2024 Volume 24 Pages 30-60
アイスランドの年金制度は、社会保障年金、職域年金、個人の年金貯蓄という3 つの柱からなる。 第 1 の柱の社会保障年金は強制加入であり、税財源により基礎的な年金を支給し所得制限がある。 第 2 の柱の職域年金は、被用者のみならず自営業者の強制加入の制度で、年金基金が運営を担っており、所得代替率 72%を目標とするが保証はしていないのでIMFは目標建て(Defined Ambition, DA)制度と位置付けている。アクチュアリーによる財政検証が毎年あり、資産と負債の差が 10%以上乖離した場合または5年間継続して5%乖離している場合、給付を増減するなどの規約を変更する必要がある。例えば2022年は資産と負債の差が10%以上乖離して、複数の年金基金で給付減額を実施することとなった。 第 3 の柱の任意加入の個人の年金貯蓄は、老後のための税制優遇のある個人勘定を有する確定拠出(DC)制度で、資産運用の選択肢が個人にある。 三つの柱を合わせると、全期間平均給与に対する所得代替率は 99%に達しており、また資産規模もGDPの1.7倍にのぼっている。
WEB Journal『年金研究』No. 24
アイスランドの年金制度
- 強制加入の職域年金は目標建て(Defined Ambition)制度 -
杉田 健
公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構・特任研究員
【 記 事 情 報 】
掲載誌:年金研究 No.24 pp. 30-60 ISSN 2189-969X
オンライン掲載日:2024年9月10日
掲載ホームページ: https://www.nensoken.or.jp/publication/nenkinkenkyu/
論文受理日:2024年3月25日 論文採択日:2024年6月6日
DOI:https://doi.org/10.20739/nenkinkenkyu.24.0_30
要旨
アイスランドの年金制度は、社会保障年金、職域年金、個人の年金貯蓄という3つの柱からなる。
第1の柱の社会保障年金は強制加入であり、税財源により基礎的な年金を支給し所得制限がある。
第2の柱の職域年金は、被用者のみならず自営業者の強制加入の制度で、年金基金が運営を担っており、所得代替率72%を目標とするが保証はしていないのでIMFは目標建て(Defined Ambition, DA)制度と位置付けている。アクチュアリーによる財政検証が毎年あり、資産と負債の差が10%以上乖離した場合または5年間継続して5%乖離している場合、給付を増減するなどの規約を変更する必要がある。例えば2022年は資産と負債の差が10%以上乖離して、複数の年金基金で給付減額を実施することとなった。
第3の柱の任意加入の個人の年金貯蓄は、老後のための税制優遇のある個人勘定を有する確定拠出(DC)制度で、資産運用の選択肢が個人にある。
三つの柱を合わせると、全期間平均給与に対する所得代替率は99%に達しており、また資産規模もGDPの1.7倍にのぼっている。
本稿は目標建て制度を実践しているアイスランドの年金制度について、IMF(2023)等の先行文献を参考としつつ、アイスランド政府やアイスランド年金基金協会(Landssamtök lífeyrissjóða)のウェブサイトならびに各年金基金の規約等の一次資料をもとに制度を分析するものである。本節(「1 はじめに」)ではアイスランドの国情と年金制度の概要を述べ、第2節で年金制度の沿革、第3節で制度体系、第4節で給付算定方式とスライド方式、第5節で負担と財源、第6節で財政方式と積立金の管理運用、第7節で制度の企画・運営体制、第8節で最近の論議や検討の動向・課題、第9節でまとめと所感を述べる。
外務省のウェブサイトによれば、アイスランドは北大西洋に位置する島国で、面積は10.3万平方キロメートルで北海道よりやや大きい。人口はアイスランド統計局によれば、2023年1月現在で38万7,758人である。言語はアイスランド語であるが、学校ではアイスランド語の他に、英語と旧宗主国のデンマーク語を教えている。通貨単位はアイスランド・クローナ(以下「クローナ」と略)であり、1円は2024年3月15日時点で0.9202クローナである1。一人当たりGDPは78,837米ドルで世界8位であり、34位の日本の33,950米ドルの2倍以上ある2。世界銀行のデータによると、合計特殊出生率は2021年で1.8(日本は1.3)、15歳から64歳までの女性の労働参加率は2022年で82%(日本は74%)である。アイスランドのインフレ率は以下のとおりであり、年金制度も恒常的なインフレを前提に設計・評価されている。
表1 アイスランドのインフレ率の推移(%)
出所:世界銀行https://data.worldbank.org/indicator/FP.CPI.TOTL.ZG%20?locations=IS (2024.03.10)
1.3 政治史3
アイスランドの歴史は、870~930年頃ヴァイキングがアイスランドに植民したことから始まる。930年には議会に相当するアルシンギが設立された。その後1262年にノルウェーの統治下に入り、1397年にはデンマークの統治下に入り、1918年にはデンマーク王を君主として独立し、デンマークとの同君連合となった。
その後、デンマークがナチス・ドイツに占領される状況下、英軍に占領され、1944年アイスランド共和国が成立した。1949年にはNATO加盟し、ユーロやEUには加わっていないが1994年に欧州経済領域(EEA)協定が発効し、ユーロ圏との経済的結びつきが強化された。
1.4 年金制度の特色
アイスランドの年金制度は、社会保障年金、職域年金、個人の年金貯蓄という3つの柱からなる。第1の柱の社会保障年金はアイスランドに3年以上居住した者が加入する公的制度であり、税財源により年金を支給し所得制限がある。年金関連の給付は社会保障法(2007年法律100号)および社会扶助法(2007年法律99号)に規定されている。
第2の柱の職域年金は16歳から70歳までのすべての被用者および自営業者の強制加入の制度で、根拠法は「強制加入年金保険および年金基金の運営に関する法律」(1997年法律129号、以下「基金法」と略す)である。職域年金の運営を担っているのは20の年金基金で、そのうち3基金は新規加入ができないという意味で閉鎖された基金であり確定給付型(Defined Benefit, DB)制度であり、また別の3基金は閉鎖されたDB制度を管理している(後述の表5参照)。新規加入を受け入れている制度は、給付目標が定まっているが必ずしも保証していないという意味で、IMFは目標建て(Defined Ambition, DA)制度と位置付けている((IMF(2023))4。
第3の柱の任意の個人の年金貯蓄は、老後のための税制優遇のある個人勘定を有する確定拠出(DC)制度である。
アイスランドは1944年の独立後まもなく社会保障制度の確立が審議され1946年4月26日に社会保障法が成立し、給与の2割に相当する老齢年金が所得制限付きで支給されることになった(Birgisson(2022))。しかし、1969年、年金受給者への社会保障支払いは月額36クローナだったのに対し、フルタイム労働者の平均月額は214クローナであり、年金だけで生活は不可能だった6。
このように社会保障年金が低水準だったために職域年金制度が、各業態で年金額を積増すために設立され、1997年に全体の枠組み方が整備された。職域年金を運営する年金基金の基礎は1969年春の労使合意の結果であり、賃上げの代わりに全員加入の職域年金制度が1970年初頭から成立した。1969年の妥結案の一部には、新制度で十分な給付を受ける権利を蓄積するには高齢になりすぎた労働組合員(1914年以前生まれ)に年金の即時増額を保証する特別措置が規定されていた。これは失業保険基金と政府によって資金提供された。これらの措置により、1970年に退職する人の年金は社会保障からの老齢年金の水準のほぼ2倍になったと推定されている。
