2019 Volume 16 Pages 79-101
セブン‐イレブン中国(SEC)は2017年の1年間に中国市場において100店舗以上を新規出店し、中国市場においてテイクオフした可能性を示唆される。本稿では、SECが大量出店を実現した時点における「コンビニの事業システム」の現状を把握するため、3つの事業システムを構成する「フロントシステム」、「バックシステム」、「店舗運営システム」について、SECが直面した課題および対策方法を明らかにした。
2004年以来、中国・北京のマクロ環境が大きく変化したことを背景に、SECは段階的に「フロントシステム」における革新と現地化を行い、高い平均日販を実現した。10年余り苦労した背景には出店数の伸び悩みがあったが、2017年のFC出店契約についての政策が改定され、店舗展開が容易になった。現在、SECが成長軌道に乗りつつある理由は、2017年の出店数の増加に伴う規模の経済と、これまでに築いた「フロントシステム」や「バックシステム」、「店舗運営システム」の相乗効果が発揮されるようなったからである。SECの「コンビニの事業システム」の特徴をみると、最も重視されている戦略は「フロントシステム」における革新と現地化であり、コンビニ国際化が成功する原動力になった。また、「バックシステム」の商品調達システムも品揃えなどと連動しているため、2012年にパートナーの現地誘致や資金投資が行われた。一方、技術重視の商品供給システムでは現地企業が採用された。
セブン-イレブン・ジャパン(以下SEJ)が主導している「セブン‐イレブン(中国)投資有限公司」(以下SEC)は2017年に中国市場において100店舗以上を新規出店し、北京と天津それぞれで最高の出店記録を残した。そのほとんどはフランチャイズ(以下FC)契約による出店であり、売上高は大幅に伸びた(図1と図2参照)。
(出所)SECの社内資料(2018年3月時点)より筆者作成。
(出所)『コーポレートアウトライン(2017年度版)』27頁から作成。
SECは2004年に中国・北京へ進出し、店舗数の拡大が課題であったが、2011年にやっと100店舗出店して黒字転換した。近年、セブン‐イレブン北京は2016年に40店舗、2017年に47店舗を出店し、またセブン‐イレブン天津も2017年に36店舗を出店し2016年の3倍に増加している。SECが中国市場においてテイクオフした可能性を示唆している。
なぜSECは北京で10年余りも苦労し、そして、いま成長軌道に乗りつつあるのか。本稿では「コンビニの事業システム」(鍾, 2016)の分析枠組みを利用して、SECの「コンビニの事業システム」の現状、およびその形成過程を考察し、コンビニのような小売企業が中国市場における事業展開の課題をどのように克服し、今後持続的な成長を目指すのかを明らかにする。
これまでにSECを対象に詳細に考察した研究は、Yahagi and Kar(2009)がセブン‐イレブンの経営ノウハウの米、日、中の間の移転や中国市場における参入段階の現地化戦略を論じた。これに対して本稿では、SECが2017年に大量出店を実現した現段階の「コンビニの事業システム」の現状を把握し、さらに2004年から現在までにその「コンビニの事業システム」がどのように形成されたかを明らかにする。
本稿の構成は以下の通りである。第1節の後半ではSEJの企業文化、およびセブン‐イレブン北京と天津の概要を説明する。第2節では本稿の分析枠組みである「コンビニの事業システム」を論じる。第3節ではセブン‐イレブンの発展を取り巻く中国・北京の小売ビジネス環境の概略を述べる。第4節と第5節ではSECの「コンビニの事業システム」の現状および形成過程を三つのカテゴリーに分けて明らかにする。第6節では全体のまとめと今後の研究課題を提示する。
1.2 SEJの企業文化セブン‐イレブンの基本4原則は、フレンドリーサービス、クリンリネス、品揃え、鮮度管理の4つである。2009年春に世界15カ国の経営陣が初めて東京に集結した。代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)であった鈴木敏文は、「国や地域が変わっても、これらの基本は絶対的」と述べた(『四季報』、2009夏号、Vol.103、9頁)。さらに、国内店舗数が2万店を突破した記念式典において、名誉顧問になった鈴木敏文は「セブン‐イレブンのモットーは自分たちで考え自分たちでやること。これを続けてもらいたい」とあいさつした(『日本経済新聞電子版』、2018年6月14日付)。このように、基本4原則の重視と独自性がセブン‐イレブンの企業文化であると考えられる。
1.3 セブン‐イレブン北京と天津の概要「セブン‐イレブン北京有限公司」(以下セブン‐イレブン北京)は、2004年1月に設立された。当初はSEJと北京首聯集団、イトーヨーカ堂の現地パートナーである中国糖業酒類集団の3社による共同出資会社(うちSEJが65%出資)であり、同年4月に東城区にセブン‐イレブン北京の第1号店東直門店を開店した。その後、出資者が交代し、2016年2月時点ではSECが65%、北京王府井百貨(集団)股份有限公司が25%、中国糖業酒類集団公司が10%の出資割合になっている(『セブン&アイ・ホールディングス事業概要(2015年度版)』、26頁)。このように子会社方式による市場参入を採用することにより、SEJの企業文化の移転は、現地へ駐在員を派遣させる形で行われた。
2017年末時点のセブン‐イレブン北京の平均日販(1日当たりの店舗の売上高)は、2万元~2万4000元(1元は約14円)と初期段階の1万元前後の約2倍に成長し、客単価は平均18元(約310円)、客数は1日1200人に達している。なお、中国連鎖経営協会の最新の調査報告によると、中国におけるコンビニの平均日販は5220元である(『中国便利店発展報告(2018年)』、8頁)。すなわち、セブン‐イレブン北京の平均日販は初期段階から中国コンビニの平均を超えていたが、現在では4倍以上の高業績をあげている。
セブン‐イレブン天津に関しては、2007年~2008年前後の天津市の国内総生産(GDP)は成長率が高く2、コンビニ事業の可能性があると判断したSECは2009年9月に1号店を出店した。さらに、2012年にはセブン‐イレブン北京のもとで子会社セブン‐イレブン天津を設立し、2017年末にはセブン‐イレブン北京同様に、2万元を超える平均日販を記録し、黒字転換を果たした。
SECは現在、北京と天津で確立した「コンビニの事業システム」を基本モデルとしながら、エリア・ライセンシング方式による中国事業の拡大を行っている。1年に2つの新たしい地域への進出が目標とされているが、2018年5月に初出店した南京もそのひとつであった。さらに、北京、天津、成都などの既存地域における店舗増を含めて、2020年には中国全土で2,000店舗達成を目標にしている。
本稿では「コンビニの事業システム」(鍾, 2016)という分析枠組みを利用して、中国・北京市場におけるSECの事業モデルの実態および現地化プロセスを考察する。「コンビニの事業システム」は、鍾が矢作(2011、2014)の小売事業システム、田村(2008)のフォーマットの基本要素、岸本(2013)の小売業研究の構図を参照しながら作成した日本のコンビニ事業のためのモデルである。「コンビニの事業システム」は、「フロントシステム」と「バックシステム」という主要システムと「店舗運営システム」の3つの下位システムに分けられ、コンビニ本部は全体を統括、ガバナンスを行うという構図になる。
