2024 Volume 110 Issue 15 Pages 1179-1186
Degradation due to atmospheric corrosion is an important problem for steel structures such as bridges. In order to maintain steel structures safely over a long period of time, there is a need for a low-cost and easy-to-use method to evaluate corrosion degradation. In this study, corrosion morphology under atmospheric corrosion environment was focused on. The relation between the surface appearance and the distribution of corrosion depth of the carbon steel specimen after atmospheric exposure was analyzed, and the prediction of corrosion morphology under rust layers by surface observation of steel specimens was examined. It was found that deeply-corroded areas were possible to be located within the dark brown regions in the rusted specimen after the atmospheric exposure. As the exposure period increased, the correspondence between the dark brown regions in the rusted specimen and deeply-corroded areas became clearer. Since the corrosion progressed more locally as the exposure period increased, it is considered that the surface appearance of the rusted specimen showed traces of the deeply-corroded areas.
橋梁に代表される鋼構造物では,大気腐食による劣化が重要な問題である。鋼構造物を長期間にわたって安全に維持することができる材料の開発や設計の指針を得るために,鋼材の腐食速度予測技術やさびの安定化等に関する数多くの大気腐食研究が実施されてきた。腐食速度予測に関する研究では,耐候性鋼を中心とした低合金鋼をターゲットにし,環境因子や合金元素の影響が考慮されたさまざまな腐食速度式が報告されている1,2,3)。さびの保護性に関する研究も数多く実施されており,α/γ比(α-FeOOHとγ-FeOOHの質量比)等の化学的に安定なα-FeOOHの存在比に着目したさび層の保護性評価の指標が提案されている4,5,6)。また,鋼構造物の保全に向けた点検や維持管理も重要であり,橋梁では目視観察を基本とする点検が行われているが,人員不足や財政不足等の課題があり,腐食劣化を低コストかつ簡便に評価する技術が求められている7)。このニーズに対して,近年では,腐食部の外観から鋼材の健全度を評価する取り組みが実施されている。特に,機械学習や深層学習を利用した画像診断の開発が進められているが8,9),これらの取り組みには膨大なデータが事前に必要となることが課題となっている。
ところで,鋼材の大気腐食に伴う劣化診断には,平均の腐食速度だけでなく,最大腐食深さや腐食の分布等の腐食形態に関する情報も重要である。一般に,炭素鋼等の構造用鋼の大気腐食挙動は全面腐食であると言われているが,さび層の下で起こる腐食に伴い,鋼表面には凹凸が生成する10)。Tahara and Shinoharaは,大気暴露試験後の試験片のさびの下には腐食深さの分布が存在し,その分布は添加元素の影響を受けることを示している11)。また,空間統計学的アプローチにより,腐食形態を定量化する手法や腐食形態から平均の腐食速度をシミュレートする手法も報告されており12,13),今後は腐食形態に着目した大気腐食挙動に関する研究が増えていくと思われる。腐食が深く進行する箇所を予測することは,腐食による事故を防止することに直結するため,さびで覆われた鋼材の外観から腐食深さの分布を予測することができれば,非常に有用な腐食診断技術となる可能性がある。
近年,Katayamaらはハイパースペクトルカメラから得られる表面さびのスペクトル特性を解析し,腐食速度との相関を得る試みを実施しており,腐食した鋼材の外観から得られる情報を用いて腐食挙動の予測ができる可能性を示した14)。このことは,さびの下で進行する腐食が表面のさびの性状に影響を及ぼすことを示唆しており,局所的に深く腐食が進行している部分では他の箇所と比較して腐食速度が大きいため,その痕跡が表面のさびの外観に表れる可能性がある。そこで本研究では,千葉県銚子市において6,12および18ヶ月の大気暴露試験を行った炭素鋼試験片の外観と腐食深さの分布の関連について解析し,鋼材の表面外観観察によるさび層下の腐食形態の予測に関して検討した。
千葉県銚子市の大気暴露試験場にて,2021年4月12日から6,12および18ヶ月にわたって暴露した炭素鋼試験片を本研究の解析に用いた。鋼材には,溶接構造用圧延鋼SM490Aを用いた。Table 1に,試験片の化学組成を示す。この鋼材を150×70×4 mmの大きさに切り出した。鋼材表面に算術平均粗さRaが0.4から1.6 µmとなるように機械加工を施し,アルコールで脱脂した後に大気暴露試験に供した。本研究では,遮蔽のない直接暴露を実施した試験片について解析を行った。2020年のデータによれば,暴露試験場の平均気温は15.5°C,平均相対湿度は81%,年間降水量は2034 mm,海塩粒子付着量(NaCl換算)は10.7 mg m−1 d−1である15)。