その後、1974年に給与所得者に職域年金基金への加入が義務付けられ、1980年にはこの義務が自営業者にも拡大された。拠出基準給与は、1986年までは基本給のみだったが、1987年から時間外労働、出来高払い、ボーナスを含むすべての収入を含むことになった。公務員、船員、農民、看護師の年金基金など、特定の年金基金は別々の法律に従って運営されていたが、年金基金全体に関する枠組み法案の策定作業が1976年に開始された。しかし、なかなか合意に至らなかったが、その一つの理由が公務員年金を政府が保証していたことであった。1997年にようやく合意に達したが、その内容は、公務員年金も民間の年金基金と同様に年金権利を積み増す積立年金制度に段階的に移行することであり、公務員年金への政府保証は維持されるというものであった。1991年に年金基金の年次会計および監査に関する法律が採択され、アイスランド中央銀行の銀行検査局に年金基金に対する一定の監督的役割が与えられた。銀行検査局によって個々の年金基金の情報が公開されるようになり、個々のファンドには、妥当な収益を得るというプレッシャーがより強くなった。持続不可能な財政状態にあるファンドは特別な監視下に置かれ、閉鎖や他のファンドとの合併に向かった。年金基金の数は、1980年代前に100に達していたが、現在では20基金になっている。職域年金の拠出金率は被用者が4%であるが、事業主拠出金は2023年に8%から11.5%に引き上げられた(IMF(2023), p. 9)。
個人の任意の年金貯蓄であるが、年金基金法では年金基金において規定の拠出金以上の積み増しを任意貯蓄として行うことが規定され1999年から施行された(Birgisson(2022))。2000年に労働協約が成立して、被用者が給与の2%を拠出した場合に雇用主が2%追加拠出する義務が規定された。これに伴い、この任意の年金貯蓄に関しても他の年金拠出金と同様に政府は拠出段階での課税を行わず、年金支給時に課税することとなった7。その後、被用者の拠出枠は給与の4%に引き上げられた8。
社会保障制度の老齢・障害・遺族にかかる給付の概要は以下のとおりである。
表2 アイスランドの社会保障制度の老齢・障害・遺族給付一覧
出所:アイスランド政府ウェブサイト(http://www.island.is)およびISSA(2018)(2024.05.11)
上記の表で、児童年金は遺族給付の一つである他、他の給付の付加給付にもなることが示されている。以下、3.1.2~3.1.7で基本的な給付を、3.1.8~3.1.15で付加給付を概説し10、3.1.16で計算例を述べる。給付額は、すべて2024年3月現在の数値である。
(1) 67歳支給開始
67歳に達し、アイスランドで社会保障に16歳から67歳までの少なくとも3年間加入している人は、老齢年金を受給する権利がある。16歳から67歳までに少なくとも40年アイスランドに居住することで満額の年金が取得される。それより短い期間の場合、老齢年金の権利は居住期間に比例して計算される(社会保障法16条)。年金額は月額333,194クローナ(年額3,998,328クローナ)である11。
(2) 漁師は60歳支給開始
漁師の支給要件はもっと緩く、25年以上漁業に従事した者は60歳から上記老齢年金と同額の年金を受給する権利がある。この「25年以上」とは、漁師がアイスランドの船舶またはアイスランド当事者によって建造された船舶に船員として法的に登録され、25年間で平均180日以上在籍しているという事実 に基づくものである。漁師が合法的に登録されていない船で部分的または全体的に25年以上漁業に従事していた場合、その人の主な職業が漁業であると証明された場合に限り、60歳から老齢年金を受給することができる(社会保障法17条)。
(3) 繰下げ、繰上げ
老齢年金額の恒久的な増額と引換えに支給開始を80歳まで繰下げることができる。また、恒久的な減額と引き換えに支給開始を65歳まで繰上げることができる。減額率の具体的数値の記載は法律にはないが、2016年の議会に提出された法案の説明資料では、増額率も減額率も月0.5%となっている12。
(4) 所得制限
所得制限免除額は、給与所得を含むすべての所得(年金基金からの収入、資本収入などを含む)について月額25,000クローナ(年額300,000クローナ)、給与所得について月額200,000クローナ(年額2,400,000クローナ)でありこれを超える額の45%が減額される13。配偶者の所得は老齢年金の額の計算に原則影響しないが、配偶者に資産からの所得がある場合は資産の半分が本人のものとみなされるので影響する(社会保障法22条)。
(5) 半額老齢年金
働く量を減らして勤務を続けたい場合は、半額老齢年金を申請できる。ただし、すでに満額の老齢年金を受給している場合は、半額老齢年金の申請はできない。半額老齢年金申請の前提として通常の雇用の50パーセント以下の就業であることについて雇用主の確認を得ていることが必要である。この50%というのは、暦年の平均であり、1年間の平均が50パーセントを超えない限り、ある月は50パーセントを超えて働き、他の月はそれより少なく働いても許容される14。半額老齢年金の所得制限免除額は、すべての所得について月額325,000クローナ(年額3,900,000クローナ)、給与所得について月額200,000クローナ(年額2,400,000クローナ)でありこれを超える額の45%が減額される(社会保障法22条)15。
社会保険庁の定めた障害評価基準に基づき、少なくとも75%の障害があると医師に評価された者は、障害年金を受給する権利を取得する。障害年金の申請者は、社会保障制度に一定期間加入していることが必要である(社会保障法24条)。
年金額は、月額63,020クローナ(年額756,240クローナ)であり、その他年齢加算金、収入保険等の付加給付が加算される。障害年金の受給者は障害者手帳を受け取り、さまざまな割引が受けられる。所得制限免除額は全ての所得について月額214,602クローナ(年額2,575,220クローナ)で、これを超える額の9%が減額される。
50~74%の障害があると評価された者は、障害手当を受給する権利を取得する。障害者手当の金額は18歳から61歳までは月額46,588クローナ(年額559,056クローナ)、62歳から66歳までは月額63,020クローナ(年額756,240クローナ)である。障害者手帳は発行されない。18歳未満の扶養している子供がいる者は子供1人当たりの児童年金額の75%を受給する。所得制限を超えた場合、再評価申請が遅すぎる場合、または67歳到達時には支給終了となる。67歳からは老齢年金を受給する権利が発生するが、受給のためには別途老齢年金の申請が必要である。所得制限は障害年金と同一で、所得制限免除額は全ての所得について月額214,602クローナ(年額2,575,220クローナ)で、これを超える額の9%が減額される。
3.1.5 リハビリテーション年金(endurhæfingarlífeyrir)18
リハビリテーション年金は、事故や病気により働くことができなくなってリハビリテーション中の個人の収入を補填するものである(社会扶助法7条)。申請のためには、18歳以上67歳未満の者で、12か月連続でアイスランドに合法的に居住しており、専門家の指導の下で積極的に職業リハビリテーションを受けていることが必要である。年金額は、月額63,020クローナ(年額756,240クローナ)であり、その他収入保険等の付加給付が加算される。所得制限免除額は全ての所得について月額214,602クローナ(年額2,575,220クローナ)で、これを超える額の9%が減額される。
3.1.6 配偶者の死別手当(dánarbætur)19
配偶者が死亡した場合、生存配偶者は配偶者死別手当を受給する権利を得ることができる。生存配偶者は、原則として故人と1年以上結婚しているまたは登録されたパートナーシップを結んでおり、67歳未満である必要がある。例外として、登録されたパートナーシップの期間が1年未満であっても、一緒に子供がいた場合は配偶者死別手当を受給する権利がある。また、女性が妊娠していて夫が死亡した場合にも、同じ権利が発生する。配偶者死別手当は月額68,736クローナが6か月間支給される。申請によって配偶者死別手当の延長が可能で、この場合は月額51,490クローナが12~36か月支払われる。所得制限はない。申請者に18歳未満の扶養している子供がいる場合には児童年金も付加される。申請者が年金受給者で一人暮らしの場合、住宅手当も支給されることがある。
