Nihon Shishubyo Gakkai Kaishi (Journal of the Japanese Society of Periodontology)
Online ISSN : 1880-408X
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ISSN-L : 0385-0110
Original Work
Estimation of the occlusal force based on the morphological characteristics of the face
Taiji NakamuraMasaki MorishitaKosuke MuraokaTomoya HanataniMichihiko UsuiKeisuke Nakashima
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2016 Volume 58 Issue 1 Pages 33-40

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要旨

過度な咬合力は咬合性外傷を生じさせ歯周炎患者において歯周組織破壊を助長するため,咬合力の測定は歯周組織破壊に対するリスクを評価する上で重要である。しかし,測定に高価な専用機器が必要なため,日常臨床であまり行われていないのが現状である。本研究では,年齢・残存歯数等が比較的近似している若年者を対象に顔貌形態から咬合力を推測できるかを検討した。

九州歯科大学に在籍する学生100名(男性60名,女性40名)を被験者とした。被験者に感圧シートを咬合させ,専用解析装置にて咬合力を算出した。また,顔面の正貌および側貌をデジタルカメラで撮影し,得られたイメージ上でソフトウェア(Image J,NIH,米国)を用いて形態計測を行った。正面像では全頭高,頬骨弓幅,下顎角幅および顔面積,側面像では下顎角を測定した。

男性の咬合力は女性と比較し有意に高かった。また,男性の全頭高および顔面積は女性と比較し有意に高かったが,頬骨弓幅,下顎角幅および下顎角では有意差は認められなかった。さらに,2つの項目(全頭高/頬骨弓幅,下顎角幅/頬骨弓幅)を算出して重回帰分析を行った結果,咬合力は一つの項目(下顎角幅/頬骨弓幅)と性別に大きな影響を受けていることが明らかになった(決定係数=0.25)。本研究の結果から,若年者において方形,尖形といった顔貌と性別によって咬合力をある程度推測できることが示唆された。

緒言

歯周病は歯周組織への歯周病原細菌の感染1)(細菌因子)と,それに対する生体の防御反応である炎症,免疫反応2)(宿主因子)によって成立し,喫煙3),ストレス4)といった環境因子が加わることで病態が複雑化すると考えられている。宿主因子には,年齢,性別,体質(遺伝性因子)5),糖尿病6)や遺伝性疾患7)といった全身性因子とプラークリテンションファクター,咬合性外傷,ブラキシズムといった局所性因子8,9)が存在している。

我々はこれまで外傷性咬合に注目し,様々な研究を行ってきた。イヌを用いた動物実験の結果,①歯周炎罹患歯は歯根膜の粘弾性が変化するため力による歯の変位が健全歯よりも大きいこと10,11),②歯周炎罹患歯は時間とともに挺出し早期接触を引き起こすこと12-14),等を明らかにした。また,①歯周炎患者において高度に動揺を示す歯は咬合力および咬合接触面積が有意に小さくなること15),②歯周基本治療により患者の咬合力は有意に増加し咀嚼機能が改善すること16),等を明らかにした。このように,咬合力や咬合接触面積は,歯周組織破壊に対するリスクや歯周治療の効果を推測する上で重要である。

咬合力の測定には現在,感圧シートを用いる方法が主流である。発色剤が入ったマイクロカプセルのシート(デンタルプレスケール,富士フィルム社製,日本)を咬ませると,咬合接触によってマイクロカプセルが壊れ赤色に発色する。この発色を専用の機器(オクルーザーFDP707,ジーシー社製,日本)で読み取り咬合力を可視化する17-20)。また,電極をプリントしたポリエステルフィルムと圧力変化に応じて電気抵抗値が変化する特殊インクにより構成されるセンサーシートにより100分の1秒間隔で咬合接触点の位置,各接触点の順序,力の大きさを定量的に記録する方法(T-スキャンシステム,ニッタ株式会社製,日本)21)も市販されている。これらの機器は高価で咬合力測定が健康保険の適用でないことから一次医療機関での使用例は少なく,臨床の現場では咬耗や下顎隆起などの所見から咬合力の大きさを推測するに留まっている。

