2022 Volume 108 Issue 12 Pages 958-965
Friction stir welding (FSW) is expected to be applied as a welding technique of materials with relatively high melting temperature such as steel materials. Silicon nitride is one of the inexpensive and attractive tool materials for FSW of the thick steel plate. Therefore, in this study, the capability of the silicon nitride tool without groove scroll to weld a low carbon steel plate with a thickness of 15 mm was investigated. The suitability of a tool shape was confirmed by FSW of a thick A5052 plate using a SKD61 tool with same shape as the silicon nitride tool. The defect-free welded specimen of the thick steel plate was obtained using the silicon nitride tool under the optimum welding condition. The silicon nitride tool could be used for FSW of the 15 mm thick steel plate until the welding length of 200 mm without breaking the tool. The defect area in the stir zone of the thick steel plate was decreased with decreasing of the tool rotation speed and tool tilt angle. Especially, the tool tilt angle was effective to increase the heat input and the material flow velocity. It is considered that the defect-free weld specimen of the thick steel plate was obtained to sufficient material supply to the RS of the stir zone by decreasing tool tilt angle to 1°.
摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding: FSW)は,回転する接合ツールと被接合材との間で生じる摩擦熱および加工発熱を用いて材料を軟化させ,接合ツールの回転力により生じる塑性流動を利用した固相接合法である1)。FSWは,比較的融点の低いアルミニウム合金などの接合法として実用化されている2–4)。今後は,比較的融点の高い鉄鋼材料の接合法としても実用化されることが望まれている5)。工具鋼などの鉄鋼材料を接合ツール材質として用いることができるアルミニウム合金のFSWと異なり,鉄鋼材料のFSWにおいては,接合ツール材質に高温における高い強度と靭性,耐摩耗性,非反応性などの材料特性が要求され,適用可能な接合ツール材質は限定される5)。また,構造用材料として用いられる機械構造用鋼の接合法としてFSWを実用化するには,厚鋼板(板厚6 mm以上)の接合に関する知見も必要となる。多結晶立方晶窒化ホウ素(Polycrystalline Cubic Boron Nitride:PCBN)は,鉄鋼材料のFSW用ツールに要求される材料特性を有し,厚鋼板のFSW施工を可能とする接合ツール材質である6–11)。しかし,PCBN製の接合ツールは非常に高価である。鉄鋼材料の接合法としてFSWを汎用化させるには,厚鋼板のFSW施工に適用可能な安価な接合ツール材質の研究開発が必要不可欠である。
鉄鋼材料のFSWに要求される材料特性を有する,安価な接合ツール材質の候補のひとつとして,窒化珪素が注目されている12)。窒化珪素は,高温まで安定な共有結合性の材質であることに加え,優れた破壊靱性を示す。窒化珪素製の接合ツールを鉄鋼材料のFSW施工に適用することを目的した多くの研究は,薄鋼板(板厚3 mm以下)を対象にしている12–17)。厚鋼板のFSWに関する需要はあるものの,窒化珪素製ツールの厚鋼板への適用を検討した例は少ない。そこで,本研究では,厚鋼板のFSWにおける窒化珪素製の接合ツールの有用性を明らかにすることを目的とした。まず本研究では,接合ツール形状の影響について調査するために,板厚15 mm用の工具鋼(SDK61)製の接合ツールを試作し,構造用アルミニウム合金(A5052)の接合試験を実施した。その上で,工具鋼製ツールと同様の形状および大きさを有する窒化珪素製ツールを用いて厚鋼板のFSWを実施し,窒化珪素製ツールの適用可能性を検討した。加えて,ツール回転数やツール前進角が攪拌部の前進側(Advancing Side: AS)における溝状欠陥の生成に与える影響を調査した。