3.1.7 児童年金(barnalífeyrir)20
社会保障法40条に定める児童年金は、遺族給付としてまたは老齢年金・障害年金・障害手当・リハビリテーション年金、もしくは配偶者死別手当の付加給付として、子どもが原則として18歳未満の場合に支給される。親または子供自身が少なくとも3年間アイスランドに居住していることが必要である。年金額は子供一人につき月額46,147クローナ(年額553,764クローナ)である。障害手当の付加給付の場合には満額ではなく4分の3の額が支給される。両親が亡くなっている場合や年金受給者である場合は、2倍の児童年金が支給される。別収入があるために老齢年金の支給が打ち切られると、児童年金の支給も打ち切られる。子供が18歳未満という年齢要件の例外は、就学または職業訓練中の18歳から20歳までの若者の場合で、所得および資産が一定額以下等の条件を満たせば児童年金が支給される21。
年齢加算金は、障害年金受給者に対する加算額で、75%障害者であると評価されたときの年齢に基づいて障害年金額に対する以下の割合相当が加算される(社会保障法29条)。すなわち年齢加算金は初回査定時の年齢によって定まる。例えば障害年金月額が63,020クローナであり、75%障害者と評価された年齢が45歳であれば、以下の表から障害年金月額の15%の月額9,453クローナが加算される。年齢加算金の趣旨としては、若年で障害を負った者は労働市場への参加が少なく、その結果として各種給付や資本収入が少ないことに配慮していると推察する22。所得制限は、初回査定時年齢が18歳から24歳の場合(障害年金の100%加算)は、障害年金の場合と同様である。
表3 年齢加算金
初回査定時の年齢 | 加算割合 |
---|---|
18歳から24歳まで | 100% |
25歳 | 95% |
26歳 | 90% |
27歳 | 85% |
28歳と29歳 | 75% |
30歳と31歳 | 65% |
32歳と33歳 | 55% |
34歳と35歳 | 45% |
36歳と37歳 | 35% |
38歳と39歳 | 25% |
40歳から45歳まで | 15% |
46歳から50歳まで | 10% |
51歳から55歳まで | 7.5% |
56歳から60歳まで | 5% |
61歳から66歳まで | 2.5% |
出所:社会保障法29条から転載。
障害年金またはリハビリテーション年金を受給している者は、追加で収入保険が支給される(社会保障法28条)。金額は月額201,807クローナ(年額2,421,684クローナ)である23。所得制限免除額は、給与所得が年額2,400,000クローナ、年金基金からの収入が年額328,800クローナ、資本収入(利子、キャピタルゲイン、賃貸料など)が年額98,640クローナで、これを超える場合、年金の水準に応じて13.35%または38.35%が減額される。
3.1.10 付加年金(uppbót á lífeyrir)24
付加年金は、必要に応じて老齢年金、障害年金、リハビリテーション年金受給者の年金額に加算される。具体的には、以下の費用をカバーすることを目的としている。
•薬代
•介護費用、
•補聴器の購入費用
•家賃の家賃補助を超えた額
•共同住宅に住む費用
•酸素フィルター使用のための電気料金
付加年金を受給するには、所得が月額313,523クローナ(年額3,762,271クローナ)未満である必要がある。付加年金額は定額ではなく、申請者の支出と総所得に基づいて年金額の5%~140%の範囲で決定される。付加年金は毎月1日に他の年金と一緒に支給される。
住宅手当はアイスランドで持ち家または賃貸住宅に一人暮らしの、老齢年金、障害年金、リハビリテーション年金、または配偶者死別手当の受給者に、年金額に加算して支給される。18歳未満の子供、教育もしくは職業訓練を受けている18歳から25歳の若者と同居している場合、または結婚しているが配偶者は老人ホームに住んでいる場合にも支給される。炊事やトイレを他の人と共用する場合は一人暮らしとはみなされない。
老齢年金に付加する場合の金額は月額84,197クローナ(年額1,010,364クローナ)である。老齢年金の所得制限免除額は、すべての所得について月額25,000クローナ(年額300,000クローナ)、給与所得について月額200,000クローナ(年額2,400,000クローナ)でありこれを超える額の11.9%が減額される。
半額老齢年金に付加する場合の金額は月額42,099クローナ(年額505,188クローナ)である。この場合、所得制限免除額は、すべての所得について月額325,000クローナ(年額3,900,000クローナ)、給与所得について月額200,000クローナ(年額2,400,000クローナ)でありこれを超える額の11.9%が減額される。
障害年金またはリハビリテーション年金に付加する場合の金額は月額68,213クローナ(年額818,556クローナ)である。所得制限免除額は収入保険と同一で、給与所得が年額2,400,000クローナ、年金基金からの収入が年額328,800クローナ、資本収入(利子、キャピタルゲイン、賃貸料など)が年額98,640クローナである。これを超える場合の減額率は収入保険とは異なり12.96%である26。
アイスランドでは、夏に休暇手当を、12月に12月手当を支給することを規定するのが労働協約の通例である27。日本におけるボーナスに対応すると言える。これに準じて老齢年金・障害年金・リハビリテーション年金受給者に対しても、休暇・12月手当が支給される。金額は毎年、社会問題・労働市場省(Félags- og vinnumarkaðsráðuneytinu)の省令で定められる。2024年は老齢年金受給者に対して125,640クローナの4割を7月1日に休暇手当として、6割を12月1日に12月手当として支給する。所得制限免除額は、すべての所得について年額300,000クローナ、給与所得について年額2,400,000クローナでありこれを超える額の2%が減額される。所得が月額548,500クローナ(年額6,582,000クローナ)に達すると支給されない。
付加されるのが半額老齢年金の場合は休暇・12月手当も半額となる。
付加されるのが障害年金およびリハビリテーション年金の場合は、収入保険および住宅手当の合計額の4割を7月1日に休暇手当として、6割を12月1日に12月手当として支給する28。
3.1.13 配偶者および介護者手当(Maka- og umönnunarbætur)29
社会扶助法5条に定める配偶者および介護者手当は、パートナーまたは他の世帯員の介護のために、仕事を減らしたり、仕事をやめたり、または収入が減った人の収入の損失を補填することを目的としている。この手当は、老齢年金、障害年金、障害手当、またはリハビリテーション年金に付加され、満額は月額211,859クローナが支払われる。給与所得と配偶者および介護者手当は、合計で月額税引き前765,431クローナ未満でなければならない。
仕事、通学、定期的なリハビリテーションや医療サービスのために車が必要な運動障害のある人は、車を購入するために補助金やローンを申請できる30。車購入時の補助金・ローンの金額は以下のとおりである31。
車の購入に対する補助金:500,000クローナ~2,000,000クローナ
特別装備車の購入に対する補助金:最大 7,400,000クローナ
特別装備の電気自動車の購入に対する補助金:最大 8,140,000クローナ
車を購入するためのローン: 180,000~340,000クローナ
