SEISAN KENKYU
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Riina TOYA
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2025 Volume 77 Issue 3 Pages 209

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東京大学生産技術研究所「文化をめぐる人文と工学の研究グループ」は2020年4月に発足した.構成員は石井和之教授(物質・環境系部門),今井公太郎教授(人間・社会系部門),川添善行准教授(人間・社会系部門),戸矢理衣奈准教授(人間・社会系部門),野村政宏教授(情報・エレクトロニクス系部門),本間裕大准教授(人間・社会系部門),松永行子教授(機械・生体系部門)である.発足当初から運営にご尽力くださった志村努名誉教授(基礎系部門)が2025年3月末にて退任された.

グループ設立から5年を経て,「生産研究」における文化と工学の特集号も今回で6冊目となる.2024年度の特筆すべき活動として,第一に前年度に開講した教養学部1-2年生を対象にした「リベラルアーツとしての工学:工学の歴史・現在・未来を俯瞰するオムニバス講義」の「文理融合」体制の充実および2025年度の大学院科目としての出講の決定が挙げられる.開講の経緯および概要について「『リベラルアーツとしての工学講義』実施報告」を掲載する.なお本講義の実施に際してはグループメンバーに加え,生研では池内与志穂教授,枝川圭一教授,菅野裕介准教授,平本俊郎教授,吉川暢宏教授,芳村圭教授という幅広い領域の研究者のご協力を頂いている.

第二に,東京大学先端科学技術研究センターとの共催による「駒Ⅱ音楽祭」の継続開催である.文化×工学研究会の初期に開催された岡田暁生教授(京都大学人文科学研究所)による連続講演に参加されていた先端研の近藤薫特任教授との出会いを契機に,企画が発展した.「科学と芸術,目指すところは同じ」と考え,国内外で活躍される第一級の演奏家を駒場第二キャンパスに招聘し,2024年度より年4回程度の演奏会の継続開催を企画している.2024年度は文化×工学研究会および音楽祭当日に,岡田教授による連携講義を三度にわたり実施し,演奏とともに「音楽を知る」意義をも示した.その一回である「工業製品としてのピアノの歴史」については,出席者からの強い要望をうけ,岡田教授が今回,ご寄稿をお寄せ下さった.駒Ⅱ音楽祭そして文化×工学研究会は今後も相乗効果をもって進行することが想定されるため,「文化×工学研究会の実践と報告(2024年度)」において,駒Ⅱ音楽祭についても初年度の概要を記した.

志村努名誉教授からは「カメラの画面サイズと撮影画像」と題したご寄稿を頂戴した.「文化×工学研究会」にはほぼ毎回,ご参加下さり,長期的なご視点から,ご専門および音楽等のご趣味を背景にされた,講師の方がいわば唸られるコメントを頂戴してきた.「生産研究」の特集号においても「音程と和音の物理」(73巻4号),「言葉と工学」(72巻5号)をはじめとしたご寄稿を頂戴している(特に「音程と和音の物理」は継続的に高い閲覧数を記録している).生研における「文化をめぐる人文と工学」の展開に際して,まさにゼロ地点からご支援を頂いてきた.志村名誉教授にこの場を借りて改めて感謝申し上げたい.

 
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