した。第5因子は,「業務にはリスクマネジメントは必要」,「ケア品質向上に効果がある」という3項目で構成されていることから「リスクマネジメントの必要性」因子と命名した。第6因子は,「リスク情報は施設内で伝達されている」などの2項目での構成とし「リスクマネジメントの浸透」と命名した。

表1

従業員満足に関する因子分析結果

これら6因子について内的整合性を検討するために各下位尺度得点のCronbachのα係数を算出したところ,(表1)に示すようにいずれも十分な値が得られた。

(2) 従業員満足に関する因子間の相関分析

つぎに従業員満足度を構成する因子間の関係について相関分析を行った。結果,(表2)に示す通り,すべての因子間で有意な正の相関がみられた。

表2

従業員満足に関する因子間の相関分析結果

*** p<.001

2. 利用者満足度に関する実証分析

利用者のサービスに対する満足度尺度については,Takami, Tadatsu, and Mizuko(2008)による信頼性,妥当性が確認済みの介護保険サービスにおけるアウトカム指標の評価尺度を参考に,質問項目の追記・削除を行い作成した。調査の実施内容については以下のとおりである。

①日時:2020年9月10日~10月22日

②対象者:N介護村の介護サービスを利用している利用者とその家族

③サンプル数:上記期間で649票を採取し,このうち647票を分析対象とした。

(1) 因子分析

利用者満足度を構成する要因を分類するため35項目に対して最尤法による因子分析を行った。固有値の減衰状況と因子の解釈可能性から4因子解を採用し,再び最尤法・Promax回転による因子分析を行った。その結果,因子負荷量が.40に満たない2項目を削除し,最終的な因子分析結果を(表3)に示す。

表3

利用者満足に関する因子分析結果

第1因子は,「信頼できるケアマネージャーである」,「ケアプランなど制度などの説明がわかりやすい」,という内容の9項目で構成されていることから「ケアマネージャーの品質」因子と命名した。第2因子は,「施設は希望や意見を汲んでくれる」,「職員は困っていたらすぐ対応してくれる」,など施設や職員に関する内容の8項目で構成されていることから「施設サービス品質」因子と命名した。第3因子は,「介護サービスが安全安心だ」,「病状が安定した」など具体的な提供サービスに関する8項目で構成されていることから「提供サービス品質」因子と命名した。第4因子は,「全体的に満足している」,「利用が楽しみ」,「他者にもサービスを紹介したい」といった8項目から「心理的ロイヤルティ」と命名した。これら4因子について内的整合性を検討するために各下位尺度のCronbachのα係数を算出したところ,(表3)に示す通り十分な値を示した。

(2) 利用者満足に関する因子間の相関分析

つぎに利用者満足度を構成する因子間の関係について下位尺度を作成し,相関分析を行った。結果,(表4)に示す通り,すべての因子間で有意な正の相関がみられた。

表4

利用者満足に関する因子間の相関分析結果

*** p<.001

(3) 重回帰分析

利用者満足の4つの下位尺度が利用者満足全般に与える影響を検討するために「心理的ロイヤルティ」を従属変数にした重回帰分析を行った。結果を(表5)に示す。「ケアマネージャーの品質」「施設サービス品質」「提供サービスの品質」から「心理的ロイヤルティ」に対する標準偏回帰係数(β)が有意であった。

表5

利用者の「心理的ロイヤルティ」を従属変数にした重回帰分析結果

*** p<.001, ** p<.01

IV. 考察

1. 従業員満足(働きやすさ)

本研究の調査対象のNケアサービスの職員の満足度調査分析は,「サービス価値」,「人間関係」,「マネジメントの質」,「信頼」,「リスクマネジメントの必要性」,「リスクマネジメントの浸透」の6つの因子は互いに正の相関を示した。これは,6つの要因が労働条件にも強く影響し,働くモチベーションやサービス品質を決定づける重要な因子であることが確認できた。とくに「リスクマネジメントの必要性」,「リスクマネジメントの浸透」がほかの因子と正の相関があったことは,サービス・プロフィット・チェーンの従業員の動機付けとなる内部支援サービスの構成要素「顧客サービス用ツール」のような役割を果たしていると考える。介護施設において慢性的に離職,入職が繰り返され,人間関係の再構築が常に行われなければならない状況下において,職員同士がその手助けをするための一助として「リスクマネジメント」の重要性が示唆された。介護職員は離職をしても同業内での転職のケースが多く職場によっては,リスクマネジメントやケアの方法で違いがあることから,リスクマネジメントを共通認識として活用し,組織文化の浸透を図ることも重要である。リスク・コミュニケーションには「教育」「参加」「信頼」が必要と指摘しているように,職員は利用者が望む「サービス価値」の提供を実現するために「信頼」や上司の「マネジメントの質」とも関連性がある。離職が常に生じる職場環境下で,職員が組織における内部支援サービスであるリスクマネジメント活動を通じてリスク・コミュニケーションを実行することにより,職員同士の人間関係の構築の一助としていることが考えられる。最終的にはサービス提供の場面において利用者が評価するサービス品質に直接働きかける源泉でもあるといえる。