移動能力が低下した年金受給者には、車両の運行コストをカバーする手当金が支払われる場合がある。老齢年金、障害年金、障害手当金、またはリハビリテーション年金の受給者が申請できる。申請者の移動能力の低下は、医師の運動障害診断書に基づいて評価されなければならない。金額は月額23,293クローナで、運動障害評価が有効であり、年金受給者が車を所有している限り、手当は年金と一緒に支払われる。所得が月額765,431クローナ(年額9,185,173クローナ)を超えると支給は行われない。
以上述べたように多くの給付があるが、老齢給付および障害給付の計算例を以下に示す。
(1) 例1 老齢給付の計算例
前提として、1952年以降の誕生で障害はなく配偶者・子供がおらず、持ち家があり、海外にいたことはなく、67歳支給開始として支給開始は2018年以降で、この年金以外の収入はないとする。アイスランド社会保険庁のウェブサイトで計算すると、受給額は以下のとおりとなる:
表4 老齢給付の計算例(金額単位:クローナ)
年額 | |
---|---|
老齢年金 | 3,998,328 |
住宅手当 | 1,010,364 |
休暇・12月手当 | 125,640 |
計(税引前年金額) | 5,134,332 |
所得税 | 1,576,740 |
手取り(税引後年金額) | 3,557,592 |
出所:社会保険庁の年金計算サイト(https://www.tr.is/reiknivel/,(2024.03.03)))で、筆者が前提を入力して算出
持ち家がないまたは配偶者がある場合には住宅手当はなく税引き前は4,123,968クローナ、所得税は1,258,668クローナ、手取りは2,865,300クローナとなる。
(2) 例2 障害給付の計算例
前提として、1952年以降の誕生で、75%の障害と45歳時点で評価され、配偶者・子どもはおらず、持ち家があり、この年金以外の収入はないとする。計算すると給付額は以下のとおりとなる。
表5 障害給付の計算例(金額単位:クローナ)
年額 | |
---|---|
障害年金 | 756,240 |
年齢加算金 | 113,436 |
収入保険 | 2,421,684 |
住宅手当 | 818,556 |
休暇・12月手当 | 135,010 |
付加年金 | 1,124,448 |
計(税引前年金額) | 5,369,374 |
所得税 | 1,647,780 |
手取り(税引後年金額) | 3,721,594 |
出所:社会保険庁の年金計算サイト(https://www.tr.is/reiknivel/ (2024.03.03))で、筆者が前提を入力して算出
強制加入の職域年金制度は20の年金基金(lífeyrissjóður)が運営している。20基金の概要は以下のとおりである。
表6 アイスランドの年金基金一覧とタイプ
タイプ:O:一般、SO:労働協約による強制加入および一般、ST: 職業限定、L:閉鎖基金、G:大学関係者
基金名(原語) | 概要 | 部門 | タイプ |
---|---|---|---|
一般(Almenni)年金基金 | 建築家、ガイド、医師、技術者、音楽家の5つの職業従事者が主な加入者 | O | |
ビルタ(Birta)年金基金 | 特定の労働組合のメンバーが主な加入者 | SO | |
ブルー(Brú)年金基金 | 地方自治体職員が主な加入者 | A区分 | SO |
B区分 | L | ||
V区分 | O | ||
FÍA退職基金 | アイスランド・プロパイロット協会の年金基金 | ST | |
フェスタ(Festa)年金基金 | スズルネシャ、スズルランド、ヴェストゥルランドの地域の給与所得者及び自営業者が主な加入者 | SO | |
自由(Frjálsi)年金基金 | すべての人に開かれている | O | |
ギルディ(Gildi)年金基金 | 11社の従業員が主な加入者 | SO | |
アイスランド(Íslenski)年金基金 | すべての人に開かれている | O | |
銀行員(Bankamanna)年金基金 | 銀行員が対象 | 新制度 | ST |
旧制度 | L | ||
農業者(bænda) 年金基金 | 農業に従事する被用者と自営業者が利用できるが、一般にも開放 | O | |
ランガイインガ(Rangæinga) 年金基金 | 4つの組織の所属員が主な加入者 | SO | |
勤労者(Lífsverk)終身年金基金 | 大学生と大学卒業生を対象とした年金基金 | G | |
アークレイリ町(Akureyrarbæjar)職員年金基金 | アークレイリ町の職員が対象だが、1999年以降新規加入者の受け入れを停止 | L | |
ブナザールバンキ諸島(Búnaðarbanka Íslands)職員年金基金 | ブナザールバンキ諸島職員が対象だが1998年以降新規加入者の受け入れを停止 | L | |
レイキャビク市(Reykjavíkurborgar)職員年金基金 | レイキャビク市職員が対象だが、1998年以降新規加入者の受け入れを停止 | L | |
労働組合員(verzlunarmanna)年金基金 | 労働組合員対象だが、一般に開放 | SO | |
ヴェストマン諸島(Vestmannaeyjar)年金基金 | ヴェストマン諸島の組合が対象だが、一般にも開放 | SO | |
国家公務員(starfsmanna ríkisins)年金基金 (LSRと略) |
国家公務員向けの労働組合と連携した年金基金 | A-部門 | S |
B-部門 | L | ||
SL年金基金 | すべての人に開かれている | O | |
スタピ(Stapi)年金基金 | アイスランドの北と東のすべての農村地域の給与所得者が対象だが、一般にも開放 | SO |
出所:アイスランド年金基金協会のウェブサイト( https://www.lifeyrismal.is/is/lifeyrissjodir-og-avoxtun/allir-lifeyrissjodir (2024.03.05))を基に筆者加工。
年金基金には、強制加入の年金のみを扱う基金もあれば、それに加えて任意の貯蓄を行う基金もある。この3.2節では強制加入部分を扱う。強制加入部分の給付には老齢年金、障害年金、配偶者年金、児童年金がある。
年金基金の所得代替率の目標は給与の72%である。基金法4条には毎年発生する年金受給権の最低額を給与の1.8%と定めてある(1.8%×40年=72%)。しかしこれは目標であって、基金法39条により、資産運用などの要因で到達できないこともありうる。
(1) 老齢年金
年金基金は、基金加入者が65歳~70歳に達した時に、規約に基づき老齢年金の支給を開始しなくてはならない。老齢年金は終身年金であり、毎月均等額として支給されるが、消費者物価指数の変動に応じてスライドされる(基金法14条)。基金法に規定はないが年金基金規約を見ると、67歳より前に年金を支給開始すると減額され、67歳より後に支給開始すると増額され、社会保障制度の老齢年金同様、半額の年金の支給も可能である。
(2) 障害年金
年金基金の加入者は、障害の程度が50%以上で、障害により収入を喪失した場合に、障害年金を受ける権利を有する。ただし、過去4年間のうち少なくとも3年間、そのうちの過去12か月間に少なくとも6か月拠出金を年金基金に支払ったことを条件とする。障害がアルコールや薬物の過剰摂取に起因すると考えられるものであってはならない(基金法15条)なお、これは最低条件であり、これよりも緩い支給要件としている基金もある。例えば銀行員年金基金の規約には障害の程度が40%以上の場合、障害年金を支給すると定められている。
(3) 配偶者年金32
配偶者年金は、基金加入者が死亡した場合に、残された配偶者に支払われる。減額されない配偶者年金は少なくとも2年間支払われる。生存配偶者に扶養している子供がいる場合、最年少の子供が18歳に達するまで、減額されない配偶者年金が支払われる(一部の年金基金ではさらに延長される)。基金加入者の死亡時に残された配偶者が障害を有し、かつ67歳未満である場合、その障害が続く間は減額されない配偶者年金を支払わなければならない。一部の年金基金では、配偶者の年金が全額または減額され、長期間、さらには生涯にわたって支払われる。ただし、配偶者が再婚または同居した場合は解除される。