咬合力の発現には咀嚼筋,特に閉口筋である咬筋の機能が関与している。咬合力の発現時には,咬筋の厚さや断面積が増加,咬筋の幅が減少することが報告されている22)。また,咬筋と歯列弓の位置関係は,筋力がより効率的に働くような解剖学的形態をとっている23)。咬合力と下顎骨の形態との関係には咀嚼筋が関与している。健常有歯顎者のタッピング運動時における側頭筋前部と咬筋浅層の筋電図活動を測定した結果,両者の総筋活動量と下顎骨の大きさとの間に有意な相関を認めている24)。咀嚼機能が退化すると咀嚼筋が付着する頬骨と下顎骨が発達しないため,頬骨は小さくなると同時に後退する結果,顔貌は変化すると考えられている23)。顔貌は咬合力の影響を受けて変化するため,咬合力を推測する際に利用できる可能性がある。

咬合力と顎顔面形態との関係については,頭部エックス線規格写真25-27)や顔面の3D規格写真28)を用いた報告が散見される。また,片側咀嚼習慣の習慣が顕著なものは若い年齢であっても咀嚼能率,咬合接触面積,顔面形態を左右非対称とさせること29)が報告されている。過去の咬合力と顎顔面形態との関係を検討した論文を元に顔貌から咬合力を推測することは可能であるが,エックス線撮影や高価な撮影機器を必要とするため臨床の現場で用いるには様々な問題がある。よって,専用機器を用いず顔貌から咬合力を推測することができれば,臨床的な意義は高いと考えられる。本研究では,加齢による歯周組織の喪失や咀嚼筋の筋力低下を考慮する必要がない若年者を対象として,顔貌から咬合力を推測できるか検討した。

材料および方法

1. 被験者の選択

本研究では九州歯科大学3~6年次生に在籍する学生のうち,①歯列矯正の既往を有する者,②骨格性不正咬合を有する者,③智歯以外の永久歯抜去の既往を有する者,を除外した100名(男性60名,女性40名,20~27歳,平均年齢23.1±2.99歳)を被験者とした。すべての被験者に対してあらかじめ研究内容について説明し,同意が得られた後に研究に参加させた。本研究は,九州歯科大学倫理委員会の承認を得て実施された(承認番号:12-45)。

2. 咬合力の測定

咬合力の測定には感圧シート(デンタルプレスケール50H-Rタイプ,富士フィルム社製,日本)を用いた。被験者に座位にてカンペル平面が床と平行になるような姿勢を取らせ咬頭嵌合位を確認した後,感圧シートを口腔内に挿入し最大咬合力で3秒間咬合させた。なお,測定値の誤差を補正するために,被験者1人につき3枚のデンタルプレスケールを使用した。咬合させた後は,3時間以内に専用解析装置(オクルーザーFDP707,ジーシー社製,日本)にて解析した。1枚のシートにつき3回ずつ測定を行い,3枚のシートの計9回の測定値の平均値を被験者の咬合力とした。

3. 顔貌の測定

顔貌の形態測定は写真上で行った。被験者に座位にてカンペル平面が床と平行になるような姿勢を取らせ,口唇を閉じた状態で写真撮影を行った。撮影する前に,被験者の左右下顎骨関節突起部と下顎角部に直径5 mmのマーキングシールを貼り,測定点とした。撮影にはカメラ用三脚に固定したコンパクトデジタルカメラ(Coolpix S6200,ニコン社製,日本)を用いた。デジタルカメラのレンズは焦点距離4.5-45.0 mm(35 mm判換算25-250 mm相当の撮影画角)であり,被写体とカメラとの距離は100 cmに設定した。また,正面像を撮影する際には,被験者のオトガイ底直下5 cmの位置に10 cmの長さが判るよう印記したスケールを同時に写しこみ測定の基準とした。さらに,側面像は左右両側から撮影を行った。得られた画像上で画像解析ソフト(Image J,NIH,米国)を用いて測定を行った。顔貌の測定はマルチン式人体計測法における顎顔面領域の測定項目を参考にした30,31)。正面像では①全頭高(頭頂部からオトガイ底までの距離),②頬骨弓幅(左右頬骨弓を結ぶ直線の距離),③下顎角幅(左右下顎角部を結ぶ直線の距離),④顔面積(耳を除く顔面の輪郭線を結んだ領域),側面像では⑤下顎角(下顎骨関節突起部と下顎角部を結ぶ直線および下顎角とオトガイ底を結ぶ直線で形成された角度)を計測した(図1)。下顎角は左右両側面で計測し,その平均値を測定値とした。すべての計測値は測定誤差を考慮し3回行い,その平均値を測定値とした。