供試材は,縦300 mm×横250 mm×厚さ15 mmのA5052およびSM490Aである。本研究で用いたA5052およびSM490Aの化学組成をTable 1およびTable 2に,それぞれ示す。板厚15 mm用の接合ツールのショルダ径は37.5 mm,プローブ長さは14.8 mmとした。接合ツールのショルダおよびプローブ表面にスクロール加工は施されていない。A5052厚板のFSWに用いた接合ツール材質はSKD6118),厚鋼板のFSWに用いた接合ツール材質は日本特殊陶業製の窒化珪素材(SX9)である。いずれのFSW施工も位置制御方式のFSW装置を用いたスターインプレートにて行った。A5052厚板向けの接合として,接合速度を30 mm/min,ツール前進角を3°に固定した状態でツール回転数を75から200 rpmまで25 rpmピッチで変化させた。厚鋼板向けの接合として,接合速度を50 mm/min,ツール前進角を1°もしくは3°に固定した状態でツール回転数を200から400 rpmまで50 rpmピッチで変化させた。いずれの接合長も50 mmとした。
Alloy elements | Si | Fe | Cu | Mn | Cr | Zn | Al |
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Contents (mass %) | < 0.25 | < 0.40 | < 0.10 | 2.2-2.8 | 0.15-0.35 | < 0.10 | Bal. |
Alloy elements | C | Si | Mn | P | S | Fe |
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Contents (mass %) | > 0.22 | > 0.35 | 0.66-1.50 | < 0.030 | > 0.015 | Bal. |
FSW施工後,攪拌部における溝状欠陥の面積とツール前方のバリの高さを測定した。厚鋼板の接合体の一例をFig.1に示す。図中には,攪拌部の溝状欠陥(Groove like defect),終端穴(Exit hole),前進側AS(Advancing Side: AS)および後退側(Retreating Side: RS)を示している。白色破線で囲われた領域を攪拌部ASにおける溝状欠陥として,その面積を画像解析ソフト(ImageJ)により測定した。また,Fig.2(a)で示すような攪拌部の終端穴(Exit hole)前方に形成されたバリをツール前方に形成したバリとして,Fig.2(b)のように平形直角定規によりバリの高さを測定した。
Groove like defect area and exit hole of SZ. (Online version in color.)
Measurement of burr height at end of welded specimen (a) top view, (b) side view. (Online version in color.)
攪拌部の断面形状と微細組織,トンネル状欠陥の有無を確認するため,A5052厚板および厚鋼板の断面試料を作製した。まず,接合方向に垂直な断面方向に対して,エメリー紙(#400から#4000)を用いた湿式研磨を施したのち,アルミナ(0.3 μm)を用いた鏡面研磨を行った。エッチング液として,A5052厚板にはケラー氏液を,厚鋼板には3%ナイタール液をそれぞれ用いた。A5052厚板および厚鋼板の微細組織は,光学顕微鏡(OLYMPUS BX53M)により観察された。母材および接合体の硬さ測定は,ビッカース硬さ試験機(HV-114,Akashi)を用いて実施された。硬さ試験は。試料の接合方向に垂直な断面方向を,鏡面研磨まで施したのちに実施した。硬さ測定条件は,試験力98.07 N,保持時間10 sである。接合体の硬さ測定は,Fig.3に示すように接合体の攪拌部表面から2 mmのラインを断面試料の中央から左右方向に30点ずつ,1 mm間隔で行った。
Measurement line of Vickers hardness on weld samples.
本研究で試作した工具鋼製の接合ツールを用いて,種々の接合条件にてFSW施工を実施した結果をFig.4に示す。Fig.4より,ツール回転数が175 rpm以上の場合は溝状欠陥が生じたが,150 rpm以下のツール回転数において溝状欠陥は生じなかった。ツール回転数100 rpm,接合速度30 mm/min.,ツール前進角3°にてFSW施工したA5052厚板の接合体外観と攪拌部の断面写真をFig.5に示す。図中にASとRSを示している。Fig.5より,本接合体は攪拌部に溝状欠陥やトンネル状欠陥のない無欠陥接合体であることがわかる。攪拌部のASに黒色領域が見られるが,これは組織形態によるものでありトンネル状欠陥ではないことを確認している。以上の結果より,本研究で試作した工具鋼製の接合ツールの形状および大きさがA5052厚板の接合において適当であることがわかった。
Relationship between tool rotating speed and groove like defect area of welded specimens under tool tilting angle 3°. (Tool material: SKD61, base metal: A5052, weld length = 50 mm). (Online version in color.)
