Abstract
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)に浮腫を伴う場合,ループス腎
炎に起因することが多い.また漿膜炎から心嚢および胸腹腔に腔水症がみられることも度々ある.
今回我々は,全身浮腫を伴う腔水症が顕著であり,心嚢および腹部ドレナージを含めた集中治療
を要したSLEの一例を経験した.症例は8歳女児.6歳時にSLEと診断され,ステロイドパルス療法
および免疫抑制療法が行われたが,寛解には至らなかった.経過中,発熱,呼吸不全にて2回入院(経
過①,②)となった.経過①では胸腹水による呼吸不全で非侵襲的陽圧換気を要し,経過②では呼
吸管理に加えて,腔水症の管理目的に心嚢および腹部ドレナージを必要とした.全身浮腫の所見
と同時期に認めた所見は,血小板減少,発熱,肝脾腫,全身のリンパ節腫脹,急速な腎不全の進
行であり,TAFRO症候群を想起させた.現在TAFRO症候群の定義ではSLEを含めたリウマチ性
疾患は除外基準に該当するが,SLEが背景にあってもTAFRO症候群を発症する可能性があると考
えられた.