Tetsu-to-Hagane
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Special Issue: Processes of Iron Ore Treatment for Increasing Resource Flexibility and Resolving Environmental Problems in the Future
Preface to the Special Issue “Processes of Iron Ore Treatment for Increasing Resource Flexibility and Resolving Environmental Problems in the Future”
Taichi Murakami
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2021 Volume 107 Issue 6 Pages 385

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2000年代に入り増加した鉄鉱石資源需要により上昇していた鉄鉱石価格は,中国の需要減退により最盛期よりは落ち着いたものの,依然不安定な状況である。中長期的には,このような価格変動に加え,徐々に進行するSiO2やAl2O3など脈石成分の増加による劣質化が重要な問題となる。このような劣質鉱石の使用割合が増加すると,鉄鋼スラグ量増加など製鉄プロセスにおける消費エネルギー増やCO2排出量増加につながるため許容できない。その対応策として考えられるのが,選鉱を強化した高鉄品位の微粉鉱石の利用拡大というアクションである。通常,微粉鉱石はペレットの原料として用いられるが,ペレットは焼結鉱と比較すると割高となるため,多量に使うことは難しい。一方で,従来の焼結プロセスへの微粉鉱石多量配合は,焼結原料充填層の通気性を悪化させ,結果として生産性の低下を引き起こす。

鉄鉱石資源対応力強化と共に,鉄鋼業からのCO2排出削減が急務であることは本紙を手に取る読者には申し上げるまでもないことである。焼結プロセスからは日本全体の2から3%に相当するCO2が排出されており,この削減は重要である。

このような背景のもと,微粉原料を積極的に用いCO2排出量を低減可能な焼結プロセスの提案を目指し,造粒強化およびその機構解明,コークス以外の凝結材の有効利用,微粉造粒物の配置を考慮したプロセス現象の理解および焼結反応の効率化につながる基礎の提供を,「資源環境調和型焼結技術創成」研究会(2017~2019年)が中心となって進めてきた。本号はその研究会の終了に伴い,研究会メンバーの成果報告,資源の低品位化・微粉化に対応する原料処理技術や環境対応技術に関する研究成果を取りまとめ,焼結プロセスをはじめとする原料処理プロセスの資源自由度拡大と環境問題解決に資することを目的とした。微粉鉱石の増配合を,造粒強化と2段装入技術の併用(Advanced-HPSやAdvanced-MEBIOS)により焼結生産性を維持しつつ,焼結鉱の還元粉化性を維持したまま被還元性を向上させることを可能にするなど,一定の成果を得られたと考えている。さらに,研究会以外でも,劣質鉄鉱石の有効利用や焼結鉱の品質に関しての投稿をいただき,幅の広い特集号となったと自負している。特に,焼結鉱の主要鉱物組織であるカルシウムフェライトについては次の焼結研究会(「高品質焼結鉱の鉱物組織マルチスケール評価」研究会)のテーマにもなっており,今後の進捗を期待する。

 
© 2021 The Iron and Steel Institute of Japan

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