2024 Volume 5 Issue 1 Pages 72
本号で,第5号となる『マーケティングレビュー』には,カンファレンスで報告された50本以上の論文の中から選りすぐった8本の論文が掲載されている。カンファレンスの受賞論文と連動した本誌は,アカデミシャン(含む学生)とビジネスパーソンがバランス良く存在する本学会の特徴がよく表れており,理論の精緻化・発展に必要な研究のみならず,実務的にホットな話題も多く取り上げられ,多様なマーケティング課題に対する探求と創発の場となっている。
そうした視点で本号の各論文のテーマをみると,サービス品質の不均質性が当該サービスの総合評価に及ぼす影響や広告表現が商品の魅力に与える影響などマーケティング研究の本流をなす研究のみならず,組織の構造特性が市場志向に与える影響,地域の潜在的復興力とブレイス・ブランディングの関係,持病患者の健康行動や消費行動の研究など,他研究分野との関連が深い学際研究をテーマとする論文も多い。また,エシカル消費やフリーミアム,モバイル・アプリをテーマとする研究など,昨今のマーケティング環境の急激かつ構造的な変化に焦点をあてたものも多く存在し,実に多彩かつ興味深い内容となっている。
『マーケティングジャーナル』の姉妹誌として創刊された本誌は,第3号からクリエイティブ・コモンズ(CC-BY-NC-ND:表示-非営利-改変不可)4.0国際ライセンスのもとで提供されており,2023年9月よりDOAJ(国際的に認められたオープンアクセスジャーナルのオンライン・ディレクトリ・サービス)に収載されている。さらに,現在,国際的な学術雑誌のデータベースであるEBSCOに掲載されるよう準備を進めており,『マーケティングジャーナル』と同様,インターナショナル・ジャーナルとしての条件を整えつつある。
これらの成果は,論文投稿者のみならず,カンファレンスの運営および査読に関わった多くの学会員の皆様,短期間で論文の質的向上に貢献してくれたシニアエディター,そして,マーケティングレビュー事務局など多くの方々の尽力があって実現できたものであり,この場を借りて深く感謝の意を表する。次号以降も,学会のビジョンである「探求と創発」の場となるよう,質の高い論文が数多く投稿されることを期待したい。