(4) 児童年金
児童年金は、年金基金加入者が死亡前の過去36か月のうち少なくとも24か月拠出金を支払っていた場合、死亡時に老齢年金または障害年金を受給していた場合、または障害年金の受給権を取得していた場合に死亡者の子供に支払われる。障害の程度が100%未満と評価された場合年金はそれに比例して減額される(基金法17条)。支給は子供が18歳に達するまでだが、一部の年金基金では、18歳を超えて支給する場合がある33。
閉鎖されているDB制度は加入者からの拠出金を受け入れており、老齢年金、障害年金、配偶者年金、児童年金が支給される。基金毎に制度が若干異なっているが、おおむねDB制度の方がDA制度より寛大な給付になっている。一例として、国家公務員年金基金LSRのDA制度とDB制度の比較を示す。
表7 LSRの給付の概要(カッコ内の条数は基金規約のもの)
A部門(新制度:DA制度) | B部門(閉鎖された旧制度:DB制度) | |
---|---|---|
老齢年金 |
拠出金納付により年金基金の受給権を有する 60歳から80歳までの加入者は、終身年金を受給する権利を有する(35条)。 この権利は、拠出金に対応して年齢と生年に対応した権利表の数値に消費者物価指数を考慮して増額した額を累積した額である(34条)。67歳より繰下げた場合は増額され、繰上げた場合は減額され、60歳以降半分リタイアに対応した半額年金を受給可能(35条)。 |
部門 Bの加入者は、以下のように年金受給を開始できる(60条)。 a. 65歳以降の翌月初めから。 b. 64歳に達するまでに、平均余命と基金への拠出金払込期間の合計が95年以上あると見込まれる場合、60歳になった翌月初めから。 65歳以降半分リタイアに対応した半額年金を受給可能(60条2項)。 年金の額は固定給の一定割合であるが年金基金加入期間中、少なくとも10年間、高給の職に就いていた場合は、少なくとも10年間その職に就いた場合に限り、最も高給の仕事に基づいて決定される(58条1項)。 年金受給権発生割合は、拠出期間中は2%の累積であり、拠出停止後65歳未満は年1%加算され、65歳後は年2%が加算されるが、上限は64%である(61条1項)。 65歳で職を解かれる警察官は70歳まで働いたものとして年金額が計算される(62条)。 |
障 害 年 金 |
67歳未満で、40%以上と障害が認定された基金の会員は、少なくとも2年間年金基金に拠出金を支払っていれば、基金から障害年金を受給する権利がある(37条)。 障害年金額は、障害を負った年の前3年間の年金権を外挿して計算される(39条1項)。 |
障害等級10%以上で、3年に渡りかつ過去12か月のうち少なくとも6か月にわたって基金に拠出金を支払った場合支給される(64条)。 障害年金額は、取得した年金権と社会保障制度からの障害年金に基づいて決められる(65条)。 |
配 偶 者 年 金 |
過去36か月のうち少なくとも24か月、または過去12か月のうち6か月にわたって拠出金を支払った年金基金加入者が死亡した場合または、または基金から老齢年金か障害年金を受給している基金加入者が死亡した場合、生存配偶者は基金から年金を受給する権利がある(43条)。 配偶者の年金額は故人が年金受給者の場合は故人の年金額の半分、加入者の場合は基金加入者が65歳までに取得できると推定できる権利の額の半分(45条)。 |
老齢年金または障害年金を受け取っていた者または基金に拠出金を支払っていた基金加入者が死亡した場合、生存配偶者は配偶者年金を受給する権利がある(69条)。 配偶者年金の年金額は死亡した基金加入者が取得した年金権の2分の1(70条)。 |
児 童 年 金 |
過去36か月のうち少なくとも 24か月、または過去12か月のうち 6か月拠出金を支払い、死亡時に年金または障害年金の恩恵を受けている、または第 38.1 条に基づく外挿の権利を取得している基金会員の場合 、そして彼が残した子供たちと養子は、22歳まで基金から年金を受給する権利がある(47条1項)。 基金加入者の死亡による子供の年金全額は、子供 1 人当たり暦月ごとに 25,172クローナ。 第 43 条に従って見積もられた年間拠出金が少なくとも 229,813 クローナ であれば、児童年金は全額支払われる。推定拠出金が低い場合、基金からの児童年金は比例して減額され、年間拠出金が114,906クローナより低い場合は打ち切られる(47条2項)。 |
基金加入者が遺した18歳未満の子または養子は、18歳になるまで基金から年金が支給される。本人が死亡した時に基金から老齢年金や障害年金を受けていた場合に残された子や養子も同様(73条1項)。 生存している親または養親が子供の扶養を引き受けている場合、基金からの児童年金は社会保障制度からの児童年金の半額となる。それ以外の場合は社会保障制度からの児童年金の2倍となる(73条2項)。 |
ス ラ イ ド |
消費者物価指数による(49条2項)。 | 公務員の日常勤務に対する固定賃金の平均変化に応じて変更される(75条)。 |
出所:LSR年金基金規約。
任意の年金貯蓄には様々な種類があるが(Baldvinsson(2017))、年金基金の実施状況を見ると代表的なものは「追加年金貯蓄」および「特定私有財産」である。
追加年金貯蓄を提供しているのは13の年金基金、銀行5行、および外資系の会社2社で、外資系2社の提供する商品を除いて、個人口座を備えたDC(確定拠出)制度で、保証機能はなく、相続が可能である(IMF(2023))。支給は一時金またはプログラムされた引出しである。払出は60歳到達時であるが(基金法11条)、最初に自宅を購入する場合には、リタイア前の引出しも可能である。(IMF(2023), pp. 9, 10, 20)。現在では勤労者の55%が口座を持っている他、2008年のグローバル金融危機の時も活用されており、一定の限度内で追加年金貯蓄の前払いが認められこの救済策は 2016 年まで続いた34。また2020年3月21日に公表された政府の新型コロナウィルス危機への対応でも、資金の引出しが認められた35。
特定私有財産とは、年金基金の加入者が、第2の柱の義務的な拠出金15.5%の内枠から最大3.5%を特定個人勘定に充当できる制度である(基金法4条)。これにより特定個人勘定は個人の私有財産となり相続が可能となるが、代わりに第2の柱の給付が減少する。ただし減少しても、毎年の年金受給権の発生額は給与の1.4%を下回ってはいけない(基金法4条)。特定個人勘定は最初の住宅購入時の住宅ローンの支払いに使用できる。これは強制加入の職域年金の適用除外というよりも、事業主掛金の引上げ(8%⇒11.5%)に伴い、従来任意で12%より多く支払っていた追加年金貯蓄分が第2の柱に吸収されてしまうので、経過措置として設けられたと捉えられる36。追加年金貯蓄と特定私有財産の比較は以下のとおりである。
表8 年金貯蓄比較
名称 | 追加年金貯蓄 | 特定私有財産 |
---|---|---|
義務的拠出金 | 変わらない(15.5%) | 変わる(15.5%から特定私有財産のための拠出金を控除) |
拠出金払込率 | 被用者: 4%以下 雇用主: 2% 以下 | 3.5%以下 |
支払いルール | 60歳から受給できる | 62歳から受給できる |
住宅ローンへの活用 | 一定限度まで可能 | 一定限度まで可能 |
第2の柱の給付 | 影響なし | 減額される |
相続 | 可能 | 可能 |
出所:アイスランド年金基金協会およびLSR基金のウェブサイトから筆者作成。
社会保障の老齢年金は、満額に達するには40年の拠出期間が必要で、それより少ない場合は1年あたり40分の1が少なくなる。社会保障給付のスライドは物価・賃金・経済状況を考慮して行われる(Ólaffsson(2017), p.11)37。