2. 利用者満足

Nケアサービスの利用者および入居者の満足度調査分析結果より,「ケアマネージャーの品質」「提供サービス品質」「施設サービス品質」「心理的ロイヤルティ」の4つの因子は互いに正の相関があった。「心理的ロイヤルティ」を従属変数とした重回帰分析結果では,「ケアマネージャーの品質」「提供サービス品質」「施設サービス品質」ともに有意な結果となった。介護は介護を受ける人に内在する力を引き出すための援助である。内在する力を引きだす,つまり自立支援のプロセスで最も基本的なケアプランの作成は介護サービス全体の基本設計となる。介護サービスとは活動あるいはプロセスであり,顧客が生産に直接参加し,サービス商品の中核価値は提供者と顧客の相互作用によって生産される。介護保険の複雑な仕組みからも,サービス内容についての利用者の理解に進みにくさはあるといえる。また専門職の手によって提供されるサービス品質は消費者の知覚によって評価される。評価には「サービス評価の二面性」やサービスを受ける期間を通じて利用者の状態が変化する「利用者の変容性」,あるいは,利用者自身も具体的な期待サービスが明確につかめていない「期待の不明確性」があることが指摘されているように,品質への評価を特定することは難しい。しかしながら基本的に重要なことはまず,介護保険サービスを受けるにあたりサービスへの自分の意見を取り入れた内容であるかどうか,サービス内容の理解度を高めるためのプロセスや,そのプロセスを自己決定したか否かが,満足度を高める上で重要な点であるといえる。利用者への聞き取りや説明が不足していないか,などに配慮した対応がより利用者満足を向上させるための第一歩であることが示された。「自分でできる」という達成感が生活満足度を高めるとするならば,目標を設定しそれを達成できたと利用者に実感させる環境を施設側は整える必要がある。自己選択と自己決定を前提とすることで高齢者が「自分でできる」感覚を取り戻していくことになる。介護サービス提供者は,要介護高齢者自身が老いていく中で出現するあらゆる現象や症状に対して,心理的に恐怖感や不安感を持つことのすべてを解消することはできないが,生きる喜びに転換するための具体的なサポートをする役割を担っている。また,施設の都合を優先して高齢者の意思が尊重されないようなプログラムづくりやリスクマネジメントは避けるべきである。リスク・コミュニケーションを通じてリスクを管理し,職員と利用者間で情報共有を絶えず行うことにより,互いに「信頼」を構築できる。職員にとっては安心感のある働きやすい環境下で介護サービスを提供することが可能となり,または利用者にとっては質の高い介護サービスを受けることができるため,双方ともに満足度が高めることができると考えられる。

V. 本稿の限界

本研究の限界は,介護サービス別での仔細な分析には至っていないことがあげられる。例えば,離職率に大きな差異が生じている在宅介護と施設介護の差異を分析し,それぞれについてサービスの品質やリスクマネジメントについて検討すべきである。また,従業員満足の分析では,リスク・コミュニケーションという情報共有の手法を活用し職員間の人間関係の構築の一助となることが明らかとなったが,情報共有の質や量あるいはタイミングと従業員サービス価値の認識との関係性などを明らかしていない。利用者満足度を無限に上げることは,介護保険サービスが保険事業である以上,困難である。しかしながら保険事業であるからと安易に利用者の尊厳が無視されるようなことは決してあってはならない。そのためには,まず優先的に職場環境に配慮し従業員満足度を上げることにより,副次的に利用者満足度に作用することに期待したい。

謝辞

本稿の執筆にあたり,匿名のレビュアーの先生からは懇切なご指導を賜りました。また,日本マーケティング学会カンファレンス2021 オーラルセッション(2020年10月17日)において研究報告を行った際に,コメンテーターの中見真也先生(神奈川大学)より有益なコメントを賜りました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

References
 
© 2022 The Author(s).
feedback
Top