C | Si | Mn | P | S | Nb | Al | O | N | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SM490A | 0.17 | 0.02 | 1.09 | 0.012 | 0.004 | 0.021 | 0.035 | 0.001 | 0.0018 |
除錆前の暴露試験片の外観はデジタルマイクロスコープで撮影し,形状測定機でさび表面の凹凸の分布を測定した。その後,80°Cの20 mass%クエン酸水素二アンモニウム水溶液中でさびを完全に除去した。純水で洗浄し,十分に乾燥させた後に,外観をデジタルマイクロスコープで撮影し,形状測定機で腐食深さの分布を測定した。除錆前の試験片においてさびが鋼素地としっかり固着している約57×38 mmの領域を画像処理で抽出し,除錆前の表面外観と除錆後の腐食深さ分布の対応関係を解析した。なお本研究では,日光や雨が直接当たる大気暴露試験片の表側の面について解析を行った。画像処理には,Python version 3.9とOpenCV version 4.9を用いた。
銚子市で18ヶ月にわたって暴露した試験片の外観写真を,Fig.1(a)に示す。全面的に褐色のさびで覆われていることが分かる。全面に同様のさびが生成しているわけではなく,暗い褐色の部分と薄い褐色の部分に分かれているように見える。表面外観についてより詳細に観察するため,Fig.1(a)において黄色の線で囲まれた領域の拡大図を,(b)に示す。この試験片の外観は,主に3つの領域に分かれると考えられる。水色の矢印で示される黒みがかった暗褐色の領域があり,この領域を囲むように赤褐色の領域(黄色の矢印)が存在する。また,白色の矢印で示される薄い灰色の領域も見られた。Fig.1(a)と見比べると,(b)における暗褐色の領域が(a)において暗い褐色に見えており,(b)における赤褐色と灰色の領域が(a)において薄い褐色に見えていると思われる。また,Fig.1(b)における3つの領域に加えて,白く見える部分も存在するが,この白い部分は暗褐色の領域内に存在することが多く,本研究ではこの白く見える部分も含め,暗褐色の領域と表現する。
(a) Surface appearance of the specimen exposed in Choshi for 18 months. (b) Enlarged view in the area surrounded by the yellow lines in (a). (Online version in color.)
この大気暴露試験片のさびを化学洗浄法によって除去し,腐食深さの分布を測定した。さびを除去した後の暴露試験片の表面外観をFig.2(a)に,腐食深さの分布をFig.2(b)にそれぞれ示す。Fig.2(a)より,外観は明るい領域と暗い領域に分かれており,さびの下の表面に大きな凹凸が存在することが予想される。このことを裏付けるように,Fig.2(b)では,緑色や青色で示される腐食が深く進行している領域が点在している。一般に,炭素鋼の大気腐食挙動は,全面にさびが生成しているため全面腐食と位置づけられるが,実際にはさびの下の表面に大きな凹凸が存在することが分かった。本研究の大気暴露試験片ではすべての面が腐食するため,暴露試験前の表面の高さが不明であり,腐食深さを正確に評価することはできないが,この試験片において最も浅い箇所と最も深い箇所の差は171 µmであることから,100 µm程度の凹凸が存在していると考えられる。
(a) Surface morphology and (b) depth map of the specimen exposed in Choshi for 18 months. All the images were obtained after the removal of rust layers. (Online version in color.)
大気暴露試験片の外観と腐食深さの分布との対応関係を調べるため,Fig.2(b)に示す腐食深さ分布において腐食が深く進行している青色の領域を抽出した。この抽出した領域を,Fig.1(a)に示す表面外観写真と対応させて,Fig.3(a)に示す。なお,青色の領域は,HSV色空間において,H:180–300°およびS:25–100%の範囲で抽出した。Fig.3(a)から,深く腐食していた青色の領域は全面に点在しており,主に暗い褐色部に存在していることが分かる。このことをより詳細に解析するため,Fig.3(a)において黄色の線で囲まれた領域の拡大図を,(b)および(c)に示す。Fig.3(b)は腐食が深く進行している青色の領域を除いた表面外観のみの拡大図であり,(b)と(c)に示す黄色の矢印は同じ位置に対応している。Fig.3(b)と(c)を比較すると,(c)における青色の領域,特に濃い青色で示される腐食がより深く進行している部分は,主に暗褐色のさびの領域に存在していることが分かった。
(a) Combined image of surface appearance of the specimen shown in Fig. 1 (a) and deeply corroded areas extracted from the depth map shown in Fig. 2 (b). (b) Surface appearance of the specimen and (c) enlarged view in the area surrounded by the yellow lines in (a). (Online version in color.)
