Niigata Iryo Fukushi Gakkaishi
Online ISSN : 2435-9777
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2023 Volume 23 Issue 2 Pages 1

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2023年5月1日、医療法に基づく医療機能情報提供制度に関する告示が改正された。同制度では、病院等の管理者は、医療法(昭和23年法律第205号)第6条の3第1項の規定に基づき、患者が病院等の選択を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に報告することとなっている。この報告事項には人員配置が含まれている。これまで、医療従事者の職種として管理栄養士及び栄養士が規定されていなかったところ、改正により、管理栄養士及び栄養士が追加された。2002年4月1日に栄養士法一部改正が施行され、病院の管理栄養士業務は従来の栄養管理から栄養補給法を含めた総合的な臨床栄養管理に変わったが、約20年を経て、ようやく医療従事者の職種として規定された。教育の現場では2002年の栄養士法一部改正に伴い、管理栄養士養成カリキュラムは全面的に改正され、生化学、生理学及び臨床栄養学などの医学系教育が重視されるようになった。前述のとおり、管理栄養士が医療職として規定されたのがカリキュラム改正の数十年後であることから、管理栄養士の役割が社会において十分に認識されていないことが考えられる。患者やクライエントに食物と栄養管理を確実に提供できる有資格者であること、業務は科学的根拠に基づいて実践すること、さらには患者やクライエントの食習慣を変えることは、責任を伴うことを管理栄養士は強く認識する必要がある。

一方、我が国では超高齢社会を迎え、過栄養や低栄養が混在する栄養障害の二重負荷が顕在化しており、健康寿命を延伸する取り組みが求められている。今後、多様な社会ニーズに対応できる管理栄養士の養成が重要となることから、教育課題は少なくない。管理栄養士養成の栄養学教育モデル・コア・カリキュラムでは、学修目標を包括した上で、養成校の独自カリキュラムが期待されているが、臨床現場での実習時間が少ないことが最重要課題と考えている。国際栄養士連盟では、栄養士養成の最低必須条件として専門的な実習500時間を示しており、2008年に我が国で開催された第15回国際栄養士会議においても確認されている。日本栄養士会研究教育職域企画推進委員らが、21ケ国を対象とした臨地・校外実習の現状に関する2011年調査によると、多くの国は、学士号を必須学位としている。また、監督下での専門的な実習に関しては、1,000時間を超える国が多い中、500時間を下回っていたのは日本とノルウェーの2ケ国だけであった。日本の栄養士法施行規則では、管理栄養士の臨地・校外実習時間は4単位以上(180時間以上)と定められているが、この実習時間の中で、近年の診療報酬改定及び介護報酬改定等に対応できる管理栄養士は養成できるのだろうか。当然のことであるが実習時間だけではなく、内容も重要である。日本における理学療法士、作業療法士、看護師等の臨地実習では段階的な実習が取り入れられており、理学療法士養成では、臨床実習で実習生を指導するために、臨床実習指導者の要件が示されている。このような背景から、管理栄養士の質の確保に向け、養成校教員と実習指導者との連携強化が不可欠である。また、管理栄養士養成教育において最も大切なことは、患者やクライエントの人生に共感し、人間の栄養管理ができる専門職を育成するという信念を持つことであると考える。

 
© 2023 Niigata Society of Health and Welfare

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