Tetsu-to-Hagane
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Effect of Magnetite (Fe2+ source) on Initial Liquid Formation in Sintering Process
Hiroshi OgiKo-ichiro OhnoTakayuki MaedaKazuya Kunitomo
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2017 Volume 103 Issue 6 Pages 335-340

Details
Synopsis:

A situation of sintering raw materials becomes more severe in this century. In the sintering process, magnetite iron ore is expected as high grade and condensation raw materials. However, there are not sufficient researches on the solid-solid reactions between magnetite and CaO in the sintering process. Therefore, purpose of this study is to clarify the initial liquid formation behavior by investigating the solid-solid reactions between magnetite and CaO under Ar or air atmosphere.

In order to simply simulate the sintering raw materials, mixture samples of iron oxide and CaO were prepared. Reagent magnetite and reagent hematite were prepared as iron oxide. The mixtures, which have the weight ratio of iron oxide/CaO=80/20, 85/15 and 90/10, were pressed into tablet shape and used as experimental samples. “In-situ” observations of the initial liquid formation behavior in the samples were carried out by a laser microscope combined with infra-red furnace. The samples were heated at 50°C/min under Ar or air atmosphere. The initial liquid formation temperatures were decided from this observation.

In the case under Ar atmosphere, the initial liquid formation temperature of magnetite-CaO mixture samples became higher than that of hematite-CaO mixture samples. This difference was caused from CaO·FeO·Fe2O3 formation before liquid formation between magnetite and CaO. In the case under air atmosphere, the initial liquid formation temperature of magnetite-CaO mixture samples became lower than that of hematite-CaO mixture samples, and the temperatures were decreased with the increasing of magnetite. This reason was because 4CaO·FeO·8Fe2O3 was formed by the solid-solid reactions between magnetite and CaO. It was found that the sintering atmosphere and magnetite blending ratio to raw materials have the influence on the initial liquid formation temperature when the magnetite iron ore is used in the sintering process.

1. 緒言

近年の焼結鉱製造において,原料である鉄鉱石の品位低下は深刻なものとなっている1,2)。それに伴い,焼結鉱品質および生産性の更なる低下が懸念されている。焼結原料対策の一つとして,Fe2+源であるマグネタイト精鉱の利用が現在検討されている。選鉱過程で微粉化されたマグネタイト精鉱は,造粒性の低下や焼結機内通気性の悪化などを引き起こすため,焼結原料としては利用が避けられてきた。その一方で,マグネタイトは磁力選鉱に有利である点,酸化雰囲気中で酸化発熱するなどの特徴を有しているため,高品位原料および凝結材として期待されている。

焼結鉱製造プロセスにおける主要な反応のひとつに鉄鉱石と副原料である石灰石間で生じるカルシウムフェライト生成反応がある。カルシウムフェライトは焼結層内の温度上昇に伴い生成・溶融し,鉄鉱石粒子同士を接合するボンドの役割を果たすため,焼結鉱品質を左右する重要な鉱物相である。Fig.1の大気雰囲気におけるCaO-Fe2O3二元系状態図3)が示すように,カルシウムフェライトに関しては,2CaO・Fe2O3,CaO・Fe2O3,CaO・2Fe2O3の三種類の鉱物が存在し,さらに,還元過程によってはFe2+を含むCaO・FeO・Fe2O3,CaO・3FeO・Fe2O3,4CaO・FeO・4Fe2O3,3CaO・FeO・7Fe2O3,4CaO・FeO・8Fe2O3などの存在4,5)が知られている。このように,様々な種類のカルシウムフェライト組織が存在し,それぞれ,生成・溶融する温度が異なる。焼結鉱製造プロセスにおいて,焼結機内通気性を制御し安定操業を達成するためには,これらカルシウムフェライトからの融液生成制御が重要となってくる。焼結鉱製造プロセスにおいてヘマタイトとCaO間の融液生成反応については多くの先行研究6,7,8,9)がなされている。一方で,マグネタイトとCaOの反応に関する詳しい研究は乏しいのが現状である。

Fig. 1.