図1 正面像と側面像における測定項目

①全頭高,②頬骨弓幅,③下顎角幅,④顔面積,⑤下顎角

4. 統計解析

男女間の違いを検討するためには,測定値が正規分布をし,分散が等しいことを確認した上でt検定を行った。また,咬合力と各計測項目と相関についてはPearsonの単相関にて解析した。さらに,ステップワイズ法にて選択した一部の測定値を説明変数,咬合力を応答変数とした重回帰分析を行った。すべての統計解析は統計解析ソフトJMP9.0.2(SAS Institute 社,米国)を用いて行った。

結果

1. 咬合力の測定結果

咬合力については,まず測定結果の分布をヒストグラムにより確認した(図2)。その結果,分布は左右対称の山型であり,正規分布していることが明らかになった。一般に,男女間では咬合力に差が認められるため,性別により咬合力に差があるかどうか確認した(表1)。その結果,男性の咬合力は女性と比較して有意に高いことが明らかになった。

図2 咬合力のヒストグラム
表1 測定結果のまとめ

2. 顔貌の測定結果

男性の全頭高および顔面積は女性と比較し有意に高かったが,頬骨弓幅,下顎角幅および下顎角では男女間で有意差は認められなかった(表1)。そこで,顔貌の特徴を表す項目として2つの項目(全頭高/頬骨弓幅,下顎角幅/頬骨弓幅)を算出した。その結果,全頭高/頬骨弓幅では男女間で有意差が認められたが,下顎角幅/頬骨弓幅では認められなかった。

3. 顔貌の測定値と咬合力との関連

咬合力と顔貌に関する測定値との関連について検討した(表2)。その結果,相関係数の高い順に下顎角幅,顔面積,頬骨弓幅,全頭高との間に有意な正の相関,下顎角との間に有意な負の相関が認められた(表2)。

次に,咬合力に影響を与える因子を探索するためにステップワイズ法により選択された測定値(性別,年齢,下顎角,下顎角幅/頬骨弓幅)を説明変数として重回帰分析を行った(表3)。その結果,当てはめたモデルは有意であった(決定係数=0.25,p<0.001)。また,ステップワイズ法にて選択した測定値間には共線性の問題等も認められなかったため,このモデルを最終モデルとした。最終モデルでは,下顎角幅/頬骨弓幅と性別が咬合力に対して有意な影響を与えていた。

一般に得られた推定値は各因子の単位(尺度)に大きく左右されるため,そのままでは最終モデルに与える効果の大きさを因子間で比較できない。そこで,得られた推定値を尺度化して最終モデルに与える効果の大きさを比較した(表4)。本研究で用いたソフトウェアでは,測定値に対して平均を0,範囲を2に尺度化した係数が計算され,尺度化した推定値が算出された。その結果,下顎角幅/頬骨弓幅,性別(男性)の尺度化した推定値は,各々117.39,64.25であった。

表2 咬合力を目的変数とした各項目との相関
表3 重回帰分析の結果
表4 効果の比較

考察

咬合力の測定には感圧シート(デンタルプレスケール)を用いた。デンタルプレスケールには,圧力測定範囲が3~13 MPaである30Hと5~120 MPaである50Hの2種類がある。また,シートにワックスが付着し一歯単位での咬合接触が確認できるWタイプとシートにワックスが付着していないRタイプがある。本研究では,Wタイプではワックスの厚みにより咬頭嵌合位の変位が生じ生理的な咬合を再現できないとの報告があることから,50H-Rタイプを選択した。プレスケールを用いた咬合力の測定では,被験者の頭部の設定や咬合させる時間によりデータの再現性に課題があると考えられている。頭部の設定にはフランクフルト平面18)や上顎歯列咬合面21),カンペル平面32)を床面に平行にする方法が考えられるが,日常で咬合している状態は食事中の姿勢にあると考え本研究ではカンペル平面を基準とした。咬合させる時間については5秒間以内であれば咬合力の測定結果に有意差は生じない17)との報告があるため,本研究では3秒間咬合させることとした。