まず、「フロントシステム」は小売ミックス、サービス、クオリティ、クリンネス(S&QC)、FCの出店戦略(契約問題を含む)から構成され、顧客との接点から見た業態の特徴であり、小売店舗を通じて顧客に価値を提供し、進出先市場への依存度が高い部分である。そのうちS&QCとFCの出店戦略は、日本型コンビニの特徴であり、広義な小売ミックス、すなわち品揃え、価格戦略、立地戦略、コミュニケーションミックス、店舗デザイン・陳列、顧客サービス(Levy & Weitz, 2007, p.21)の一部に含まれる。次に、「バックシステム」は中食工場、中食・ファーストフード(以下FF)製造技術、物流システム、情報システムから構成され、フロントシステムを背後で支える業務システムのうち、比較的技術重視の部分である。なお、小売店舗におけるPOSシステムなどもあるが、簡略化のためすべてバックシステムの情報システムで論じることにする。最後に、「店舗運営システム」は、加盟店指導や発注業務、在庫管理、人財教育制度等から構成され、主にフロントシステムを補助するシステムであり、現場重視がキーワードとなる。
なお、鍾(2015)は、日本型コンビニの特徴を以下のように要約した。①FC方式推進の結果、直営店よりも加盟店が多い。②中食商品群の売上高比率が高い。③メーカーとの商品開発、共同配送システムが重視されている。④情報システムの構築によって、チェーン運営の効率化を図っている。⑤S&QCが重視されている、の5つである(135頁)。これらの特徴は、図3の「コンビニの事業システム」のなかの①~⑤に示されている。
(出所)鍾(2016)図1(61頁)から作成。
中国の国内生産総額(GDP)は1990年の1兆8873億元から2000年の10兆0280億元、2010年41兆3030億元、2016年74兆4127億元へと増加した。特に2012年までの20年間の経済成長率が10%前後を維持し、中国の高度成長期と言われているが、2012年以降は7%前後の推移に若干勢いが弱まっている。また、2012年を境にかつて「世界の工場」と言われてきた中国のGDPの産業構成は、第3次産業が第2次産業を抜いて広義のサービス産業中心の経済へとシフトした(『中国統計年鑑2017』、表3-1参照)。
国民生活に関して、都会地域の1人当たりの消費支出は1990年の1279元から2000年の4998元、2010年の1万3471元、さらに2016年の2万3079元へと増加し続けて消費水準が向上している。日本の経済産業省の推定によると、中国の上位中間層と富裕層の人口数は2010年に2億人前後であったが、2020年には5億人まで成長する見込みである(『通商白書2013年版』、第Ⅱ-2-1-7図参照)。
3.2 北京市の人口構成、経済状況と教育水準の変化北京市の総面積は16807.8平方キロメートルであり、日本の四国4県とほぼ同じ面積である。セブン‐イレブンが北京市場に参入した2004年における北京市の常住人口は1492.7万人であったが、2016年には2172.9万人に上昇した。常住人口の年齢構成をみると、2016年時点では25歳から29歳が全体の11.8%の256.9万人で最も多く、次いで30歳から34歳が全体の10.9%の236.8万人であった。また、20歳から64歳までが全体の76.4%を占める一方、65歳以上の高齢者は10.5%であり、日本の高齢者割合27.7%の3分の1以下にとどまった(『北京統計年鑑2017』、表3-5:「総務省統計局(2017)」)。
経済状況をみると、北京市の1人当たりの総生産(GDP)は2004年に4943 USドルであったが、2010年には10910 USドルに倍増して、2016年には17795 USドルで2004年の約3倍以上に上った。さらに、1人当たりの可処分所得は2016年に52530元(約7600 USドル)であるが、上位20%の富裕層の場合は105425元(約15400 USドル)であり、次の20%の中高所得層の場合は65,555元(約9600 USドル)であった(『北京統計年鑑2016』、表9-3)。
教育水準に関して、2016年の常住人口のうち大学、専門学校以上卒の人口割合は36%の144436人であり、2011年の31%の105190人より5%の39246人増加した。
3.3 北京市のコンビニ業態の発展に取り巻く法律規制の変化北京市のコンビニ事業に対する審査が厳しく、営業許可が下りるまでに時間がかかることは北京市におけるコンビニ発展の阻害要因として、しばしばメディアに取り上げられた(『中華合作時報・超市週刊』2014年3月14日付、および『好奇心日報』、2017年11月6日付)。しかし、2015年以降、北京市のコンビニ政策は明らかに変化した。
まず、2015年8月に「北京市生活関連サービス業の品質向上行動計画」が公布されて、コンビニ業態は生活関連サービス業の重要な対象に指定された(『北京商報』、2016年5月11日付)。次に、2016年11月に北京市は、2015年11月に公布した規制措置「北京市食品経営許可管理辧法(試行)」を、コンビニ業態の店内調理方式に適用した。それによってコンビニでも「食品経営許可証」1つの免許で、レンジで温めた総菜などの食品を店内で販売することが可能になった(『北京商報』、2017年2月2日付)。さらに、北京市の「朝食環境の改革」の一環として、朝食メニューを提供するコンビニには資金面の援助を行い、2020年までに朝食サービスを提供するコンビニ店舗200店舗を指定する目標を明示した(『北京商報』、2017年2月23日付)。
直近では2018年1月に「連鎖便利店の発展環境を更に向上させる工作方案」が公布されて、これには都市改革による店舗立地の確保、政府からの資金支援による店舗や配送センターの設置、「一区一照」登録制の実施(今まで店舗単位による登録許可を行政地区単位に変更したもの)、「食品経営許可証」の発行時間の短縮化、コンビニにおける代行サービスやコインランドリーの併設などサービス内容拡大の許可など、様々な施策と優遇措置が盛り込まれた。その狙いは2020年までに北京市内にコンビニの店舗数が3000店舗に増加させることにある。
このほかには2017年3月に、北京市政府が建物の壁を壊し違法営業した小売・サービス業態を取り締まり、いわゆる「穿牆打洞」または「開牆打洞」を禁止する運動を開始したため、さまざまな業態が限られた店舗物件を奪い合う事態を招き、その結果コンビニの店舗の家賃コストがさらに高騰した(『中国新聞網』、2017年3月7日付、『聯合報』2018年5月13日付および2018年3月の現地調査)。
以上のように、北京市における若い世代の常住人口の増加、経済成長や上位中間層の拡大、法律規制の緩和などマクロ環境要因の変化が、SECを含む北京市のコンビニ業態の成長にプラスの影響を与えた。一方で、中国の家賃コストが2017年に18%高騰、労働コストも12%上昇したことがあげられる(『中国便利店発展報告(2018年)』、10頁)。もともと北京市は都市構造の特殊性で店舗物件が少なかったうえに、前述した「穿牆打洞」の都市改革により、さらに高騰した家賃コストがコンビニ業態の成長に無視できないマイナス要素であった。