 CaO-Fe2O3 binary phase diagram in air3).

マグネタイトを使用した場合,Fe2+/Fe3+の存在状況がヘマタイト使用時と異なるため,鉱物相および融液生成挙動が異なる可能性が考えられる。そこで,本研究では,マグネタイト使用時の初期融液生成挙動の解明を行うことを目的として,焼結プロセスを考慮した等速昇温条件下において,不活性雰囲気およびマグネタイトの酸化雰囲気である大気雰囲気下で,マグネタイト−CaO試料からの融液生成挙動の基礎的調査を行った。

2. 実験

本研究では,直接観察による酸化鉄−CaO混合試料の初期融液生成開始温度の測定および初期融液生成に関与していると考えられる液相生成開始温度以下の固相間反応についての調査を行うために,光学顕微鏡を用いた断面観察およびXRDによる生成鉱物相の分析を行った。

2・1 実験試料

焼結原料を単純化して模擬するために,酸化鉄とCaOを混合した試料を作製した。本研究では,CaCO3の分解反応時のCO2の発泡9)による試料形状の変化を防ぐためCaOを用意して用いた。酸化鉄として粒径−1 μm,純度99%の試薬マグネタイトおよび粒径が−1 μm,純度98.5%の試薬ヘマタイトを比較試料として用意した。CaOとして純度99.5%の試薬CaCO3を大気雰囲気下で1300°Cで10 h焼成し,−45 μmに整粒したものを準備した。これら粉末試料をTable 1に示す配合割合で混合した。ここで,H80はFig.1のFe2O3-CaO二元系状態図の共晶組成付近の混合割合であり,H90は一般的な焼結鉱の組成の混合割合である。混合後,Fig.2に示すように,直径3 mmのダイスを用いて,高さ0.5 mm,直径3 mm,空隙率30%のタブレットに圧粉成形をしたSample1,および,直径10 mmのダイスで,高さ1.7 mm,直径10 mm,空隙率30%のタブレットに圧粉成形したSample2を準備した。Sample1は初期融液生成開始温度測定および光学顕微鏡観察用試料を作製するための試料として,レーザー顕微鏡を用いた実験に使用した。XRD用いた定性分析を行う際,試料をガラス試料板の充填部分(20 mm×18 mm×2 mm)に充填するために量が必要であったため,Sample2を準備した。

Table 1.  Chemical compositions of sample (mass%).
CaO Fe2O3 Fe3O4
H80 20 80
H85 15 85
H90 10 90
M80 20 80
M85 15 85
M90 10 90
Fig. 2.

 Schematic view of samples.

2・2 実験方法

2・2・1 初期融液生成開始温度の測定

等速昇温条件下における酸化鉄−CaO固相反応における初期融液生成挙動の微視的その場観察を行った。高温でのその場観察を可能にするために,本研究では赤外線ゴールドイメージ加熱炉を備えた共焦点走査型レーザー顕微鏡10)を使用した。

タブレット状に成形されたSample1は内径5 mm,高さ2.5 mmの白金製パンに装入した後,レーザー顕微鏡直下の赤外線ゴールドイメージ加熱炉内試料チャンバーに設置した。チャンバー内部は実験中,流量200 ml/minの純度99.9995%の高純度Arガスの不活性雰囲気,または流量200 ml/minの大気雰囲気とした。実際の焼結プロセスでは,コークスの燃焼に伴い,焼結機層内は1,2分で1000-1200°C付近まで急速に昇温される。ゆえに,実際の焼結プロセスを模擬し,1000°C以下の固相間反応を防ぐため,1000°Cまで1000°C/minの加熱速度で急速昇温した。1000°Cに到達した後,試料からの融液生成開始が確認されるまで50°C/minで等速昇温した。加熱実験中に試料表面で生じる現象をレーザー顕微鏡のCRTモニター上で直接観察をし,同時にPCへの録画を行った。録画した映像より,初期融液生成開始温度を測定した。

