Niigata Iryo Fukushi Gakkaishi
Online ISSN : 2435-9777
Print ISSN : 1346-8774
[title in Japanese]
[in Japanese]
Author information
JOURNAL FREE ACCESS FULL-TEXT HTML

2022 Volume 21 Issue 3 Pages 136

Details

去る10月30日土曜日、新潟医療福祉大学において当大学リハビリテーション学部理学療法学科の大西秀明大会長のもと、同学科の先生方が実行委員会を組織して学術集会が開催されました。今年度の学術集会のテーマは、「チーム医療・多職種連携に求められる人材育成と医工連携」でありました。昨今の高齢化に伴う医療需要の高まりを見据えて、チーム医療と多職種連携における人材育成について、今後の医療福祉の在り方も含めて議論がなされました。医工連携の視点では、医療現場が抱える課題(ニーズ)と、研究機関や開発事業が備えている技術力(シーズ)を連携させて医療技術の開発を推進するために必要なことについて、多角的な視点から意見交換がなされました。

特別講演では、東北大学大学院医工学研究科リハビリテーション医工学分野の出江紳一教授による「医工連携とリハビリテーション」をテーマとしたご講演がありました。講演では、出江先生が取り組まれている研究や、研究開発された機器の治療への応用についてご紹介いただきました。特に、医療や治療の質を向上させるためには患者経験価値を高めることが大切で、それに必要なことは“観察・洞察”をもって患者さんの潜在ニーズを把握し、“共感”をもって多職種連携を図りながら解決策を創り出すこと、そのためにはデザイン思考が有効であるとのお話でした。講演をうけて、私も医療と教育に携わる身として、対象者の結果や成果だけでなく、そこに至る過程の経験価値が加わることで、効果と質が上がることをあらためて学ばせていただきました。

シンポジウムでは、「医療・福祉・工学分野における学際的な人材育成モデルの構築に向けて」というテーマで、原陽介先生(株式会社LIFE TODEI代表取締役)、井上剛伸先生(国立障害者リハビリテーションセンター 福祉機器開発部・研究部長)、浅川育世先生(茨城県立医療大学 教授、附属病院リハビリテーション部長)、田上未来先生(厚生労働省 福祉工学専門官)からご講演がありました。原先生からは実例や概略図を交えながら医工連携に必要なニーズの把握とデザイン思考やバイオデザインの特徴について、井上先生からは工学研究者としてのお立場から実際の症例を交えながら支援機器開発プロセスと開発を促進するための枠組みや人材育成モデルについて、浅川先生からは人材育成モデルとして理学療法教育における支援機器を用いた授業の紹介や学生アンケート結果と医療専門職カリキュラムへの可能性について、田上先生からは厚生労働省科学研究費の支援機器の開発・普及に資する調査研究事業の概略についてお話がありました。質疑応答では活発な意見交換がなされ、分野の異なる専門職が連携するには、まずは根気強く情熱をもって話し合うことが必要であり、共通認識をもちながら共感しあうことで潜在ニーズに対する解決策が生まれると感じました。

最後に、今回の学術集会をオンラインでありながら盛況かつ成功裏に導いた大西秀明大会長、椿淳裕実行委員長、実行委員として運営いただきました新潟医療福祉大学理学療法学科の教員の皆様に敬意を表するとともに、来年度開催される第22回新潟医療福祉学会学術集会がさらに発展することを期待して印象記とさせていただきます。

 
© Niigata Society of Health and Welfare

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
feedback
Top