第2の柱の職域年金は目標建て(DA)制度であり、所得代替率72%を目標にしている(IMF(2023))。資産運用結果によって拠出金が変動しない点では確定拠出(DC)であるが、個人勘定を持たず集合的に運用するので、集団的DCの一種ともいえる38。基金規約を見ると、拠出金10,000クローナに対する年金権の発生額が年齢・誕生年別に金額で示されている。年齢が若い方が支給開始の67歳まで時間があるので利息効果のため発生額が多くなっている。この発生額に物価スライドを考慮した上で累計したものが支給開始時の年金額になる。閉鎖された公務員のDB制度には賃金スライドまたは物価スライドがある39。
第3の柱にスライドはない。
第1の柱の社会保障は、税財源により賄われる(社会保障法160条)。
第2の柱のDA(目標建て)制度は拠出金と運用益により賄われる。拠出金率は拠出基準給与の15.5%以上となっている(基金法2条)。15.5%以上のうち11.5%以上が事業主、4%が被用者である40。被用者拠出は所得控除される。拠出基準給与は、あらゆる種類の賃金または報酬が含まれるが、衣料品、食事、宿泊費などの現物で支払われる給付金や、車両手当、日当金、食費などの現金支出をカバーすることを目的とした支払いは含まれない(基金法3条)。基金法の施行規則19条によれば、負債評価は3.5%の実質利率で評価される。従って運用目標は消費者物価指数を3.5%上回ることが必要となる。DB制度は通常の拠出金の他に特別拠出金を支払っている基金がある。例えば、先に給付の例を挙げたLSR年金基金のB-部門には9.5%の追加拠出金が規定されている(LSR基金規約95条)。
第3の柱の年金貯蓄は個人の貯蓄であり、個人による拠出基準給与の4%までの拠出金とその最初の2%に対する雇用主からの追加拠出2%の合計6%まで課税所得から控除できる(Ólafsson(2017), p. 5)。特定私有財産の拠出金は最大3.5%である(基金法4条)。
第1の柱は税方式である。
第2の柱の職域年金は目標建て制度であり、目標はあるが給付は年金掛金とそれに基づく運用収益による積立金で賄われている。毎年、アクチュアリーによる財政検証があり、資産と負債の差が10%以上乖離した場合、または5年間継続して5%乖離したままの場合、規約を変更する必要がある(基金法39条)。この条項は2008年の金融危機以降緩和されたが、現在では緩和措置は解除されている(基金法附則VI条)。それでも2008年の金融危機の後で多くの基金が給付減額を余儀なくされた(FSA(2014), p. 28)。また2022年は資産と負債(物価スライドする)の差が10%以上乖離して、給付減額した基金もあれば(例えばビルタ年金基金、スタピ年金基金)、かろうじて免れた基金もあった(農業者年金基金)。スタピ年金基金の年次報告書のエルラ・ヨンスドフティル会長挨拶の中で、「過去1年間の収益は低かったにもかかわらず、スタピ年金基金の資産は未払いの負債をカバーするのに十分である。この事実は、未決定の負債を資産収益率に合わせて月次ベースで調整するという、ファンド独自の権利システムに起因すると考えられる。・・・基金の規約変更提案が現在、基金の年次総会に提出されている・・・ただし、この提案は、すでに年金の裁定を受けている人の年金には影響を与えない。」と言っており41、基準抵触により規約変更して給付減額するが、既裁定者への影響はないとしている。
閉鎖されている旧制度はDB(確定給付型)である。
第3の柱はDC(確定拠出型)であり、資産運用に関して多くの基金は複数のファンドを用意している。例えば国家公務員年金基金(LSR)の場合は以下のファンドが用意されている。
表9 LSRのファンド(2022年)
ファンド名(原語) | 資産構成 | 外貨建資産 比率 | リターン | |||
---|---|---|---|---|---|---|
債券 | 株式 | 預金 | 5年平均 | 10年平均 | ||
ルートⅠ(Leið I) | 37% | 61% | 2% | 52% | 4.0% | 4.4% |
ルートⅡ(LeiðⅡ) | 62% | 35% | 4% | 27% | 2.0% | 3.2% |
ルートⅢ(LeiðⅢ) | 0% | 0% | 100% | 0% | 0.8% | 1.5% |
出所:アイスランド年金基金協会のウェブサイト(https://www.lifeyrismal.is/is/lifeyrissjodir-og-avoxtun/avoxtun-sereignar# (2024.03.14))
第2の柱の職域年金の資産運用には、以下の運用規制がある:
表10 アイスランドの年金基金の運用規制
資産 | 制限 |
---|---|
社債(一部のカバードボンドを除く)とマネーマーケット商品、株式、投資ファンド、不動産、デリバティブへの合計 | 80%以下 |
非金融社債と金融市場商品、株式、投資ファンド、不動産、デリバティブへの合計 | 60%以下 |
非上場会社の資産 | 20%以下 |
欧州経済領域42の多者間取引所で扱う資産43 | 5%以下 |
個々の取引相手に対するエクスポージャー(国債などの特定商品を除く) | 10%以下 |
商業銀行または貯蓄銀行への預金と金融商品を通じた総合エクスポージャー | 25%以下 |
個別企業(年金基金業務を行う企業を除く)の株式 | 20%以下 |
投資信託 | 25%以下 |
外貨建て資産 | 50%以下 |
住宅ローン | 75%以下 |
住宅以外の不動産 | 50%以下 |
出所:IMF(2023) p. 25および法36条~36条のdより筆者作成。
なお、外貨建て資産の配分規制を段階的に緩和し、2036年までに最大65%とすることが決まっている(法36条のd)。
2024年1月末で年金基金の資産は7兆3,996億クローナであった44。これは2023年末のGDP4兆2,800億クローナの1.7倍である45。全体の年金資産のうち強制部分(第2の柱)は6兆5,919億クローナ、任意部分(第3の柱)は8,077億クローナであり、年金資産は国内資産には4兆6,153億クローナ、海外資産には2兆7,843億クローナ運用されている46。
6.2.3 運用状況47
アイスランドの年金資産の運用は株式とインフレ連動資産が大半を占めている。2021年末現在、投資ファンドはDA制度の38%、DB制度の34%を占めており、これらのファンドのほとんどは株式ファンドである。ファンドを通さない株式保有は、DA制度の19%、DB制度の18%である。インフレに連動した債券や融資は年金資産の36%を占めている。国債への投資はDA制度で20%、DB制度で29%である。DA制度、DB制度共に社債投資は低格付けまたは無格付のものが多い。外貨建て資産の割合は、2017年末時点の27%から2024年1月の38%に増加している。外貨建て投資のうちでは米ドル資産が最も多く、2021年末現在でDA制度の外貨建て資産の81%を占め、ユーロは15%である。歴史的にインフレに伴ってクローナの対ドルの価値が減少傾向のため、為替ヘッジの利用は少ない。
社会保障は社会保険庁(Tryggingastofnun)が管理する(社会保障法9条)。職域年金および年金貯蓄はアイスランド中央銀行の金融監督局(Fjármálaeftirlitið)が監督する(基金法44条)。職域年金の拠出金の徴収は国税庁長官(Ríkisskattstjóri)が監督する(基金法6条)。
一部の団体の国際比較によれば、アイスランドの年金制度は常に上位に位置している。2023年のマーサーCFA協会グローバル年金指数ランキングでは2023年は2位(1位はオランダ)、2022年は1位であった48。ナティックスのグローバル退職指数ランキングでは、2023年、2022年ともに3位(1位はノルウェー、2位はスイス)であった49。
2014年の金融監督局とアイスランド年金基金協会合同の調査によれば、全期間平均給与に対する所得代替率の中央値は以下のとおりである。
表11 所得代替率
旧制度(DB) | 新制度(DA) | |
---|---|---|
第1の柱 | 22% | 31% |
第2の柱 | 84% | 59% |
第3の柱 | 8% | 9% |
計 | 115% | 99% |
出所:FSA(2014), p. 34。