2・2・2 酸化鉄−CaO間反応挙動についての調査

融液生成前の固相間反応を詳しく調査するために,H80,H90,M80,M90において,直接観察により測定した初期融液生成開始温度よりも50°C低い温度で急冷試料を作製した。この温度をT–50°Cとした。この試料を樹脂埋め,切断,研磨し,その断面を光学顕微鏡で観察した。

さらに,固相間反応過程で生成する鉱物相の同定を行うため,Sample2のH80,H90,M80,M90の組成の試料を用意した。これらの試料をFig.3に示す赤外線ゴールドイメージ加熱を備えた縦型炉を用いて,2・2・1と同条件で昇温を行い,不活性雰囲気の場合にはT–50°C,酸化雰囲気の場合は1000°C,1100°C,T–50°Cで急冷した。急冷後の試料を粉砕した粉末をXRDを用いた鉱物相の定性分析に供した。

Fig. 3.

 Schematic view of infrared gold image heating furnace.

3. 実験結果および考察

3・1 不活性雰囲気における酸化鉄−CaO反応挙動

Fig.4にレーザー顕微鏡による高温直接観察の一例を示す。温度上昇に伴いCaOと酸化鉄の固相間反応により試料表面に変化が生じ,さらに温度が上昇すると試料表面の形状変化が確認された。本研究では,試料表面の形状変化の開始温度を初期融液生成開始温度と定義した。

Fig. 4.

 Laser micrographs of initial liquid formation behavior of M80 under Ar.

不活性雰囲気条件下におけるヘマタイト−CaOおよびマグネタイト−CaO混合試料の初期融液生成開始温度の測定結果をFig.5に示す。ヘマタイト混合試料の平均初期融液生成開始温度に関しては,H80が1274°C,H85は1273°C,H90 は1287°Cであった。マグネタイト混合試料の平均初期融液生成開始温度は,M80が1298°C,M85は1288°C,M90は1297°Cであった。この結果より,酸化鉄試料混合割合に関係なく,マグネタイト混合時の方がヘマタイトより初期融液生成温度が高いことがわかった。

Fig. 5.

 Initial liquid formation temperature heated at 50°C/min under Ar.

Fig.6に各々の試料のT–50°Cにおける中断試料の光学顕微鏡写真を示す。どの条件においても,酸化鉄とカルシウムフェライト系の組織が観察された。また,残留CaOの存在は確認されなかった。この結果より,初期融液生成に直接的に関与した鉱物相はヘマタイト,マグネタイト共にカルシウムフェライト系の組織であると推察される。

Fig. 6.

 Microstructure of samples quenched at T–50°C under Ar.

次に,XRDによる定性分析の結果を報告する。本研究では,Table 2に示すヘマタイト,マグネタイト,CaO,2成分系カルシウムフェライトとして3種類,3成分系カルシウムフェライトとして,マグネタイトとCaOがモル比で1:1のもの,CFにFe2+が関与したもの,CF2にFe2+が関与したものの9つの鉱物相に関して定性分析を行った5,11)Fig.7に各々の試料のT–50°CにおけるXRDパターンを示す。H80ではFe2O3,CF,C2FおよびCF2を同定され,H90はFe2O3,CFおよびCF2が同定された。一方,M80では,Fe3O4,C2Fおよび1-1-1を,M90はFe3O4および1-1-1同定した。この結果より,ヘマタイトではCFまたはCF2が初期融液となり,マグネタイトでは1-1-1が初期融液となったと考えられる。これらの鉱物相の違いより,マグネタイトを用いた試料の初期融液生成開始温度がヘマタイトの試料より高くなったものと推察される。

Table 2.  Mineral phase identified by XRD.
Fig. 7.

 X-ray diffraction pattern of samples (H80, H90, M80 and M90) quenched at T–50°C under Ar.