Appearance of welded specimen (a) surface view, (b) cross sectional view. (Tool material: SKD61, base metal: A5052, weld length = 50 mm). (Online version in color.)
本研究で試作した窒化珪素製の接合ツールを用いて,種々の接合条件にてFSW施工を実施した結果をFig.6に示す。Fig.6より,ツール前進角3°および2°では,ツール回転数は異なるものの,バリの高さに大きな変化はなかった。一方,ツール前進角1°にするとバリの高さが低くなる傾向を示した。ツール前進角1°のとき,ツール回転数が攪拌部の溝状欠陥の面積に与える影響を調査した結果をFig.7に示す。実験結果より,ツール回転数が低くなると溝状欠陥が小さくなる傾向を示し,ツール回転数200 rpmでは溝状欠陥は見られなかった。以上から,本研究で試作した窒化珪素製の接合ツールを用いた厚鋼板のFSWにおいて,ツール回転数とツール前進角を制御することで,溝状欠陥のない厚鋼板の接合体が得られることを明らかにした。
Relationship between tool rotating speed and burr height. (Tool material: Si3N4, thick plate material: SM490A, weld length = 50 mm). (Online version in color.)
Relationship between tool rotating speed and groove like defect area on the welded specimen under tool tilting angle 1°. (Tool material: Si3N4, base metal: SM490A, weld length = 50 mm). (Online version in color.)
次に,溝状欠陥のない厚鋼板の接合体が得られた条件にて,接合長を200 mmとしてFSWを施工した。接合体の外観写真をFig.8(a)に示す。Fig.8(a)より,接合長200 mmの攪拌部においても溝状欠陥は見られなかった。なお,バリは除去して使用されることもあり,本研究ではバリは欠陥とみなさないものとした。窒化珪素製の接合ツールは破損せず,顕著な形状変化も生じなかった。ビード幅は接合開始点から終了点まで約37 mmと一定であり,安定にFSWが施工されたといえる。接合体の中央(接合距離100 mmの位置)から採取した接合体の断面写真をFig.8(b)に示す。断面写真より,攪拌部断面にトンネル状の欠陥は見られなかった。攪拌部のASに黒色領域が見られるが,これは組織形態によるものであり,欠陥ではないことを確認している。以上から,本研究で試作した窒化珪素製の接合ツールを用いて,最適なツール前進角とツール回転数にてFSW施工することで,攪拌部に溝状欠陥やトンネル状の欠陥のない厚鋼板の無欠陥接合体(接合長200 mm)が得られることがわかった。
Appearance of weld specimen (a) surface view, (b) cross sectional view. (Tool material: Si3N4, thick plate material: SM490A, weld length = 200 mm). (Online version in color.)
厚鋼板の接合体断面における硬さ測定結果をFig.9に示す。攪拌部ASで生じた急激な硬さ上昇を除くと,攪拌部の平均硬さは約212 HVであり,母材硬さ175 HVよりも上昇した。なお,攪拌部の最高硬さは,ASにて361 HVであった。硬さ測定を行った攪拌部RS(a),攪拌部中央(b)および攪拌部ASの黒色領域(c)の微細組織の観察結果をFig.10(a),(b),(c)にそれぞれ示す。攪拌部のRSと攪拌部中央の微細組織は,いずれもベイナイトとフェライトの混合組織であった。攪拌部ASの黒色領域の微細組織は,マルテンサイトとベイナイトの混合組織であった。なお,母材の微細組織は,フェライトとパーライトであった。母材硬さよりも攪拌部の硬さが高い理由は,微細組織がFSWによってフェライトとベイナイトに変態したためである。攪拌部ASの黒色領域において最高硬さが得られた理由は,マルテンサイトが生じたためと考えられる。
Vickers hardness of stir zone of thick steel welded specimen.