咬合力測定の結果,男性は603.24±200.84 N,女性は466.16±157.64 Nで,男女間で有意差が認められた。横田ら33)は咬合力と咀嚼能率との関係をみるために男性69名(平均年齢21.2±0.1歳),女性27名(平均年齢20.4±0.2歳)に対してプレスケールにて咬合力を測定した結果,性別により咬合力の大きさに有意差を認めている。横田らは性別による咬合力の差について,歯の大きさによる咬合接触面積の違いや咀嚼筋の筋力の違いによるものと考察した。

眞竹ら34)は18歳から20歳までの男子学生207名を対象として顔貌の形態測定を実測で行っている。その結果,頬骨弓幅は144.7±6.62 mm,下顎角幅は111.1±7.18 mmであった。この結果は本研究と比べ大きな値を示している。中塚ら35)は垂直的顎間距離について,デジタルカメラによる画像解析による測定値とバイトゲージによる測定値を比較している。その結果,瞳孔から口裂までの距離に関しては写真上での測定値とバイトゲージによる測定値との間に有意差は認められなかったと報告している。一方,鼻下点からオトガイ底までの距離について,写真上での測定値はバイトゲージによる測定値よりも小さな値をとる傾向にあったと報告している。これはバイトゲージによる測定では,バイトゲージが前後方向に傾くことによるものだとしている。このように,写真撮影による顔貌の形態測定では実測値より小さい値をとる可能性が考えられる。本研究では,デジタルカメラで撮影した際に,スケールの位置の方が実測での測定位置より手前にあるため測定値が小さくなったと考えられる。

本研究では,男性の全頭高および顔面積は女性と比較し有意に高かったが,頬骨弓幅,下顎角幅および下顎角に有意差は認められなかった。頬骨弓幅,下顎角幅に有意差を認めないことから,男性の顔面積の大きさは全頭高によるものであると考えられる。また,咬合力は下顎角幅,顔面積,頬骨弓幅,全頭高および下顎角との間に相関を認めた。顔貌形態の項目のうち男女間で有意差を認めるものは,顔面積と全頭高だけである。骨に生じるひずみや局所的な力学的ストレスを感じ取り,ストレスが強くかかりすぎる場所は骨の添加によって補強し,逆にストレスがあまりかからない場所の骨は吸収(廃用)する36)。咬筋の上顎骨との付着部位は頬骨弓であり,下顎骨との付着部位は下顎枝,下顎角の外面である。よって,咬合力によるストレスに対して筋の付着部位付近の骨添加が起こった結果,下顎角幅や頬骨弓幅が大きくなり,下顎角部が後下方に移動し下顎角が小さくなったものと考えられる。