本節では、まず、SECが大量出店を実現した2017年時点の「コンビニの事業システム」のうち、「フロントシステム」の現状を明らかにする。次に、「フロントシステム」における2大要素―品揃えとFCの出店戦略についての課題およびSECによる克服方法などから、SEC独自の「フロントシステム」が形成された過程を明らかにする。
4.1 SECの「フロントシステム」の現状セブン‐イレブン北京の標的顧客は主に10代と20代の女性であり、具体的には中高生と働く女性で、その次が若い男性である。基本的には24時間営業・年中無休である。標準店舗面積は100~150平方メートルであり、そのような店舗は全体の8割以上を占める。出店できる物件が限られているため、近年では70~80平方メートルの小型店舗も増やした。ただし、駐車場付きの店舗がなく、SEJで増えつつあるイートインスペースも北京では導入していなかった。現在の取扱品目数は2500から2600品目であり、売上高の商品構成比率は、中食・FFが38.5%、日配食品(パン、デザート、牛乳など)が21.9%、加工食品が33.1%、日用雑貨が6.5%である(2018年3月時点)。2018年7月時点では、SECでは朝食、昼食、夕食の3つの時間帯で独自の「店内調理弁当」を提供しているが、朝食にはおかゆなどのメニューがあり、昼食と夕食はほぼ同じメニューだが、夕食ではお肉の増量サービスを実施していた。
SEJのマーチャンダイジングは、店内調理弁当、おでん、中華まん、パンの4つがオリジナル商品の軸商品であるが、近年ではサラダ、牛乳などのチルド商品もよく売れるようになっている。2017年からはさらにはUCCのドリップ方式による淹れたてコーヒーが品ぞろえに加わった。また、一部の店舗では肉や野菜、果物などの生鮮食品も実験的に導入し始めている。
しかし、サービス商品はほとんど導入していないのが一つの特徴である。まず、コピー機の設置がない。理由は中国ではコピーの専門業者が多数存在し、一般庶民は職場でコピーする風習があるからである。また、公共料金の支払い代行サービスや映画・コンサートのチケット販売、現金自動預払機(ATM)の設置もない。理由は中国ではスマートフォンが普及し、オンライン決済も浸透しているから、これらのサービスは不要と判断された。同様に新聞の取り扱いがなく、雑誌と書籍もほんの一部しか取り扱っていなかった。一方、中国の出前サービスの利用人口が急上昇しているビジネス環境の変化に対応して、2018年8月にはテンセント系の出前サービスプラットフォーム「美団外売」と連携し、SECの2500~2600品目の品揃えのうち1000数品目は「美団外売」経由で購入することができるようになった(『界面新聞』、2018年8月21日付)。
また、支払い方法に関しても充実している。2008年には銀聯デビットカードと50店舗限定でVISAカードの支払いを導入し始め、2015年からは支付宝(Alipay)と微信支付(Wechat Pay)による支払いが可能になった。2018年7月時点では、セブン‐イレブン北京の店頭販売の約9割が電子マネーによる決済で、うち支付宝と微信支付が8割を占め、銀聯デビットが1割であった。
価格戦略に関して、品質保証をする一方で現地の人が買い物しやすい価格設定が行われた。たとえば、「店内調理弁当」のコーナーに朝食限定のおかゆメニューが3~5.8元、昼食のおかず二品とご飯の一食が13~29元に設定された。さらに、淹れたてコーヒーは毎朝に飲めるように6~10元で販売され、2018年7月時点ではコーヒー2杯目が半額のキャンペーンも実施されていた。
FCの立地と出店戦略に関しては、日本と同じ一定のエリア内に集中出店する「ドミナント方式」を採用している。ドミナント方式はオペレーション・フィールド・カウンセラー(以下OFC)による経営指導と相談、販売促進活動、物流などの効率アップ、そして、地域への認知度が上がるなどのメリットがあることが知られている。ただし、セブン‐イレブン北京は北京市の経済状況と消費能力の地区格差があると考慮し、「ドミナント方式」は所得水準が高い朝陽区、東城区、海淀区、西城区という北京市の中心地域からスタートさせた。現在では上記した4地区の隣接地区にある通州区、豊台区、昌平区にも出店しているが、店舗密度は地区ごとに差が大きい(表1、図4参照)。
出店地区 | 地区面積(km2) | 出店数(2018年3月時点) | 面積/店舗数 |
---|---|---|---|
朝陽区 | 471 | 123 | 3.8 |
東城区 | 42 | 30 | 1.4 |
海淀区 | 426 | 45 | 9.5 |
西城区 | 51 | 20 | 2.5 |
通州区 | 912 | 9 | 101.3 |
昌平区 | 1,325 | 4 | 331.3 |
豊台区 | 304 | 5 | 60.8 |
(出所)各資料から筆者が作成。
(出所)各資料から筆者が作成。
そして、SECの基本的な出店基準はビジネスと住宅地、ビジネスと繁華街、繁華街と住宅地などの複合要素が揃った地域である。さらに具体的に述べると、①視界性・接近性が良いところ、②基礎商圏の充実さ、③顔向き・人の流れに乗っている(近くに各交通機関の駅や人が集まる施設があり、その流れに乗った場所に店舗がある)の3つが判断基準である。すなわち、店舗距離だけではなく地域住民の経済水準も考慮して判断することは、日本での基準との大きな違いである。
FC契約に関して、現在SECではAタイプとDタイプの2種類があるが、Aタイプの場合は店舗と内装費用がオーナーの負担で、日本のAタイプと類似している。一方、Dタイプの場合は店舗と内装費用は本部の負担で日本のCタイプと類似しているが、店舗の経営免許、商品の仕入れ、所有権は本部が持ち、本部から加盟店のオーナーに店舗運営を委託する部分は日本と違う。ただし、SEJの事業モデルの基礎とも言われているFC会計方式3やオープン・アカウント方式はそのまま現地に導入することができず、中国では台湾と同じインボイス(発票)記帳方式4の会計システムが採用されていることがFC店舗の契約内容にも影響を与えている。なお、SEJにはBタイプという契約方式もあるが、同じ理由で中国では導入できなかったとのことである。
AタイプとDタイプのFCの具体的な加盟条件を述べると、Aタイプの加盟主になるには加盟金10万元、保証金20万元、初期在庫(資本金)10万元、研修費用1.1千元、開業手数料2万2000元、さらに内装費20~30万元の合計70~80万元前後の自己資金が必要である。Dタイプの場合ではAタイプと同じ加盟金10万元、保証金20万元、研修費用1.1千元、開業手数料2万2000元が必要であるが、初期在庫(資本金)10万元の内装費の支払いがないため、加盟主の自己資金は約35万元で済む(付録1に参照)。従って、SECの加盟店投資は1店舗当たり平均1300万円程度必要となる。
4.2 「品揃え」における革新と現地化品揃えはセブン‐イレブンの基本4原則の一つであり、中食・FFなどオリジナル商品を主力商品とする方針もSECに移転された。しかし、日本と中国の食文化や小売ビジネス環境、法律規制など市場コンテキストが異なる部分が多くあるため、SECは参入当時からさまざまな課題に直面した。ここでは品揃えに関するSECの課題と対策を述べる。