Microstructures in stir zone (a) RS, (b) SZ center, and (c) AS (Tool material: Si3N4, base metal: SM490A). (Online version in color.)
本研究で試作した接合ツールを用いて,A5052厚板および厚鋼板の無欠陥接合体が得られたFSW施工条件をTable 3に示す。Fig.4に示したようにA5052厚板のFSW施工では,ツール回転数を低くすることで攪拌部ASの溝状欠陥が小さくなる傾向を示した。そして,Fig.5に示したようにツール回転数100 rpm,接合速度30 mm/min.,ツール前進角3°にてFSW施工したA5052厚板は,溝状およびトンネル状欠陥のない無欠陥接合体であった。Fig.6およびFig.7に示したように厚鋼板のFSW施工では,ツール回転数とツール前進角を低くすることで攪拌部ASの溝状欠陥が小さくなる傾向を示した。そして,Fig.8に示したようにツール回転数200 rpm,接合速度50 mm/min.,ツール前進角1°にてFSW施工した厚鋼板は,溝状およびトンネル状欠陥のない無欠陥接合体であった。
Base metal | Thickness (mm) | Tool material | Shoulder diameter (mm) | Probe length (mm) | Tool rotation speed, N (rpm) | Welding speed, V (mm/min) | Revolution pitch, V/N (mm/r) | Tool tilt angle (°) |
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A5052 | 15 | SKD61 | 37.5 | 14.75 | 100 | 30 | 0.3 | 3 |
SM490A | 15 | Si3N4 | 37.5 | 14.75 | 200 | 50 | 0.25 | 1 |
これらの結果を基に,本研究で試作した接合ツールを用いたA5052厚板および厚鋼板のFSW施工において,ツール回転数とツール前進角を変化させることで無欠陥接合体が得られた理由について考察する。欠陥を生じさせずに,FSWを適切に施工するには,入熱量すなわち接合温度の適切な制御が重要である。入熱不足もしくは入熱過剰のとき,溝状もしくはトンネル状欠陥が生じることが知られている19)。FSWの入熱の算出には,Frigaardらにより提案された式が用いられる20)。
(1) |
ここで,QはFSW施工時の熱量(W),µは摩擦係数,Pは圧力(Pa),Nはツール回転数(rpm),Rはショルダ部の半径(m)である。まず,ツール回転数の影響について以下に述べる。Fig.4およびFig.7で示したように,A5052厚板ではツール前進角3°,厚鋼板ではツール前進角1°において,いずれもツール回転数を小さくすることで,攪拌部ASにおける溝状欠陥の面積が小さくなる傾向を示した。これは,式(1)より,ツール回転数を小さくすることでFSW施工中の入熱量が低くなり,攪拌部への入熱が抑制されることで,攪拌部ASの溝状欠陥の生成が抑制されたと考えられる。
次に,Fig.6に示すように厚鋼板のFSW施工時,ツール前進角を小さくすることで攪拌部ASの溝状欠陥が小さくなった理由を以下に述べる。ツールの位置制御におけるFSW施工において,ツール前進角が大きくなるとFSW施工中の平均の軸荷重が高くなる傾向を示すことが報告されている21)。よって,式(1)より,ツール前進角の増加は,入熱量が増加することに寄与すると考えられる。なお,Zhaiら22)は,ツールに埋め込まれた熱電対による温度測定より,ツール回転数800 rpm,接合速度150 mm/min.においてツール前進角の違いがFSW施工中のショルダおよびプローブの表面温度に与える影響を調査している。その結果,ツール前進角が大きいとき,ショルダおよびプローブの表面温度が高いことを示している。よって,本研究で試作した窒化珪素製の接合ツールを用いた厚鋼板のFSW施工においても,ツール前進角を小さくすることで入熱量が抑制され,攪拌部ASにおける溝状欠陥の生成が抑制されたのではと考えている。