過去の咬合力と顔貌形態との関係を調べた報告には,頭部エックス線規格写真や3D顔貌写真を用いた報告がある。永田ら25)は18~33歳の成人50名(男性25名,女性25名)に対し,側方頭部エックス線規格写真を撮影し,咬合力と顎顔面形態の関係を調べた結果,男女ともに咬合力とSNA(頭蓋底に対する上顎骨の前方への突出角度)との間に正の相関を認めている。また,咬合力と頭蓋底に対する下顎下縁の傾斜度との間に負の相関を認めた。一方,男性では咬合力と下顎角と負の相関を認め,女性では咬合力とSpeeカーブの量,上顎歯列の幅,上顎歯列の長さとの間に正の相関を,フランクフルト平面に対する下顎下縁平面や咬合平面の傾斜度との間に負の相関を認めた。これらの結果より,本研究の咬合力が性別により有意差を認めた背景として,男女間で咬合力を発現させるための歯列および咬合平面の形態に違いがあることが示唆された。井上ら26)は25~34歳の男性19名を対象に,咬合力と頭部エックス線規格写真およびMRI撮影を行った結果,矢状面において,咬筋の体積,下顎後縁平面角(下顎後縁平面とフランクフルト平面とのなす角)の増加,FMA(下顎下縁平面とフランクフルト平面とのなす角)の減少,咬筋の走行軸の順で咬合力と関与していることを報告した。下顎後縁平面は頭蓋底下縁と下顎枝後縁が交わる点から下顎後縁へ引いた接線であり,下顎下縁平面はオトガイの最下点から下顎下縁へ引いた接線である。咬合力による下顎角部周辺の骨添加により,下顎後縁平面は後方に,下顎下縁平面は下方にシフトすることで,下顎後縁平面角が増加,FMAが減少したと考えられる。この現象は下顎角が小さくなることが考えられる。これは,本研究における咬合力と下顎角の大きさとの間に負の相関を認めることと一致する。岩崎ら27)は40名の男性を対象に咬合力,頭部エックス線規格写真および口腔模型を測定した結果,最大咬合力の大きい者は後顔面高(頭蓋底後方の基準点から下顎角部までの距離),後下顔面高(口蓋平面に対する下顎角部の垂直的距離)が大きいことを報告した。Nagataら28)は,男性,女性それぞれ30名の被験者に対して,咬合力と3D顔貌写真を撮影した結果,男女ともに咬合力と下顎角幅との間に有意な正の相関を認めることを報告した。これらの報告は,咬合力による下顎骨の骨添加により,下顎角部が後下方に移動し,下顎枝が側方へ拡大した結果,下顎角が小さくなり,下顎角幅が大きくなったものである。これは,本研究における咬合力と下顎角幅に対する正の相関,下顎角との負の相関を示した結果とも一致する。

本研究では,咬合力と性別および顔貌の各測定項目との間に関連が認められたことから,咬合力に影響を及ぼす測定項目を重回帰分析により検討した。その結果,咬合力には下顎角幅/頬骨弓幅および性別が有意な影響を与えることが明らかになった。尺度化した推定値から考察すると,この最終モデルにおいては方形や尖形といった顔貌(下顎角幅/頬骨弓幅)が咬合力に対して与える影響は性別の約2倍であることも明らかになった。下顎角幅/頬骨弓幅が大きくなるほど顔貌は方形に近づき,小さくなれば尖形の顔貌に近づく。

眞竹ら34)は18歳から20歳の男子学生207名を運動経験の高い群,低い群,ない群の3群に分け,咬合力との関係を調べた結果,運動経験のないグループは運動経験の多いグループと比べ有意に咬合力が小さいと報告した。また,これらの群における顔貌の形態を測定したところ,運動経験のない群において頭示数((全頭高/頬骨弓幅)×100)が大きく,頬下顎示数((下顎角幅/頬骨弓幅)×100)が小さい傾向がみられた。よって,小さい咬合力を示す者の顔面形態は頭部が大きく顎部が狭い,尖形の顔貌であることが示唆された。

結論

学生100名(男性60名,女性40名)を被験者として,顔貌から咬合力を推定できるかを検討した。その結果,咬合力は男女間で有意差があり,下顎角幅,顔面積,頬骨弓幅,全頭高,下顎角との間に相関を認めた。咬合力に影響を及ぼす計測項目を重回帰分析により検討した結果,下顎角幅/頬骨弓幅および性別が有意な影響を与えることが明らかになった。尺度化した推定値を算出した結果,方形や尖形といった顔貌(下顎角幅/頬骨弓幅)が咬合力に対して与える影響は性別の約2倍であった。本研究の結果から,若年者においては方形や尖形といった顔貌(下顎角幅/頬骨弓幅)と性別からある程度,咬合力を推測できることが示唆された。

利益相反

今回の論文に関連して,開示すべき利益相反状態はありません。

References
 
© 2016 by The Japanese Society of Periodontology
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