Host: The Nursing Pharmacology Conference
Name : The Nursing Pharmacology Conference 2022 in Kochi
Number : 2
Location : [in Japanese]
Date : October 01, 2022
本シンポジウムは「妊産婦への薬剤投与のBasic Knowledge」との題で、まず前半に「妊娠中の薬剤投与の特徴と問題点」について解説する。そして、後半は妊娠中にもっとも使用すると思われる「子宮収縮剤」について、産科医療保障制度における脳性麻痺事故調査分析報告書を基に「子宮収縮剤」を安全に使用するために何が必要であるのか解説をする。
前半は「妊娠中の薬剤投与の特徴と問題点」についてである。妊娠前から薬剤を使用必要な方は少なくない。妊娠中、たとえ催奇形性が問題になり得る時期であっても、医薬品を使用しなければ母体のみならず胎児に悪影響を及ぼすこともある。そのため、胎児への悪影響だけを心配して医薬品を単純に中止・減量した場合、母児を逆に危険にさらす可能性もある。しかし、妊婦に十分な説明が行われる機会が少なく、中絶を選択することも少なくない。妊婦から、胎児への影響について尋ねられた場合には、悪影響だけではなく、そうした医薬品使用の有益性・必要性についても十分に説明し理解を得る(インフォームド・コンセント)必要がある。本シンポジウムを通じ、妊娠中の薬剤投与の特徴と問題点について再認識し、患者に説明する機会を持つきっかけにしてほしいと考える。後半は「子宮収縮剤」についてである。産科医療保障制度における脳性麻痺事故調査分析報告書によると、その原因として「初期投与量・増加量・最大投与量などの用量が基準以上であった」、「子宮収縮薬使用中に分娩監視装置を連続的に装着して過強陣痛や胎児の状態を評価していなかった」、「診療録の記載が十分でなかった」、「妊産婦や家族に十分な説明を行った文書がない」ことが指摘されている。医療者自身の対応で防ぎえた事項であったと考えられる。このような背景となったのはなぜなのか。この分析を基に適切な子宮収縮剤の使用方法とは何かを聴講者と一緒に考えていきたい。