(1) 食文化の違いへの対応と革新中国人は基本的に温かい食事を好む傾向があり、レストランではお客の注文を受けてから料理を作りだし、メニューも豊富で数人で卓を囲み、自分の好みのものを取り分けて選び出すのが通常のスタイルである。
そこで、SECは進出前に度重なる市場調査を行い、店内で調理した温かいおかずを昼食と夕食の時間帯に店舗で提供し、いわゆる「店内調理弁当」という独自の提供方式を開発した。当時のセブン‐イレブン北京の牛島 章社長は、「いつでも同じ味を提供できるよう、カット済みの食材や小分けした調味料を納入し、キッチン専用の指導員が各店を回って調理指導や管理をする仕組みをつくりあげてきました」と述べている(「セブン&アイの挑戦」2009年5月付)。牛島社長と対談した矢作敏行は、「店内調理方式ではリスクの集中管理ができないが、北京の場合はセブン・ミールサービスの原材料・調味料をキットで提供するポーション・コントロール方式の導入でリスク分散化の問題を克服し、それがイノベーションになった」と指摘している(『販売革新』、2007年9月号、25頁、およびYahagi & Kar, 2009, p.50)。この「店内調理弁当」様式は、その後北京市内のコンビニが出来立て弁当を提供するスタンダード・モデルになった。
さらに、SECはおでんやおにぎりなどの日本的な食べ物も現地市場に適合するように工夫を行った。たとえば、おでんは意外にも日本のおでんが中国のスープ文化とうまく一致したので大成功したが、食べやすくするために串に刺して販売したり5、中華弁当にしらたき、たまご、大根などが1個入ったおでんスープを組み合わせたりしたことが定着する大きな要因になった。日本の常識では考えられないが、朝食メニューとしておでんを利用する消費者も数多く存在し、朝6時から10時までの売上が構成比の22%を占め、また、日本とは異なり1年365日毎日、店内の目立つ場所で販売されている。数字で見ると、2018年3月時点に日本ではピーク時にせいぜい100個のおでんが売れるかどうかに対して、中国では1日当たり580個程度の売り上げがあり、1日1000個に達する店も現れている。
また、おにぎりに関して、参入当時の中国市場では日本食といえば寿司、おにぎりも酢飯が主流であったが、SECのベンダー企業が日本製の炊飯ラインを導入しおいしいご飯を作ることができたため、塩味の日本式おにぎりも徐々に受け入れられた。そして、2018年6月時点では日本より少ないが、1日に160個程度のおにぎりが売れている。さらに、中華の食べ物である中華まんも当然販売しているが、2018年7月時点では12~13種類が開発されて、日本よりも多く1日に300個以上が捌けている。ほかには現地向けの揚げ物も扱っているが、法律規制のため日本みたいに店内でコロッケを揚げたりなどの作業ができないため、専用工場で揚げた商品として店頭で並べるようにしている。なお、北京市ではコンビニの「店内調理弁当」も含め、カウンターフーズはすべてガラス張りのスペース内で販売しないといけないという規定があり、SECでも対応している。
ほかにも、SECが冷えた飲料の潜在的ニーズを掘り起こしたエピソードがある。進出当時、北京の小売店舗には冷たい飲料が置いていなかった。当時の牛島社長は「中国人は冷たいものは好まない」という先入観にこだわらずに、実験として店で常温と冷やした飲料を併売した結果、8割の比率で冷えた飲料が選ばれた。常温と同価格のお得感が、「冷えた飲料のほうがいい」という潜在ニーズを掘り起こして、食文化への挑戦に成功したのである(『激流』、2010年12月号、38頁、2018年6月15日の企業インタビュー)。
そして、以上のような品揃えに関する努力の結果、2007年時点の平均日販が参入当初の1.6倍に上昇し、売上高、客数、荒利益、利益ともに目標値以上の成果が得られた。唯一達成できなかったのが出店数であった(『販売革新』、2007年9月号、24頁)。
(2) 時代変化に合わせた新商品カテゴリー中国経済が成長している2000年代に、2008年に北京オリンピックが開催され、インフラ整備が進んだほか、市場経済も活発になった。その結果、北京市の若い世代の常住人口も増えた。
そこで、SECが2010年ごろから商品構成の革新を実施した。まず、2010年6月にPB商品「セブンセレクト」を導入し、現地工場を持つ日系メーカーらとの共同開発でお菓子31品目を発売した。その後、さらに加工食品や雑貨などのカテゴリーにも拡大し、2017年末時点で「セブンセレクト」は30品目に拡充されている。このほかに、2018年3月にチーム・マーチャンダイジング(以下チームMD)により「一風堂」のカップラーメンを開発し、日清食品の現地法人に委託生産して、北京から香港までの2500店舗のセブン‐イレブンにおける限定販売を開始した。また2012年からは、SEJ九州のパン製造ベンダーを中国市場に誘致し、焼き立てパンを提供している(詳細は後述する)。これらにより、SECには店内調理弁当、おでん、中華まん、パンの4つのオリジナル商品軸が形成されたのである。
近年、SECは新たに商品軸を確立させるために、若い世代が受け入れやすいサラダ、牛乳、デザート、ヨーグルトなどのチルド商品の品揃えを一層強化した。中国ではかつて生野菜を食べる習慣がなかったので、SEC店頭のサラダ商品もポテトサラダの一品のみであった。しかし、現在ではカット生野菜サラダが何種類も開発されている。販売状況を見ると、5~6年前までに1日10個しか売れなかった生野菜のサラダは2018年6月時点に70個~100個が売れるようになっている。その背景には中国における健康ブームの到来、顧客の7割が女性客に受け入れられたことの二つの外部要因が影響したほか、SECが2016年に物流会社を、コールドチェーンを構築している現地企業の「五元」に変更したことで、「セブン‐イレブンの生野菜サラダの鮮度管理がいい」が評判になり、売り上げに寄与したと思われる。
同じ状況は牛乳と乳製品でも見られた。従来、現地では牛乳と言えば常温保存の商品しかなかったが、SECが冷蔵物流のネットワークを構築したことによって、現在では病院立地の店舗から一般の店舗まで、冷蔵保存する新鮮な牛乳とヨーグルトがよく売れるようになった。結果として、2004年時点では2本しかなかった店内のチルドケースが、2017年に6~7本に増加している。これらから判断すると、SECの商品改革は現地の食文化にも大きな影響を与えたと考えられる。
現在、中食・FF商品の品質管理は現地化された運営体制の下で行われている。具体的には、日本と同じように定期的に既存商品と新商品の試食会を日本人幹部と中国人幹部を交えて開催し、提供されている商品の品質維持を行っている。月曜日と木曜日の昼には既存商品の試食会、火曜日と金曜日の昼には新商品の試食会が開催され、さらに水曜日には、ベンダー企業との商品開発会議を行って品揃えの充実化を図っている。
(3) 小売ビジネス環境の違いと対策上記した食文化以外に、品揃えに関しては小売ビジネス環境の違いによる課題もあった。中国メーカーは日本ほど新商品を開発しないため、仕入れられる商品が限られ、SECの1号店東直門店では初期段階に1500品目しか揃えなかった時期もあった。そこで輸入商品を増やしたりして2100品目までそろえたが、当時の北京市の消費水準はあまり高くなかったため、値段が高い輸入商品はあまり売れなかったである。
