Serviceology
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Print ISSN : 2188-5362
Conference Report
The 4th Domestic Conference on Serviceology
Ichiro Nagasaka
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2016 Volume 3 Issue 2 Pages 52-53

Details

1. はじめに

2016年3月28日(月)から29日(火)にかけて2016年度サービス学会国内大会が開催された.場所は神戸大学.参加者は198名.京都から始まり,函館,金沢と続いた本大会も今回の神戸で4回目の開催となる.また今回は,開催校である神戸大学の自然科学系先端融合研究環にも共催を頂いた.

サービスに携わる様々な分野の研究者が交流し,切磋琢磨できる新たなコミュニティの育成を先導することを目的としたサービス学会に相応しく,本大会においても産業界からの実務者や大学の研究者らが各セッションや懇親会の場で交流し,互いのサービスに関する学術的知識を交換した.

2. 口頭発表セッション
写真1 口頭発表セッション

初日の朝,まず3パラレルセッションの口頭発表が開始された.口頭発表の件数は48.「サービスモデリング・設計」,「サービスとデータ」,「サービスと情報」,「サービス品質・評価」など,サービスの姿をいかにして捉えるかというような学術的な内容から,「サービス・マーケティング」,「教育サービス」,「飲食サービス」,「公共・地域サービス」,「医療・介護サービス」といった具体的な対象におけるサービスのあり方を検討するものなど,各セッションにおいてサービスについて多様な角度から報告が行われ,それらに対して活発な議論が交わされた.学術的な報告には実務者からその応用可能性に関する鋭い指摘がなされたり,逆に実務者の報告に対してはその内容の一般性について質問が飛び交うなど,発表の場における議論を重視するサービス学会ならではの光景が各会場で見られた.

写真2 第2会場でのセッション

3. 招待講演

そして,初日の午後には株式会社スーパーホテルの山本 健策 取締役本部長と富士通株式会社の谷口 典彦 取締役執行役員専務より,実際のビジネス経験に基づくサービスの本質に迫るお話を頂いた.

山本氏は「5 つ星のおもてなしを実現するスーパーホテルの仕組経営」をいかにして実現しているかを具体的なデータに基づいて解説され,また谷口氏は「富士通のサービスビジネスへの挑戦」をテーマに,製造業からサービス業へと転換するためにこれまで富士通が実行してきた数々の取組みを紹介してくださった.いずれも今後のサービスのあり方を示唆する内容で,研究者にとっても実務者にとっても未来のサービス研究の方向性を考える上でまたとない機会となった.

4. ポスターセッション
写真3 ポスターセッション

2日目の午後には,神戸の街を見下ろす神戸大学百年記念館のロビーでポスターセッションが開催された.発表件数は35であった.従来からサービス学会国内大会では特に新規性がある,また具体的内容について時間をかけて直接議論を行うことが有用であると思われる研究論文をポスターセッションに割り当てている.実際,ポスターセッションで発表した方が参加者からのフィードバックが得られやすく,発表者や参加者からの評判も良い.今回も,会場のロビーがセッションの時間いっぱいまで人であふれんばかりの盛況であった.

5. 懇親会

そして懇親会.本大会の懇親会担当委員長でもあるがんこフードサービス株式会社副社長の新村 猛氏が自ら寿司をサービス.「この内容でこの会費,本当にいいの?」という声があちこちで聞こえるなど大いに盛り上がった.

また懇親会では第3回国内大会賞の表彰も同時に行われた.Best Paper Awardは中島 秀之,田柳 恵美子,松原 仁,平田 圭二,白石 陽(公立はこだて未来大学),各氏による「新しい交通サービス実践への道程」に,また選考委員会推薦賞は小柴 等,林和 弘,小笠原 敦(科学技術・学術政策研究所),各氏による「第10 回科学技術予測調査からみたサービス学の位置づけ」,ベストポスター賞は峯元 長,土肥 真梨子,長谷部 浩子(株式会社日立製作所),各氏による「地域社会構想から事業機会創出に向けたきざしの活用」に贈られた.学生奨励賞は残念ながら今回は該当者なしとなった.

6. おわりに

ポスターセッションの後,2日目最後の口頭発表セッション時も参加者が減ることもなく,最後まで熱のこもったディスカッションが行われ,本大会も盛況のうちに閉会した.

なお,次のサービス学会第5回国内大会は2017年3月27日から28日まで東広島において開催される予定である.

〔長坂 一郎(神戸大学)〕

 
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