Serviceology
Online ISSN : 2423-916X
Print ISSN : 2188-5362
Conference Report
QUIS14
Keiko Toya
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2015 Volume 2 Issue 3 Pages 36-37

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1. 概要

2015年6月18日から21日にかけて,上海浦東新区のCEIBS(China Europe International Business School)においてQUIS14(Quality in Services, URL http://www.quis14.com)が開催された.会場となった浦東新区は比較的新しく開発されたエリアで,開催校のCEIBSは流通サービス,サプライチェーン研究に重点を置くビジネススクールである.QUISはノルディック学派由来の伝統のあるサービス・マーケティングのコンファレンスで,1988に第1回がスウェーデンで行われて以来,2年に1度の頻度で毎回異なる国で開催されている.14回目になる本年は,アジアでの開催,参加者は240名で,北欧を中心とする欧州からの参加が多く,米国,中南米,中国・台湾,オーストラリアなどからの参加があった.大会は3キーノートスピーチ,3パネルセッション,48の発表セッションの構成で,日本からは筆者を含め3件の口頭発表があった.それ以外に,Ph.D.コンソーシアム,リバークルーズなどのイベントも行われた.

2. 本年の特徴

最初のキーノートスピーチはStephen L. Vargo教授の Advances in Service-Dominant Logicと題する演題で,常に進化するS-D Logicの新たな展開として,社会全体のバランスと便益の向上を意識したサービス・エコシステムへの拡大,これまでの提供者・被提供者といった概念を超える参加者としてActorやInstituteといった概念が加わった.そのような新たな動きを受けてか,本年の発表テーマは,S-D Logicの新展開,BOPマーケットでのマーケティングの役割や,地域社会全体を対象とするサービス・エコシステムに関するものが目立った.S-D Logicに関連する発表セッションのほとんどにVargo教授が出席し,なんらかのコメントをしていたのは印象的である.

その他のキーノートスピーチは,Dell社のセールス部門副社長Dangerfield氏からマーケティングにおけるSNS活用,キッザニアのFabre氏からは顧客である子供達との共創関係の構築,またその国際展開についての講演があった.開催校のCEIBSがサプライチェーン研究を中心とするMBAであることも関係してか,2つ目のパネルセッションは,流通関係のCEIBS卒業の起業家によるものであった.

今回の特徴のひとつは,欧州勢,特に北欧とドイツを中心に製造業のサービス化に関する発表が増加したことであろう.もうひとつは, BOPマーケティングに関してのセッションが組まれると同時にアフリカ・南米各国からの研究者の参加が以前よりも目立った印象がある.サービス研究は先進国のみのものではなくなりつつある.

写真1 上海高層ビル群,中央が上海環球金融中心
写真2 キーノートスピーチ,パネルセッション,ディナークルーズなどの様子

3. ネットワーキング

セッション間のブレークタイムでのネットワーキングは,どの学会でも盛んであるが,2日目のディナークルーズは大いに盛り上がった. 黄浦江からの美しい上海の夜景,船の中という限定された空間,中華料理の円卓といった場の設定は, 口うるさい(?)サービス研究者達をも満足させたようである.行き帰りのバスでは開催校のCEIBSの学生が即興でツアーガイドをしてくれた.ちなみに写真3は,大学前で参加者がひな壇に誘導されて撮った集合写真である. 交通量の多い公道の真ん中に平然と脚立を立て, 車もスピードを落とすこともなく行き交うなか, 心配顔の参加者に笑顔を要求するカメラマンに中国らしさを感じたのは筆者だけではなかったはずである.

写真3 全員で記念撮影

〔戸谷 圭子 (明治大学 専門職大学院グローバル・ビジネス研究科 教授)〕

 
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