近年、北京市の消費水準が上昇しているため、SECは前述した中食・FF商品やPB商品などのオリジナル商品の開発を強化したほか、さらに世界中から輸入商品を増やし、2018年時点では日本と同じレベルの品揃えである2500~2600品目が揃うようになった。そして、品揃えの豊富さが現在、SECとほかのライバル企業との差別化の源泉になっている(『激流』、2010年12月号、37頁、「セブン&アイの挑戦」2009年5月付、および2018年3月の現地調査)。その結果、SECは2011年に黒字転換を果たし、2017年末の平均日販も参入当時の約2倍の2万元~2万4000元(1元は約14円)に増加したのである。
4.3 「FCの出店戦略」における課題と対策SECは設立当時から店舗の質を重視する姿勢を貫いて、「出店に適しているかどうか仮説を立てて、きちんとしたマーケティングを行って店舗をオープンしていく。…(中略)店舗数が目的ではなく、問題はその質であり、その結果として200店になっても、800店になっても構わない」と強調していた(『ジェトロセンサー』2004年11月号、29頁および2018年12月の企業インタビュー)。
SECは2008年の出店目標を350店舗と発表したが、実際には同年8月に68店舗、2009年9月に83店舗という計画を大きく下回った(『日刊工業新聞』、2006年2月20日付、および『日本経済新聞』、2009年9月17日付)。そして、100店舗の出店が達成されたのは2011年のことであり、同年に黒字転換もできた。このように、コンビニ業態の成長にはある規模の出店数が必要であり、チームMDによる新商品開発と魅力的な店舗づくりのためには、出店規模が前提条件になると思われる。
それでは、なぜSECはなかなか自ら設定した出店目標を当初に達成することができなかったのか。店舗展開の阻害要因としては、次の5点を指摘することができる。①北京市の都市構造の特殊性、②飲食営業の出店規制、③税務会計システムの違い、④投資文化の違い、⑤高い家賃コスト、である。以下は、これらの阻害要因の背景およびSECの対処法を明らかにしたい。
(1) 北京市の都市構造の特殊性と飲食営業の出店規制について北京市の都市構造の関係で道路に面する間口が狭い店舗が多く、出店できる場所も限られている。SECはかつてオフィスビルや大型コミュニティーの一角、学校や病院の近くに集中して出店してきた。特に「店内調理弁当」を運用するために、飲食営業ができる物件で排煙設備の設置が可能な店舗が優先的に検討された。必然的に大きめの店舗が選択条件になった。しかし、物件制限以外に、「店内調理弁当」の運用には各店舗に調理師を駐在させなければならないと言う制約があり、調理師は国家試験の資格が必要なため高い給料を用意しなければならなかった。さらに、飲食営業の許可が下りるまでに通常数か月がかかるが、審査期間中には当然売り上げがないが家賃は払い続けという負担もあった。すなわち、SECの「店内調理弁当」の導入は品揃え面でみるとメリットであるが、もともと遅い出店速度にさらにブレーキを掛けるというデメリットの側面もあったと考えられる。
幸いに、北京政府は2016年11月に規制緩和を実施し、「食品経営許可証」の免許があればレンジで温めた総菜を店内で提供することが可能になった。これを受けてSECは現在「店内調理弁当」の運営方式を専用工場で総菜を事前に製造し、店内で温める方法に切り替えた。それによって、運営コストも物件選択の制約も軽減されたのである。さらに、近年に日本のノウハウを取り入れながら店内の什器を高く設置することによって70~80平方メートルの小型店舗も物件対象として取り入れ、北京市の道路に面する間口が狭い店舗が多いという課題を克服したのである。
(2) 税務会計システムの違いについて2001年中国の世界貿易機関(WTO)加盟後に、流通分野における外資企業の参入が大幅に緩和され、2005年2月1日には「商業特許管理辨法(フランチャイズ法)」が整備されて「1年以上の経営、2店舗以上の支店を持っていること」が中国におけるFC展開の条件になった。外資に対する特別な制限もなく、実際にセブン‐イレブン北京のFC店舗の第1号店の出店許可は早くも2006年2月に下りたのである(『日刊工業新聞』、2006年2月20日付)。
しかし、中国と日本とは税務会計システムの違いがあり、日本でのチェーン運営の要であるFC会計方式の導入が困難であった。SECは、北京当局にFCシステムの特徴を説明し理解を得ながら、2007年時点にようやく問題の9割以上を解決させたが、FC募集が本格的にスタートしたわけではなかった(『販売革新』、2007年9月号、27頁)。なぜなら、中国ではコンビニの加盟店を独立法人とみなして、FC会計方式における支払い代行、オープン・アカウント決済が認められないため、各加盟店は取引先との直接契約・直接支払いが必要になるからである。そこで、現状で述べたような台湾と中国でのインボイス(発票)の記帳方式が採用されたのである。
(3) 投資文化の違いと家賃コストの高さについて2010年代以降の中国では産業構造のサービス化が進み、上位中間層・富裕層の人口および個人投資家が増加した。社会主義の中国では土地は政府が所有するものであり、個人投資家の投資先の選択肢が限られているが、コンビニ業態は近年、成長産業として投資家の注目を集めている。
SECは2012年に加盟事業を本格化させ、AタイプとDタイプ2種類のFC契約を導入したが、店舗と内装費用が本部負担のDタイプの加盟店が増えたものの、店舗と内装費用がオーナー負担のAタイプは2016年5月時点においてわずか3店舗に過ぎなかった。それは、Aタイプの荒利益分配率は加盟店オーナーが62%、セブン‐イレブン本部が38%で、日本とほぼ同じ条件で投資家が投資しても資金回収まで6、7年がかかるため、ハードルが高かったからであると推測される。
そこで、SECの社長である内田慎治は2009年からの長年の北京滞在の経験から6、「中国人の投資は3年以内に回収できることが一つの目安」と理解し、2017年にSEJの役員を説得して契約内容を見直した。そして、2017年5月にAタイプの加盟主の荒利益分配率を、最初の3年間に限り11%アップという優遇制度を導入し、すなわち、本来62%だった分配率が73%に引き上げられた。Dタイプに関しては日本と同じスライド制を導入、売上総利益が4万元までの場合が52%、4万0001元から10万元までが68%、それ以上が78%である。
今回のような加盟主への優遇制度の導入は、セブン‐イレブン本部が利益上マイナスの影響を被ったのであろうか。個人による土地所有ができないため、中国では土地の第1使用権は国有企業にある場合が多く直接契約が難しい。また、店舗の契約期間は通常5~6年であり、日本のような20年以上の契約もできない。そこでSECが店舗を借りる場合の交渉対象は第2家主になり家賃が高くなる傾向になる。特に、近年の北京では家賃相場が高騰し、1カ月の家賃コストが120万円前後で東京の8割程度の金額まで上昇した。売上高に占める割合も中国では10%まで上り、日本での5~6%程度を上回る。そこで、Aタイプの加盟店を増やし、本部推薦の場所の物件交渉を現地の加盟主に任せれば、本部が直接交渉した場合よりも半分あるいは3分の1に軽減できる。すなわち、SECのFC契約改革によるAタイプの推進は、出店数の増加にもつながるし、家賃コストを抑える対策にもなるので、一石二鳥であり、利益上もプラスの効果をもたらした。