旧制度の方が、所得代替率が高い原因は、第一に旧制度の方が公務員対象で歴史が古く積立期間が長い事、第二に積立目標が旧制度は70%以上であるのに対して、新制度は調査時点では56%であったことにある(旧基金法4条)。しかし、時間がたてば新制度の加入者の積立期間は長くなると考えられる上に、2023年から新制度の積立目標を72%に上方修正するとともに最低限の掛金率を3.5%引上げたので、新旧制度の差は解消に浮かうと考えられる。なお表中で旧制度の方が第1の柱の所得代替率が低いのは、所得制限があるからである。
2023年夏、アイスランドの年金基金を悩ませた最大の法的問題は、住宅金融基金(ÍL-sjóður)の債券の早期償還問題であった。政府は住宅金融基金清算の一環として、債券を早期償還できるよう法改正する計画だった。元本とその日までに発生した利息は支払われるが、将来の利息は受給することができなくなり、社債の大口保有者である年金基金が被る市場価値の損失総額は、1,500億クローナ(10億4000万ユーロ)と推定された。この政府の清算処理法案に労働市場団体も非常に批判的であり、政府に対し新法案を放棄し、「受け入れられる」解決策を交渉するよう求めた。これと歩調を合わせて20の年金基金も、計画を放棄し、公正な根拠に基づいて社債保有者との交渉を開始するよう求める声明を発表した。年金基金は、和解日から当初の最終償還日までの利息を支払わないことは憲法の財産権条項に違反し、アイスランド国家が損害賠償責任を負うべきと主張しており、まだ決着がついていない50。
2023年11月に壊滅的な火山噴火により避難を余儀なくされたグリンダヴィークの住民への年金基金からの住宅ローンの負担軽減対応が決定した。アイスランド南西部の人口3,400人の漁村、グリンダヴィークの住民の住宅ローンの利息と返済を3カ月間、銀行は取り消した。グリンダヴィークの住民グループは12月4日にギルディ年金基金の事務所を訪れ、銀行の措置に倣って年金資金からの住宅ローンの金利と返済額を引き下げるよう要求した51。年金セクターは、グリンダヴィークの住民から、住宅ローンの支払いと利払いを軽減する業界の取り組みが遅すぎるとの非難を受けていたが、2024年2月にアイスランドの12の年金基金が、グリンダヴィークの個人向け住宅ローンに対する国庫の支援拡大に関する協定に署名し、その協定に基づいて財務省は、個人への住宅ローンの未払い利息と価格補償金を6カ月間にわたって支払うことを約束した52。
1995年から2021年までは、年金基金の実質利回りは平均4.9%であり予定利率の実質3.5%を上回っていたが(IMF(2023), p. 18)、ここ数年、アイスランドの年金基金は高金利による債券価格の下落と、高いインフレにより実質リターンの低下に悩んでいる。2022年は株と債券が下落し、インフレ率が9.6%だったため実質リターンの平均はマイナス12%となった53。2021年末にGDPの219%あった年金基金の資産は、2022年末には183.2%に減少した54。運用の低迷を受けて、第6節で述べたように、複数の基金で給付減額を実施している。なお、2023年のアイスランドの年金基金の平均名目リターンは8.5%を記録し、同年のインフレ率が約8%だったため、実質リターンは平均0.5%となったが55、予定利率3.5%には及ばなかった。
アイスランドの年金制度は、社会保障年金、職域年金、任意の年金貯蓄という3つの柱からなる。第1の柱の社会保障年金は強制加入であり、税財源により基礎的な年金を支給し所得制限がある。第2の柱の職域年金は、被用者のみならず自営業者の強制加入の制度で、年金基金が運営を担っており、所得代替率72%を目標とするが保証はしていないのでIMFは目標建て(Defined Ambition, DA)制度と位置付けている。毎年、アクチュアリーによる財政検証があり、資産と負債の差が10%以上乖離した場合または5年間継続して5%乖離している場合、給付を増減するなどの規約を変更する必要がある。2022年は資産と負債の差が10%以上乖離して、複数の年金基金で給付減額を実施することとなった。毎年発生する年金受給権を累積しているために、長期的に資産運用利回りがインフレ率を3.5%(予定利率)上回れば、累積された年金権が一時的なマーケットの変動に影響されずに目標を達成できる設計になっている。第3の柱の任意加入の個人の年金貯蓄は、老後のための税制優遇のある個人勘定を有する確定拠出(DC)制度で、資産運用の選択肢が個人にある
アイスランドの年金制度は、一部の団体からの評価が非常に高いが、第2の柱も第3の柱も資産運用リスクに常時さらされているので老後保障の不安定さは残る。また、アイスランドは事前積立の第2の柱が中心であるが、小国であるので事前積立をしても世界の資本市場が十分吸収できる大きさであることも念頭に置く必要がある。日本の公的年金の場合は部分的な積立しかしていないが、それでもGPIFの2023年12月末の資産残高は225兆円となっており、アイスランドの28倍である56。万一事前積立に舵を切っても、世界の資本市場でマーケットインパクトを抑えて吸収しきれるか疑問である。なお、今後日本ではインフレが常態化する可能性があり、また被用者と雇用主のリスク分担への関心も高いので、インフレを意識した運用目標があり、DA制度を持つアイスランドの年金制度の動向は、日本の企業年金および公的年金にとって興味ある研究対象である。
参考文献
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https://www.lifeyrismal.is/is/landssamtok-lifeyrissjoda/skyrslur-og-greinar/breytt-landslag-i-sereignarsparnadi (2024.03.14)
Birgisson, F (2022)"Saga tekjutengingar ellilífeyris almannatrygginga frá 1946" kjarninn
https://kjarninn.is/skodun/saga-tekjutengingar-ellilifeyris-almannatrygginga-fra-1946/ (2024.02.28)
EC(European Commission) (2023)" Accrued-to-Date Pension Entitlements in Social Insurance: Fact Sheet Iceland "
https://ec.europa.eu/eurostat/documents/7158500/12335606/IS_T2900_factsheet.pdf/567d5347-b414-5047-2c1c-9a420e0e659b?t=1613387919387, (2024.03.08)
FSA(The Financial Supervisory Authority of Iceland)(2014)"Retirement savings adequacy - Measurement in Iceland", December.
https://en.fme.is/media/news/Retirement-Savings-Adequacy---Iceland.pdf (2024.03.01)
Gudmundsson, M. (2001). ‟The Icelandic pension system” Central Bank of Iceland Monetary Bulletin, 1, 42-59.
https://www.sedlabanki.is/lisalib/getfile.aspx?itemid=ffa738e6-a66a-4fc3-a97b-7e7ac6fe67fb (2024.03.01)
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- Pension Fund Regulation and Supervision" IMF country report No. 23/282, July 21.
