Preface to the Special Issue “Fundamental Researches and its Applications for Strengthening in High Temperature Materials”

高温材料の安全利用と特性改善は，現代のエネルギー依存型社会における文明・インフラ維持に重要な意味を持つ。それは，カーボンニュートラル社会の構築を目指す社会変革期の大きなうねりの中においても恒常的な価値を失わない。様々な外・内燃機関が省エネルギー性・高出力化を目指して使用環境を過酷化する中で，材料の信頼性向上と新素材開発への要求は高まるばかりである。このような背景から，2017年に日本鉄鋼協会に「高温材料の高強度化」研究会を立ち上げた。本研究会では，材料の安全利用を妨げる「高温材料強度の不確かさ」の根源にある「知識・技術の外挿」に頼る現状を打破し，革新的材料の創製と安全利用技術の確立のための基礎知識とすべく，未踏の学術分野である「低~極低速変形領域(実使用環境下)」での「不安定(非平衡)組織」を有する材料の高温変形・強化の学理構築を目指した活動を進めてきた。

本研究会とこれに関連する成果を，鉄鋼協会の会員各位，一般読者に纏まった形で知っていただくことを目的として，本分野に関連する特集号を企画した。高温材料とその関連材料における変形・強化・破壊現象と，それらに関連する材料組織のデザインならびに評価・解析技術に関する最新の研究成果により構成される本特集号が，高温材料における変形・強化の学理構築の一助となることを期待する。