店舗数の増減をみると、2017年に行われたFC契約の改革後に、北京と天津がそれぞれ最高の出店数を記録した。内田社長の分析によると、出店数急増の理由は、ひとつは現地の風習と投資文化に合わせた契約条件の改革であり、ふたつはセブン‐イレブンの知名度が向上し、平均日販の高さが投資家の加入意欲を引き起こしたことである。数字で見ると、特にセブン‐イレブン天津のAタイプの加盟店は2016年に19店舗、2017年に55店舗、2018年6月に67店舗に急増し、2018年6月時点では総店舗133店舗のうち、Dタイプ41店、直営店24店を除いて、Aタイプが半分以上を占めるようになった。一方、セブン‐イレブン北京では全体的に店舗数が増えているが、2018年3月時点に200店舗の加盟店のうち、Aタイプが8店舗という微増の状況で、北京ではFC契約改革の効果は不鮮明である。
本節では同じく大量出店した2017年時点におけるSECの「バックシステム」と「店舗運営システム」の現状を把握したうえで、それぞれが直面した課題とSECの解決方法を考察する。
5.1 SECの「バックシステム」の現状2018年現在、SECの商品調達システムにおける専用工場の利用率は8割~9割前後で日本と同等レベルである。うち、北京では「北京旺洋食品有限公司(以下「北京旺洋」)」と「永利達美好食品有限公司(以下「永利達」)」の2社が中食・FFの主要ベンダーであり、天津では「天津市月壇学生栄養餐配送有限公司(以下「月壇学食」)」を主に利用しているが、最近では「莎莎Salsa(以下「サルサ」)」というレストランを展開している企業に若者向けメニュー開発の依頼を開始した。さらに、北京と天津ともにベーカリー商品を、「香奈維斯食品有限公司(以下「香奈維斯」)」に発注している。これらのうち「北京旺洋」と「香奈維斯」が日系企業である。
現在、店舗における新製品の投入頻度は週30品目前後であり、日本と比べるとかなり少ない。その主な理由は3点考えられ、1つ目は、前述した現地メーカーはあまり新商品を開発しない。2つ目は、中国での商品ライフサイクルは日本ほど短くないため、頻繁に商品を入れ替える必要がない。3つ目は、日本のような協同組合方式は成立していないため、ベンダー企業とのチームMDがあっても日本ほど商品開発が進まないことである。
商品供給システムについてみると、北京では2018年現在、北京京客隆商業集団の子会社「北京朝批商貿股份有限公司(以下、「朝批」)」という北京市ナンバーワンの卸売企業と、北京首都農業集団傘下の「北京五元物流有限責任公司(以下、「五元」)」の2社がSECの物流を担当している。SEJと同様に冷凍、チルド、常温の3温度帯配送が行われている。現地における配送頻度は常温商品の雑貨と加工食品がそれぞれ週3回、日配食品が1日2回、中食・FF類も1日1~2回であり、店舗には1日平均で7台~8台のトラック配達が行われる体制になっている。
情報システムに関して、SEJと同じNEC(日本電気)とNRI(野村総合研究所)のシステムを利用している。SECは現在SEJの5.1代目相当の情報システムが導入されているが、その理由は中国ではまだADSL回線が主流であるため、日本での最新な情報システムを導入してもうまく稼働できないからである。
5.2 商品調達システムのネットワーク構築中国における「バックシステム」における大きな課題は、日本で求めるような高品質な商品を提供するベンダー企業と近代的な物流会社が存在していなかったことである。
商品調達システムに関して、セブン‐イレブン北京の初期段階における中食・FF商品のベンダー企業は、学校給食業者の北京呀咪呀咪栄養快餐有限公司(以下「呀咪」)と、日本の調味料メーカーと現地企業との合弁会社である北京鈴和摩奇食品調料有限公司(以下「鈴和摩奇」)の2社であった。前者は、店内調理半加工品、おにぎり、サンドイッチ、寿司、麺類、中華まんを担当し、後者は、店内調理半加工品、おでん、サラダ類を担当していた。ベンダー企業として学校給食業者を選んだのは、SECは食の安全・安心を考慮したこと、および発注のロットもまだ少なかったからと説明している。そこで、現地の味を熟知した「呀咪」との1年以上の研究開発を進め、「店内調理弁当」のメニューなども開発してきた。しかし、2016年前後に「呀咪」が「便利蜂」という現地のライバル・チェーンに買収されて、また「鈴和摩奇」とは条件が合わなくなり、2社とも契約を破棄し、代わりに現在は「北京旺洋」と「永利達」の2社と契約を結んでいる。
それまでのプロセスを追跡してみると、2012年がSECの商品調達システム構築の一つの転換点であった。まず、同年1月にSEJが日本で弁当を委託生産している有力なベンダー企業であるわらべや日洋を北京に誘致して、米飯、調理パン、おかず等の製造・販売会社「北京旺洋」を設立した。さらに、同年12月に同じくベンダー企業は、天津にベーカリー専用工場「香奈維斯」を稼働させた。
(1) セブンイレブンの商品力を支える「北京旺洋」まず、「北京旺洋」を紹介しよう。同社の2018年時点の資本金は1,600万USドルであり、出資比率は台湾資本の旺旺集団が50%、わらべや日洋が41.9%、SEJが8.1%の合弁企業である。工場は北京市の郊外に立地し、敷地面積は8040平方メートル、床面積は4937平方メートルである。わらべや日洋の投資目的は海外生産ネットワーク構築と現地市場の確保にあるが、一般的に直接投資による海外進出のリスクが高く、敬遠されがちである。しかし、わらべや日洋の場合ではSEJとの長年の信頼関係があったため、中国市場への進出を決心したと考えられる。さらに、パートナー企業の旺旺集団が無償で工場用地を提供したこともあり、セブン‐イレブンの北京と天津の店舗数が合計235店舗に達した2014年時点で「北京旺洋」の黒字転換が実現した。2018年末には累損も解消される見込みである。そして、2018年3月にHACCP認定を取得し、2018年6月末時点ではセブン‐イレブン北京の252店、セブン‐イレブン天津の133店の合計385店(他、北京ヨーカ堂1店)に米飯商品(おにぎり、弁当、寿司)、サンドイッチやハンバーガーなどの調理パン、パスタ、おかず等を提供している。
筆者は2018年7月19日に「北京旺洋」の工場を見学した。場内には厳しい衛生管理が行われ、生産設備には日本の炊飯ジャーと真空冷却装置が導入されているほか、日本製のパン焼き機もあり、サンドイッチ用のパンは自社工場内で焼き上げられていた。また、食材や調味料に関してはコスト削減のために基本的に現地調達しているが、中国では問屋のパワーが強いため、天候不順などを理由に農産物の供給が途切れることがしばしばあった。そこで、「北京旺洋」はSECが求める安全供給にこたえるために、わざわざ現地の問屋企業との購入契約を結んでいるが、このことが商品の原材料コストが下がらない理由の一つにもなっている。一方、調味料に関しては商品開発段階で現地スタッフが指定した銘柄を全国から仕入れて忠実に現地メニューの味を再現している。
