Nursing Journal of Kagawa University
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This and that at the time of opening: Origin of the painting of the entrance Pee and the opening of the master's course
This and that at the time of opening: Origin of the painting of the entrance Pee and the opening of the master's course
Keiko Imai Kishi
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2021 Volume 25 Issue 1 Article ID: a17

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開設当時のあれこれ:玄関口ピーの絵画の由来と修士課程開設

香川医科大学医学部看護学科初代学科主任(後年の学科長)・元教授

キシ・ケイコ・イマイ Kishi Keiko lmai, DNSc., MSN., BSN

【看護学科在籍:平成9(1997)年4月1日~平成14(2002)年3月31日】

光陰矢のごとし,あっという間に時はすぎ,創設時代に関わる歴史を知る人々も少なくなったということで,何らかのかたちに記録として残しておくことにより,看護学科の文化は維持され,発展していくものと考え,看護学雑誌刊行25周年の原稿依頼を受けましたこと,光栄に思います.

私(図3)が卒業した,フィラデルフィア市のペンシルバニア大学看護学部大学院では,同窓会誌,ThePennsylvenia Gezetteに各学部の主なニュースが2ケ月毎に送信され,看護学部からは,Homecomingの時期に学部の教授,卒業生,夜学生の状況や,助成金,募金の状況が連絡されます.看護学部棟のロビーには歴代の看護学部長の肖像画が展示されています.

さて香川大学医学部看護学科に新築の看護教育研究棟ができ,玄関口ビーのイメージをどう作ろうかということで,看護学科教授会でそれぞれの教授が提案資料を提出し,全員に選ばれたのが,この絵画(図4),今井ロヂン作「I嬢」の油絵でした.今井ロヂンは私の父で,この作品は二科会員として,第64回二科展,1979年に出品されたものです.(注:今井ロヂン(艦) (1909-1994),1941年;藤田嗣治に師事,1955年;TIMES誌上に掲載,1970年;二科会会員審査員,1975年;二科会員努力賞・日芸絵画大賞,作品は海外大使館10箇所などに所蔵)

父は藤田嗣治を師とし1941-1949年まで,師が米国に去るまで仕え,最後の一年半は師の練馬小竹町のアトリエで生活を共にした唯一の弟子でした.ロヂンの独創性と創造性が完成したのは,1970年から1980年代で,「I嬢」は彼の最盛期の作品の一つで,彼の哲学,「美は万物にまさる」として,「永遠の命,躍動する静,優雅,愛情」を表現しています.ロヂンの画名は祖父が命名しました.海軍技師でイタリー,トリノで潜水艦のエンジンの研究のため1917年から二年間留学し,日本で,最初の潜水艦のプロトタイプを制作したことで,画家を目指す息子に広い海を操る人と名付けました.当用漢字で「艦」という漢字が使われなくなり,ローマ字になりました.

次に,私が現在思うことを少し書きます.香川大学医学部看護学科の修士課程は私が最も力を入れた仕事の一つで,これはペンシルバニア大学看護学部,修士課程のモデル・コアカリキュラムをもとに作成されました.このプログラムは令和元(2019)年文部科学省が提出している,実に洗練されたモデル・コアカリキュラムのプロトタイプと考えても良いと思います.私が学科長(当時は学科主任と称した)として在籍した時代には国内で修士課程が十数校でしたが,現在令和2(2020)年には175校,また博士課程が90以上と増加し,変化の激しい新しい時代の要求に対応できる教育体制,人材育成が整い,国際レベルの質の高い教育を外国に留学しなくても国内で受けることが可能になりました.これからの看護大学,大学院の卒業生が幅広く看護実践に貢献し,看護知識体系の充実のための研究を進め,それぞれ独創的な分野を開拓し,ヘルスケアのリーダーシップをとっていけば,2020年のコロナヴィールス禍を生き抜くことができるのではと考えます.香川大学医学部看護学科の繁栄を祈ります.

図3

キシ・ケイコ・イマイ佐久大学・元香川大学教授

2013年9月19日~23日小諸高原美術館での水彩画展

図4

看護学科棟1階ロビーの「I嬢」(1979年)

今井ロジン作(寄贈(財)誠恵会)

関連文献
 
© 2021, School of Nursing, Faculty of Medicine, Kagawa University

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