3・2 マグネタイト酸化雰囲気における酸化鉄−CaO反応挙動

大気雰囲気下におけるヘマタイト−CaOおよびマグネタイト−CaO混合試料の初期融液生成開始温度の測定結果をFig.8に示す。ヘマタイト混合試料の平均初期融液生成開始温度はH80が1257°C,H85が1241°C,H90が1265°Cであった。Fig.1に示した大気雰囲気における平衡状態図上では1205°Cの共晶温度が最も低温で融液を生成する温度であるので,1205°Cが初期融液生成開始温度となると考えられる。しかしながら,本実験の初期融液生成開始温度は1205°Cの共晶温度より高い結果となった。初期融液生成開始温度は一般的に昇温速度12),試料粒径ならびに試料混合状態に依存すると考えられる。本研究の昇温速度は焼結プロセスを模したため50°C/minと比較的速く,非平衡状態であることが推察される点や,酸化鉄が−1 μm,CaOが−45 μmと粒径が異なる点などにより反応が不均一であったと考えられることにより,共晶温度の1205°Cより高い温度で溶融が確認されたと考えられる。マグネタイト混合試料の平均初期融液生成開始温度はM80が1262°C,M85が1201°C,M90が1192°Cであった。この結果より,マグネタイト混合試料は初期融液生成開始温度がヘマタイト混合試料と異なり,未酸化のFe2+が初期融液生成に影響を与えている可能性が示唆された。また,マグネタイト混合割合の違いにより,初期融液生成開始温度に大きな違いが生じる結果となった。

Fig. 8.

 Initial liquid formation temperature heated at 50°C/min under air.

Fig.9に各々の試料のT–50°Cにおける中断試料の光学顕微鏡写真を示す。どの条件においても,不活性雰囲気と同様に酸化鉄とカルシウムフェライト系の組織が観察され,残留CaOの存在は確認されなかった。この結果より,初期融液生成に直接的に関与した組織はヘマタイト,マグネタイト共にカルシウムフェライト系であると示唆される。

Fig. 9.

 Microstructure of samples quenched at T–50°C under air.

Fig.10に1000°C,1100°CおよびT–50°CにおけるH80およびH90のXRDパターンを示す。H80およびH90ではFe2O3,CFおよびCF2が同定された。Fig.11に1000°C,1100°CおよびT–50°CにおけるM80およびM90のXRDパターンを示す。M80はCaO,Fe2O3,CF,CF2および4-1-4が同定された。4-1-4に関しては1000°Cの段階で生成されていることがわかった。M90はCaO,Fe2O3,CF,CF2および4-1-8を同定した。1100°Cから1142°Cの間に2θ=約34.5°の回折線の尖度が減少し,回折線が広がっているように変化していることがわかった。この回折線の変化は,Kojimaら13)のCF2と4-1-8を比較した際の傾向と同様であり,CF2の一部が4-1-8になったと考えられる。

Fig. 10.

 X-ray diffraction pattern of samples (H80 and H90) quenched at 1000°C, 1100°C and T–50°C under air.

Fig. 11.

 X-ray diffraction pattern of samples (M80 and M90) quenched at 1000°C, 1100°C and T–50°C under air.

ヘマタイト−CaO混合試料の場合,Kimura and Murao9)のQ-XRDを用いた結晶構造変化のin situ観察の結果と同様にCFおよびCF2が固相間反応で生じ,融液を生成したことがわかった。

3・3 考察

大気雰囲気において,マグネタイト−CaO混合試料の場合,マグネタイトの酸化反応が生じ一部Fe2O3が生成するため,Fe2O3とCaOが反応してCFを形成すると考えられる。

CaO割合が大きく,マグネタイト混合割合が小さい場合は,   

3 ( CaO Fe 2 O 3 ) + CaO + Fe 3 O 4 4 CaO FeO 4 Fe 2 O 3 (1)

の反応により,FeO-CaO・Fe2O3系である4-1-4を生成する。(1)の反応はFig.11より低温域(1000°C)で生じており,この反応により,マグネタイトが消費され,初期融液生成開始にはFe3O4は関与しなかったものと考えられる。