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https://www.sedlabanki.is/hagtolur/opinber-gengisskraning/ (2024.03.16)
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OEMDC/ADVEC/WEOWORLD (2024.02.25))から筆者算出。
外務省のウェブサイトによる。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/iceland/data.html (2024.02.28)
Defined Ambition(DA)の説明として英国政府は、既存の確定給付 (DB) および確定拠出 (DC) 年金を補完するために導入したいと考えている新しいカテゴリーの年金であり、DC よりも個人に高い確実性を提供し、DB よりも雇用主にコストの変動を抑えることを目的としていると、述べている。(https://assets.publishing.service.gov.uk/media/5a7eb9b2e5274a2e87db180f/rr866-defined-ambition-consumer-perspectives-summary.pdf (2024.03.01))
この「2 沿革」に記載の内容は、特に断らない限り(Gudmundsson(2001), p. 48)による。
https://www.asi.is/media/3157/lifeyrissjodirsagan.pdf (2024.03.01)
https://www.asi.is/media/3157/lifeyrissjodirsagan.pdf (2024.02.29)
https://www.lifeyrismal.is/is/frettir/category/952/20-ara-afmaeli-vidbotarlifeyrissparnadar (2024.02.29)
この「3.1 社会保障制度」に記載の内容は、特に断らない限りアイスランド政府ウェブサイト(http://www.island.is)およびISSA(2018)による(2024.05.11)
所得制限は概略を述べるにとどめるが、詳細が必要な場合は、アイスランド社会保険庁の「2024年の老齢年金および関連給付表」( https://assets.ctfassets.net/
8k0h54kbe6bj/5bz6v8eYmm21JSWpSga5KC/7a00c7ab061a09f5d5e4d129cca3027f/
Ellil_feyrir_-__treikningur_l_feyris_og_tengdra_grei_slna_2024__2_.pdf(2024.05.14))および「2024年の障害およびリハビリテーション年金の額」(https://assets.ctfassets.net/8k0h54kbe6bj/1SONS1CYqtJGFMNX9Tl2w7/dfb1013ce
119e392597f9ea1a6b310db/_rorku-_og_endurh_fingarl_feyrir_-__treikningur_l_
feyris_og_tengdra_grei_slna_2024__2_.pdf(2024.05.14))を参照されたい。
https://www.tr.is/reiknivel/ (2024.03.01)
2015-2016年の議会への社会保障法改正資料。https://www.althingi.is/altext/145/s/1624.html(2024.02.29)
例えば給与所得のみ月額300,000クローナあれば、300,000クローナから25,000クローナと200,000クローナを控除した75,000クローナの45%の33,750クローナが年金月額から控除される。
資本収入のみ月額100,000クローナあれば、これから25,000クローナを控除した75,000クローナの45%の33,750クローナが年金月額から控除される。
給与所得が月300,000クローナで資本収入が月100,000クローナであれば、合算した400,000クローナから25,000クローナと200,000クローナを控除した175,000クローナの45%の78,750クローナが年金月額から控除される。
https://island.is/en/application-for-half-retirement-pension (2024.03.01)
https://island.is/en/application-for-half-retirement-pension/amounts(2024.03.02)も参考にした。
https://www.tr.is/ororka (2024.03.01)
https://island.is/oerorkustyrkur(2024.05.12)
https://island.is/umsokn-um-endurhaefingarlifeyri (2024.03.04)
https://island.is/danarbaetur, https://island.is/danarbaetur/fjarhaedirおよびhttps://island.is/framlenging-danarbota(いずれも2024.05.12)
https://www.tr.is/65/onnur-rettindi/barnalifeyrir (2024.03.03)
https://island.is/barnalifeyrir-vegna-nams-eda-starfsthjalfunar(2024.6.3)
障害者制度改正案への論評でマリノ・G・ニャルソンは若年で障害を負った者は労働市場への参加の少なさから、年金基金からの受給権がないことを指摘(https://www.visir. is/g/
20242560803d/nytt-ororkukerfi-verra-theirra-rettlaeti(2024.05.13))、 また社会保障法改正法案に関するアイスランドの全国発達支援協会の解説では、年齢加算金は、「年金や資本収入が微々たるものであることが多いグループに対応することを目的としている」と述べている。(https://www.throskahjalp.is/is/samtokin/frettir/umsogn-landssamtakanna-throskahjalpar-um-frumvarp-til-laga-um-breytingu-a-logum-um-almannatryggingar-aldursvidbot-138-mal(2024.5.13))
https://island.is/umsokn-og-endurmat/fjarhaedir-og-fritekjumoerk(2024.05.12)
https://island.is/uppbot-a-lifeyri(2024.05.12)
https://www.tr.is/65/heimilisuppbot (2024.03.03)
配偶者死別手当の付加給付としての住宅手当の金額及び所得制限については、アイスランド政府のウェブサイトには記載されていなかった。
労働協約に規定している例としては例えば、https://www.bhm.is/vinnurettur/laun/orlofs-og-desemberuppbaetur(2024.05.14)
https://island.is/reglugerdir/nr/1414-2023(2024.05.14)
https://island.is/en/spouse-and-carer-benefits(2024.05.13)
https://island.is/en/vehicle-allowance-for-people-with-reduced-mobility-blind-people-and-pensioners(2024.05.13)
https://island.is/en/vehicle-allowance-for-people-with-reduced-mobility-blind-people-and-pensioners/amount(2024.05.13)
https://www.lifeyrismal.is/is/spurt-og-svarad/maka-og-barnalifeyrir (2024.03.01)
Ibid.
https://www.lifeyrismal.is/is/frettir/category/952/20-ara-afmaeli-vidbotarlifeyrissparnadar (2024.03.14)
https://www.government.is/diplomatic-missions/embassy-article/2020/03/21/Icelandic-Government-announces-1.6bn-USD-response-package-to-the-COVID-19-crisis/ (2024.03.14)
https://www.sl.is/sereignarsparnadur/sereign/tilgreind-sereign/ (2024.03.14)
Ólaffsson(2017)によれば、スライドは、最低賃金上昇率または物価上昇率のいずれか高い方を参照することになってたが、金融危機の影響が大きかった2010年には停止され、その後2011年から徐々に復活した。
欧州委員会の資料(EC(2023))ではDC制度と位置付けている。
ほとんどのDB制度は賃金スライドだが、ブルー年金基金の管理しているレイキャネスベア年金基金のDB制度は1997年1月からは物価スライドになっている(ブルー年金基金規約 p. 68)。
https://www.lifeyrismal.is/is/spurt-og-svarad/lifeyrissjodurinn-minn (2024.03.01)
https://arsskyrsla.stapi.is/2022/avarp-stjornarformanns (2024.03.08)
欧州経済領域(European Economic Area、EEAと略)とは、EU(欧州連合)に(欧州自由貿易連合(EFTA、エフタ)加盟のノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインを含めた共同市場で1994年に発足した(デジタル大辞泉による)。
欧州経済領域の多者間取引所 (MTF) は、複数の当事者間での金融商品の交換する取引システムのこと。通常、トレーダーは電子的に注文を送信し、マッチング ソフトウェア エンジンが買い手と売り手を結び付ける。MTF は通常、より珍しい取引商品や店頭 (OTC) 商品を提供する。米国における代替取引システム (ATS) に相当する。(https://www.investopedia.com/terms/m/multilateral_trading_facility.asp (2024.02.14))
https://www.sedlabanki.is/hagtolur/nanar/2024/03/05/Lifeyrissjodir/?stdID=11(2024.03.18)
GDP値はアイスランド中央銀行(https://www.cb.is/publications/news/news-all-years(2024.03.18))の2024年3月5日のニュースの数値から算出。
アイスランド中央銀行https://www.sedlabanki.is/hagtolur/nanar/2024/03/05/Lifeyrissjodir/?stdID=11 (2024.03.15)
IMF(2023), p. 15-18およびアイスランド中央銀行のウェブサイト(https://www.sedlabanki.is/hagtolur/nanar/2024/03/05/Lifeyrissjodir/?stdID=11 (2024.03.15))の数値による。
2023年はhttps://www.mercer.com/ja-jp/about/newsroom/global-pension-index/,2022年はhttps://www.mercer.com/ja-jp/insights/investments/market-outlook-and-trends/mercer-cfa-global-pension-index/ (2024.03.15)
2023年はhttps://www.im.natixis.com/intl/research/2023-global-retirement-index, 2022年はhttps://www.im.natixis.com/intl/research/2022-global-retirement-index (2024.03.15)
https://www.ipe.com/top-1000-pension-funds/iceland-government-faces-pension-fund-ire-over-housing-bond-controversy/10068617.article (2024.03.09)
https://www.ipe.com/news/icelands-gildi-draws-ire-as-pensions-lobby-works-on-loan-relief-for-volcano-town/10070485.article (2024.03.09)
https://www.ipe.com/news/icelandic-pension-funds-agree-mortgage-support-for-grindavik/10071582.article (2024.03.09)
https://www.ipe.com/news/icelandic-pension-fund-returns-slump-real-12-in-2022/10064833.article (2024.03.09)
https://www.ipe.com/news/pension-assets-shrank-16-last-year-with-20-decline-for-netherlands-uk/10067461.article (2024.03.09)
アイスランド年金基金協会の数値。なお、過去10年間のアイスランド年金基金の平均実質収益率は約4.1%、5年間では約3.8%であり、基金の義務に対する収益基準である3.5%を上回っていると同協会は付け加えたhttps://www.ipe.com/news/icelandic-pension-funds-agree-mortgage-support-for-grindavik/10071582.article (2024.03.09)
2023年12月末でGPIF資産224.7025兆円(GPIFウェブサイト)、アイスアランドの年金資産7.2869クローナ(アイスランド中央銀行ウェブサイト)、1クローナ=1.11円(3月21日)として計算:224.7025÷7.2869÷1.11=28.