Host: The Nursing Pharmacology Conference
Name : The Nursing Pharmacology Conference 2022 in Kochi
Number : 2
Location : [in Japanese]
Date : October 01, 2022
東日本大震災では、日本の観測史上最大のマグニチュード 9.0 の地震が三陸沖で発生し、その後の大津波は東北から関東の太平洋沿岸地域に壊滅的な被 害を与え、3 万人近い死者・行方不明者を出した。
「津波から救助された人の手当てや肺炎の治療、水に濡れたままでの屋外や 避難所での生活による低体温症の治療が中心で、今回の震災は津波災害が主であり、沿岸地域の多くは浸水によって被害が広範かつ面状に広がり、地域の 医療機関の損壊・機能制限を強いられた。そのため、透析患者や在宅酸素療法患者など生命維持を必要とする慢性疾患をもつ被災者に対する対応が中心で あった」という報告がある。
実際に、私は 2011年に東日本大震災の災害派遣として、医療・保健チーム(第10 陣)の医療救護チームとして石巻市で支援活動を行った。現地に入ったその瞬 間から非現実的な風景に唖然する経験をした。また、その災害支援活動の中で出会ってきた被災者の体験を聞くことで、看護者として被災地に臨むときの姿勢 を再考する契機になった。
シンポジウムでは、私が出会った事例をご紹介し、被災者の背景や言動から 捉えられた、対象者にケアしていく上での視点や対応や、自分が被災地に行った経験より事前に注意すべき情報の種類や事前準備についてお伝えしたい。
最後に、被災者の語りからみえてくる被災体験を踏まえて、効果的な薬物療法 のケアについて考えたことをお伝えしながら、皆様とディスカッションできればと考えている。関心を持ち続け、災害を忘れることなく、教訓を現在に活かすため には、語り継ぐことが大切であると考えている。