受発注のタイム・スケジュールは基本的に日本と同じであり、午前11時までの受注で1便と2便に分けて北京と天津のそれぞれの配送センターへ納品させている。第1便は夜7時から10時の間の発送であり、第2便は朝6時以降の発送になる。日本との違いは、日本では18時までの追加発注があるが中国にはないことである。その理由は、日本でのおにぎり、お弁当などは20°C配送であるのに対して、中国では5°C管理下の配送が基本であるため、商品の賞味期限が若干長くなるので、追加発注の必要性が低いからである。
「北京旺洋」は、セブン‐イレブンの店舗数の急増に対応するために、7億4300万円を追加投資して敷地内に調理パン専用工場を2018年9月に増築させた。1,000店舗まで対応できる見込みである(2018年7月19日「北京旺洋」における企業インタビュー)。このように、進出先である中国でも日本のベンダー企業がセブン‐イレブンの商品力を支えている。
(2) 現地の好みに合う総菜とパンを提供する「永利達」と「香奈維斯」SECの2つ目の主要中食・FF商品のベンダー企業は「永利達」である。「永利達」は2000年に北京市に設立された現地の食品加工企業であり、工場の敷地面積は1万平方メートル近くある。「永利達」はISO9001、HACCP、ISO22000などの認証を得ているほか、2013年にセントラルキッチンの営業ライセンスも取得した。セブン‐イレブン北京は「永利達」に「店内調理弁当」の総菜を中心に委託しているが、一部の生野菜サラダと米飯商品、麺類などの提供も受けている。ちなみに、「永利達」は成都にも工場があり、セブン‐イレブン成都向けの中食・FF商品を生産している。
「永利達」のほかに、現地資本企業「蜀海(北京)供応鏈管理有限公司(以下蜀(しょく)海)」から、パッケージされた新鮮な野菜・果物、生野菜サラダ、麺類、店内調理弁当用のおかずなど、セブン‐イレブン天津の主要ベンダーである「月壇学食」からも少量の麺類とおかずの仕入れは行われている。
ベーカリー製品に関しては「香奈維斯」から提供を受けているが、「香奈維斯」は、SEJにイチゴジャムや品質改良剤など原材料を提供している太陽化学(本社、三重県の四日市)と九州地方で焼き立てパンをSEJに提供しているフランソア(本社、福岡)の2社折半出資で設立した現地企業である。なお、フランソアは1993年にSEJとパン冷凍生地の製造ノウハウ指導と技術供与の基本締結をした企業でもある。フランソアは中国に3つの工場があるが7、SECの専用工場になっているのは天津の「香奈維斯」で、資本金額は1,212万UDドル、敷地面積は2万8810平方メートル、床面積は6282平方メートルである。
以下は、筆者自身による天津に立地する「香奈維斯」の工場見学と企業インタビュー(2018年7月20日)のレポートである。この工場の生産設備のほとんどは日本から輸入され、日本と同じ基準で工場が建設されたもので、セブン‐イレブン北京と天津の42品目のパン商品のうち、27~28品目はこの工場で生産されている。延期―投機の原理を働かせるために、生地成型と焼成包装過程を分割する生産方式を導入して、焼き立てパンに近い味を提供している。そのプロセスはこうである。まず、それぞれ違う製法のパン生地をあらかじめ大量に作成して冷凍し、次いで午前11時30分にセブン‐イレブンの各店舗からの発注を受けて、その日に必要なパン生地を取り出し解凍して焼き上げる。焼き上がったパンは夜7時に、工場から別の企業が運営する北京と天津のそれぞれの配送センターへ出荷される。この配送センターから各店舗への配送は、夜中の1時から4時の間の1便のみで対応していた。
実は、「香奈維斯」は設立当時に日本と同じおかずパンを開発しセブン‐イレブンの店舗に提供していたが、中国ではおかずパンの食文化がほとんどなく売れなかった。その後、おかずパンは1~2品目のみ残しながら、現地好みの甘いパンを中心に新商品開発が進められた。そして、開発チームも日本人スタッフを引き上げて全員中国人スタッフに転換、現地化が進められた。
現在、SEC向けのパンの一日の出荷量が4万2000食から6万食であり、売上高は2017年の7.7億円から2018年の見込みは、9.3億円の21%も増加している。最近では日本でお馴染みのメロンパンもようやく受けられるようになり、工場内では改善活動も推進され、2019年前後には黒字転換になる見込みである。敷地内の設備をフル活用すれば、1000店舗までの店舗拡大も対応できるという。
セブン‐イレブン天津について、天津市河南区にある学校給食業者「月壇学食」と2007年8月に長期契約を締結した。天津人は少し甘めの味付けが好みであり、セブン‐イレブンは庶民の食生活に馴染むために地元のベンダー企業を利用し、米飯類のおにぎりや弁当、麺類、半製品のお総菜など中食・FF商品の製造を依頼した8。
以上のように、SECの商品調達システムの特徴は、日系ベンダー企業を現地に誘致することによって中食・FF商品の品質を高めながら商品開発を推進し、他社との差別化を図る。一方、地元のベンダー企業も同時に活用することによって現地の食文化と味の好みに近づけ、商品が親しみ慣れられる。すなわち、バランスが取れた商品調達システムにおけるネットワーク構築が「フロントシステム」の商品力を支え、SECの競争優位性の礎になっている。
5.3 商品供給システムは現地企業中心のネットワークSECの初期段階の物流体制に関して、常温物流は「北京市小白羊超市配送センター」と「朝批」の2社を利用していた。前者は進出当時の現地パートナー北京首聯集団の傘下企業、後者は現地の大手卸売企業であるが、SECの店内調理で使われている大豆油の調達力が他社より優れる物流設備も持っているので決定した。また、冷蔵・冷凍物流は日系の株式会社日新の現地法人「北京三新冷蔵儲運有限公司」を利用していた。
2016年前後にSECはより良い条件を求めて「五元」という現地の国有問屋企業の協力を得るようになった。北京市内では昼間に五環路という環状道路内のトラック通行を禁止しているため、物流会社が国有問屋企業であることから通行許可が取りやすいというメリットがあったからである。さらに、前述したように「五元」がコールドチェーンを装備しているため、SECのサラダ商品の供給には重要な役割を果たしており、2018年現在セブン‐イレブン北京の商品供給システムについては、「朝批」と「五元」の2社が主要企業になっている。物流体制の変更および商品集約化が進まれた結果、近年、SECの納品の欠品率が初期段階の5%前後から現在の1%以下までに削減された。
一方、セブン‐イレブン天津では、主に中食・FFベンダーの「月壇学食」の物流部門を利用している。また、3~4年前からSECは先進的な物流体制を推進するために、一部の非日配をSEJがアウトソーシングしている日立物流の現地法人に委託し始めた。日立物流はSECに対して、現地における物流ノウハウと物流倉庫管理システム(WNS)の指導支援も行っている。
以上のように、SECの商品供給システムは主に現地企業にアウトソーシングしているが、「コンビニの事業システム」において日系企業を誘致したり一部資本投入したりしている商品調達システムと比べると、商品供給システムはSECのコミットメントが少ない部分であると言えよう。すなわち、SECが今後日系企業を現地に誘致したり、自ら物流企業に投資したりすることによって、さらに効率化が進む可能性があると考えられる。