A5052厚板の場合は前進角3°で良好な結果が得られたが,厚鋼板の場合は前進角3°では欠陥が発生し,1°にすることで欠陥発生を抑制できた。被接合材の違いにより最適なツール前進角が異なる原因として,被接合材質による材料流動挙動の違いも影響したのではと考えている。ツール前進角は,攪拌部の材料流動速度とも関係することが報告されている23)。Zhangら23)は,数値流体力学(Computational Fluid Dynamic)解析より,攪拌部の材料流動の速度はツール前進角が大きい方が速いことを示している。よって,ツール前進角を大きくすると,材料流動速度が加速されると考えられる。ところで,被接合材と材料流動挙動の関係は,Morisadaら24–26)によって報告されている。A1050の攪拌部における材料流動速度は,ツール回転数の増速に伴って,線形に増加する傾向が示された。一方,低炭素鋼の攪拌部における材料流動速度は,ツール回転数が一定値を超えると材料流動が追随せずにすべりが生じ,剥離することが示された。つまり,ツール前進角が大きいとき,A5052の攪拌部における材料流動速度は線形に増速されるが,厚鋼板の攪拌部における材料流動はツール表面に追従せずに,剥離が生じるのではと考えられる。ここで,本研究で用いた窒化珪素製および工具鋼製の接合ツールを用いたFSW施工した厚鋼板とA5052厚板の接合体断面写真をFig.11に示す。Fig.11(a)は厚鋼鈑,Fig.11(b)はA5052厚板接合体の断面写真である。図中の破線は,攪拌部と熱加工影響部との境界を示す。厚鋼板とA5052厚板の攪拌部の形状を比較すると,特にショルダ付近において厚鋼板の攪拌部の方が明らかに小さい。よって,試作した接合ツール形状を用いて無欠陥接合体が得られた接合条件におけるFSW施工中の材料流動は,A5052厚板よりも厚鋼板の方が生じにくいと考えられる。本研究における厚鋼板のFSWでは,ツール回転数ならびにツール前進角が大きいときは,入熱過剰ならびに材料流動の剥離により,ツール近傍から脱離した流動金属がツール前方にバリとして堆積されたと考えている。これに対し,ツール前進角を1°にすることで,接合ツールの回転に材料流動が追従し,攪拌部RS側への材料供給が達成され,Fig.8に示したような無欠陥接合体が得られたものと考えられる。
Comparison of stir zone size (a) thick steel plate, (b) A5052. (Online version in color.)
厚鋼板のFSWにおける窒化珪素製の接合ツールの有用性を明らかにすることを目的として,板厚15 mm用の接合ツール形状を検討した。接合ツールの形状の妥当性は,アルミニウム合金の中でも比較的高温強度の高いA5052厚板に対するFSW施工を行うことで調査した。その上で,板厚15 mm用の窒化珪素製の接合ツールを製作し,厚鋼板のFSWを行った。厚鋼板のFSWにおいて,ツール回転数やツール前進角が攪拌部ASにおける溝状欠陥の生成に与える影響を調査した結果,以下の結論を得た。
(1)本研究で試作した窒化珪素製の接合ツールを用いたFSW施工により,攪拌部に溝状やトンネル状欠陥のない,15 mm厚鋼板の無欠陥接合体が得られることを明らかにした。また,FSW施工後(接合長200 mm)の接合ツールの破損や顕著な形状変化は生じなかったことからも,厚鋼板のFSWにおける窒化珪素製の接合ツールの有用性が示された。
(2)本研究で試作した窒化珪素製の接合ツールを用いたFSW施工において,最適なツール前進角とツール回転数を選択することで,ツール前方に形成されたバリの高さが低くなること,攪拌部ASにおける溝状欠陥の面積が小さくなることがわかった。
(3)厚鋼板のFSWにおいて,攪拌部ASにおける溝状欠陥を小さくするためにツール前進角を小さくすることが必要であった原因のひとつとして,被接合材料の材質による材料流動挙動の違いも影響したのではと考えられる。
本研究の一部は,大阪大学接合科学研究所2021年度共同研究員制度および,龍谷大学2021年度特別研究員の助成を受けて行ったものです。