一方,マグネタイト混合割合が大きい場合は   

3 ( CaO 2 Fe 2 O 3 ) + Fe 3 O 4 + CaO Fe 2 O 3 4 CaO FeO 8 Fe 2 O 3 (2)

の反応により,FeO-CaO・2Fe2O3系である4-1-8が生成されると考えられる。この場合,(2)の反応はFig.11より1100°C以上の高温域で生じると考えられ,Fe3O4が初期融液生成に関与し,その結果,Fig.12に示すCaO-FeO-Fe2O3状態図14,15)上の最も低い1194°C付近で融液生成開始が生じたと考えられる。ゆえに,M90の初期融液生成開始温度が他の試料に比べ,低温化したと示唆される。以上の結果より,大気雰囲気においては,融液生成開始前の過程で酸化されずに残留したFe2+源,CaOおよび二成分系カルシウムフェライトの存在量比が初期融液生成開始温度に影響を与えることが明らかになった。

Fig. 12.

 Calcium ferrite reaction of phase diagram of CaO-FeO-Fe2O314,15).

Table 3に初期融液生成に関与している鉱物相を示す。マグネタイト混合試料は雰囲気および混合割合により生成される鉱物相が異なり,初期融液生成温度が変化することがわかった。焼結プロセスにおけるマグネタイト精鉱の利用は適切な酸素分圧および配合割合の制御により,プロセス中,低温からの融液生成が可能であると考えられる。この知見は,凝結材を削減した低温焼結操業の可能性を示唆している。本研究は酸化鉄とCaO間のみの反応を対象とした焼結でのマグネタイト精鉱利用の基礎的調査を行ったものであり,今後の課題として,SiO2,Al2O3等の脈石成分の影響の調査が必要であると考えられる。

Table 3.  Calcium ferrite on related to initial liquid formation.
Ar Air
Fe2O3-CaO CaO·Fe2O3
CaO·2Fe2O3
Fe3O4-CaO
CaO: 20 mass%
CaO·FeO·Fe2O3 CaO·Fe2O3
CaO·2Fe2O3
Fe3O4-CaO
CaO: 10 mass%
CaO·Fe2O3
CaO·2Fe2O3
4CaO·FeO·8Fe2O3

4. 結論

焼結鉱製造プロセスにおけるマグネタイト精鉱利用を目的としたマグネタイトとCaOの間の反応の初期融液生成挙動に関する基礎的調査を行い,以下の知見を得た。

(1)不活性雰囲気において,マグネタイト−CaO混合試料の初期融液生成開始温度は混合割合に依らず,ヘマタイト−CaO混合試料よりも高い傾向を示した。一方,酸化雰囲気においては,マグネタイト−CaO混合試料の初期融液生成開始温度はヘマタイト−CaO混合試料よりも低い傾向を示し,さらに,マグネタイト重量割合の増加に伴い,低温化することがわかった。

(2)不活性雰囲気,酸化雰囲気ともに,ヘマタイト−CaO混合試料の場合は2成分系カルシウムフェライト(CaO-Fe2O3)が融液生成温度以下で生じており,マグネタイト−CaO混合試料の場合は,それに加えて3成分系カルシウムフェライト(CaO-FeO-Fe2O3)が生じていた。

(3)大気雰囲気下でのマグネタイト−CaO混合試料において,マグネタイトの混合割合が小さい場合は,FeO-CaO・Fe2O3系である4-1-4が低温で生成し,この反応でマグネタイトが消費され,未酸化Fe2+は融液生成には関与しなかったと考えられる。一方,マグネタイトの混合割合が大きい場合は,FeO-CaO・2Fe2O3系である4-1-8が1100°C以上の高温域で生成され,融液生成に未酸化Fe2+が関与していたと考えられる。以上のことより,大気雰囲気の場合,未酸化Fe2+の利用される温度が異なり,初期融液生成開始温度に差が生じたと考えられる。

文献
 
© 2017 The Iron and Steel Institute of Japan

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