5.4 SECの「店舗運営システム」の現状と社会的背景への対応FC方式展開のSECは日本と同様に当然OFCによる加盟店指導を行っていて、2018年3月現在、OFCの一人が平均6店舗を指導する体制になっている。また、現地における人的管理や教育の基本方針も日本と類似しているが、中国では終身雇用制度ではないため、従業員の離職率が高いのが課題である。そこで、SECは即戦力を重視する教育内容を開発して対応している。また、中国社会では小売業という業種に対する偏見が存在しているため、大卒の店長が少なく、OFCの汎用的能力は日本ほど高くないのが課題となっている。セブン‐イレブンのOFCになるには店長経験が必要条件であり、そこでSECでは日本で2週間に一度のOFC教育会議を週に一度で開催し、業務の徹底化を図っている。
さらに、本部の商品開発担当者は大卒社員が担当しているが、店長とOFCの現場経験が乏しく、加盟主に新商品のコンセプトを効果的に伝え、積極的に仕入れてもらうノウハウが不十分であるなど問題が多いが、この部分については現地の駐在員による指導と経験による改善が求められている部分である。
2017年12月時点において、SECには日本人31人(うち北京20人、天津3人、成都8人)が駐在しているが、少しずつ経営陣を含む現地化が進められている。たとえば、セブン‐イレブン天津では2012年の子会社化の直後に、SEJからの派遣社員が7人であったが、2018年7月時点には総経理の1人が日本人であり、あとの2人が日本から派遣された中国人のスタッフであった。さらに、2020年には天津の総経理も中国人に転換される予定である。このように、SECでは店舗運営システムにおける現地化によって、中国市場への埋め込み戦略が少しずつ進んでいる。
本稿では鍾(2016)の「コンビニの事業システム」の分析枠組を利用して、SECが大量出店を実現した2017年時点の「コンビニの事業システム」の現状を把握した。さらに「コンビニの事業システム」の「フロントシステム」、「バックシステム」、「店舗運営システム」の三つの下位システムに分けて、SECが中国市場の発展プロセスに直面した課題と対策方法、SECが近年に成長軌道に乗りつつある理由を明らかにした。
2004年以降から2018年現在までの十数年の間に、経済成長、上位中間層の拡大、若い世代の常住人口の増加、法律規制の緩和など中国・北京のマクロ環境が変化した。そのなかに、SECは段階的に「フロントシステム」における革新と現地化を進み、積極的に商品力を高めた。結果的に他社よりも高い平均日販を早い段階から実現した。一方、出店に関しては克服しなければならない課題が多く、出店数が伸び悩むまま10年余り苦労した。改善の兆しが見えてきたきっかけの一つは、2017年におけるFC出店の契約内容の改革であった。2017年前後のSECは出店数の増加による規模経済の効果が、それまでの「フロントシステム」の革新と現地化、「バックシステム」におけるネットワーク構築、「店舗運営システム」における社会的背景への対応などの成果と相乗効果になり、いまの成長軌道に乗る結果につながった。
さらに、SECの「コンビニの事業システム」の特徴を3つの下位システムに分けてみると、「フロントシステム」は2004年進出初期の段階から革新と現地化が戦略的に最も重視された。次に、「バックシステム」について、商品調達システムの部分は「フロントシステム」の品揃えと連動し、発展段階の2012年にSEJのパートナー企業を現地へ誘致し、資本投資が行われた。商品供給システムについては技術重視の部分であり、また、現地の法的規制への対応が必要であるため、現地企業へのアウトソーシング方式がとられた。「店舗運営システム」の部分では今後の成長戦略に関わるため、社会的背景への対応と人財の現地化が推進された。
一方、小売国際化における市場参入戦略の側面から見ると、SECの中国進出は自ら出資する子会社方式が採用された。そこで、SEJの基本4原則や独自性などの企業文化が多数の長期駐在員によって現地に移転された。とりわけ、北京や天津などの子会社だけではなく、セブン‐イレブン中国全体をまとめるSECの社長も現地に駐在していることによって、中国の地域、文化、経済、社会の動きを日々体感し、そこで本稿で述べたような中国の市場コンテキストに埋め込まれたSECの独自の「コンビニの事業システム」が形成されたのである。
今後、SECは北京と天津で基盤を築き上げた「コンビニの事業システム」を中国全土へ拡大していくが、中国では地域によって消費習慣や食文化が大きく変わる地域もあり、地域ごとに対応する「コンビニの事業システム」を修正していく必要がある。現在、セブン‐イレブン天津では住宅地域への出店に対して、長期保存が可能な総菜商品を開発している。本稿では主に北京市の都市型の「コンビニの事業システム」を紹介したが、今後では修正された天津の地方型の「コンビニの事業システム」が現れる可能性もあり、行方が注目される。
このように、本稿では日本の小売業の代表であるセブン‐イレブンが中国市場においてテイクオフした時点の「コンビニの事業システム」の現状を把握し、2004年から2018年現在までの現地化プロセスにおける課題とSECによる対策方法を明らかにした。さらに、SECによる日本型コンビニの国際化戦略の特徴を詳細に分析し、小売企業の国際化の研究に貢献した。
一方、本稿で明らかになったSECの国際化の取り組みの数々、たとえば、SECの「フロントシステム」におけるサラダ商品と新鮮な牛乳の導入による消費習慣の創出やシステム全体における現地の自発的なイノベーションとネットワーク構築などは、既存の小売国際化の現地化理論では十分解釈できない部分があった。すなわち、セブン‐イレブン北京(天津)の事例では、「埋め込み」の事例としても適用されることが考えられ、今後、「埋め込み理論」(Hess, 2004;Dawson, 2015;Burt et al., 2017;鍾, 2018)という分析視点を取り入れて再検討する必要があるかもしれない。
そして、日本におけるSEJの「コンビニの事業システム」との比較による移転状況の検討や、北京市場の現地企業との比較研究によるSECの競争優位性の確認などが興味深い研究課題として残されている。これは今後の研究課題としたい。
Aタイプ加盟(特許加盟連鎖)の基本条件 | Dタイプ加盟(店舗委託経営)の基本条件 |
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専業経営責任者2名。 | 1.加盟申請者は本人以外に、1名の親族をサポート役として指名する必要がある。 |
1.2名の専業経営責任者の年齢の上限は45歳 | 2.加盟申請者および指定した親族は本部と契約後に、セブン‐イレブンの店舗を専業経営する必要がある。兼職は認めない。 |
2.オーナーは各種の店舗経営関連の許可を取得する必要がある。 | 3.加盟申請者および指定した親族の年齢は22–45歳の間であり、身体健康、高卒(含む)以上の学歴を持つ。学歴証明書を提示する必要がある。 |
3.自己資金80万元(店舗状況によって、変動する場合がある)。(天津も80万元)1名の連帯保証人が必要である。 | 4.自己資金35万元以上。(天津は38万元以上) |
5.1名の連帯保証人(連帯保証人の自己資金あるいは資産金額は人民元30万元以上である)。(天津は40万元以上) |
(出所)北京(天津)セブン‐イレブンのHPによる(2017年12月13日時点)。
本研究はJSPS科研費17K03990の助成を受けたものである。