Supplement of Association of Next Generation Scientists Seminar in The Japanese Pharmacologigal Society
Online ISSN : 2436-7567
2025 Nagoya
Session ID : 2025.1_AG2
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[title in Japanese]
*Yoko Takahashi
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Abstract

 近年、種々の中枢神経系疾患の病態や発症メカニズムなどの解析が進み、その創薬への応用が期待されている。また多様なモダリティ開発も盛んだが、それらを最大限活用するためには、ドラッグデリバリーシステム(DDS)技術開発も重要といえる。しかし脳組織が標的となる中枢神経系疾患においては、血液脳関門(BBB)の存在がDDS開発の大きな障壁となっている。

 これまでに我々は、ポリエチレングリコール修飾リポソームに超音波造影ガスを封入した超音波応答性のナノ粒子(ナノバブル)を開発してきた。ナノバブルは、超音波照射に応答して振動・圧壊が誘発され、それらの挙動を利用することで、超音波造影輝度の向上、あるいは生体内バリアの透過性亢進を可能とする。これらの現象は超音波を照射した部位に限局したものであることから、標的部位における薬物・遺伝子・核酸などの生体内バリアの突破を目的としたデリバリーツールとしての期待は大きい。実際に、ナノバブルと種々のモダリティの混合溶液を局所あるいは全身投与し、体外からの超音波照射を併用することで、極めて短時間で標的組織内へのデリバリーが可能となることを明らかとしている。また臨床においては、超音波造影剤であるマイクロバブルと集束超音波の併用により、BBBを一時的に開口させ悪性脳腫瘍への抗がん剤デリバリー効率を向上させる技術が利用され始め、その他の疾患への応用も期待されている。

 本講演では、我々のナノバブルと超音波照射によるマウス脳組織でのBBBオープニング技術について紹介しつつ、これまでに開発してきた種々のナノバブル技術と下肢虚血モデルマウス・腫瘍モデルマウスなどを用いた検討も通じて、超音波応答性ナノバブルを用いたDDSの可能性について議論したい。

COI:発表内容に関連し,筆頭および責任発表者の過去3年間,開示すべきCOI関係にある企業などはありません。

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