表面外観における暗褐色の領域と深い腐食部との関係をより明確化するため,暗褐色のさびの領域を抽出することを試みた。暗褐色のさびの領域の抽出に際し,黒色に近い成分を抽出すると考え,HSV色空間においてV:0–50%の範囲で抽出した。この条件で抽出した暴露試験片の外観の暗褐色の領域を,Fig.3(a)に示した腐食が深く進行している青色の領域と対応させて,Fig.4に示す。表面外観の暗褐色のさびの領域は,青色の腐食部との対応がよく分かるように,半透明の黒色で示している。Fig.4より,腐食が深く進行している青色の部分はそのほとんどが黒色で示される暗褐色の領域に存在していることが分かる。このことから,暗褐色のさび層の下において全面的に腐食が深く進行しているわけではないが,腐食が深く進行している箇所は,暗褐色のさび層の下に存在する可能性が高いことが示された。
Combined image of dark brown areas in surface appearance and deeply corroded areas, which were extracted from the surface image shown in Fig. 1 (a) and the depth map shown in Fig. 2 (b), respectively. The dark brown areas were shown in translucent black. (Online version in color.)
腐食が深く進行した箇所が暗褐色のさびの領域に存在していた理由について,さびの表面の凹凸の観点から考察する。Fig.5(a)に,さびを除去する前の暴露試験片の表面さびの高さの分布を示す。赤色および橙色で示されるさびが盛り上がっている部分が点在しており,さびの外観に関わらず全面的にさびの凹凸が見られることが分かる。Fig.4と同様に抽出した暴露試験片の暗褐色のさびに対応する領域と,Fig.5(a)におけるさびが盛り上がっている赤色および橙色の領域との対応を,Fig.5(b)に示す。赤色および橙色の領域は,HSV色空間において,H:0–60°と300–360°,およびS:25–100%の範囲で抽出した。Fig.4と同様に暗褐色のさびの領域は,半透明の黒色で示している。Fig.5(b)より,さびが盛り上がっている箇所は暗褐色のさびの領域に存在していることが分かる。しかし,暗褐色のさびの領域では,必ずしもその領域全面のさびが盛り上がっているわけではなく,画像全体においてさびの凹凸が生成していることが確認された。すなわち,さびの色調に及ぼすさびの生成による盛り上がりやさび表面の凹凸の影響は少なく,暗褐色のさびの領域では,さびの組成やさび層の緻密さ等が他の領域と異なっている可能性がある。性状の異なるさびの分布とさび層下の局所的な腐食との関連性を,今後検討する予定である。
(a) Height map of the rusted specimen exposed in Choshi for 18 months. (b) Combined image of dark brown areas in surface appearance and high (red) areas in the height map of the rusted specimen, which were extracted from the surface image shown in Fig. 1 (a) and the height map shown in (a), respectively. The dark brown areas were shown in translucent black. (Online version in color.)
これまでの解析から,大気暴露試験片の暗褐色のさびの領域の一部で,腐食が深く進行している可能性があることを示した。このことは,暴露試験片の外観から腐食速度や腐食形態に関する情報を得ることができる可能性を示唆しているが,さびの生成量が少ない試験片においてこの解析が適用できるならば,腐食の状況を早期に把握できるため非常に有用である。そこで,暴露期間が6および12ヶ月の試験片の表面の外観と腐食深さの分布の関係について解析した。
銚子市で6ヶ月にわたって暴露した試験片の外観写真を,Fig.6(a)に示す。Fig.1(a)に示す暴露期間が18ヶ月の試験片と比較すると,全面が褐色のさびで覆われていること,暗い褐色の部分と薄い褐色の部分に分かれていることは同様であるが,暗い褐色の部分がより細かく分散しているように見える。また,暗い褐色部における色も,Fig.1(a)と比較するとやや明るくなっているように感じられる。Fig.6(a)において黄色の線で囲まれた領域の拡大図を,(b)に示す。Fig.1(b)と比較すると,暴露期間が18ヶ月の試験片で見られた黒みがかった暗褐色の領域が存在せず,暴露期間が6ヶ月の試験片は赤褐色および灰色の領域に分かれていることが分かる。Fig.6(a)で見られた暗い褐色の部分が,(b)における赤褐色の領域に対応していると思われる。暴露期間が6ヶ月の試験片のFig.6(b)に領域における,さびを除去した後の腐食深さの分布をFig.6(c)に示す。Fig.2(b)と同様に,緑色や青色で示される腐食が深く進行している領域が点在しており,さびの下に腐食に伴う表面の凹凸が存在することが分かる。Fig.6(b)における黄色の矢印と(c)における白色の矢印は同じ位置を示しており,腐食が深くなっている箇所が赤褐色および灰色の部分に分布していることが分かった。さびの生成量が少ない暴露期間が6ヶ月の試験片においては,腐食が深くなっている箇所の痕跡が表面のさびの外観に表れていないと思われる。
(a) Surface appearance of the specimen exposed in Choshi for 6 months. (b, c) Enlarged view in the area surrounded by the yellow lines in (a) and corresponding depth map. The depth map was obtained after the removal of rust layers. (Online version in color.)
銚子市で12ヶ月にわたって暴露した試験片の外観写真を,Fig.7(a)に示す。暴露期間が6ヶ月(Fig.6(a))および18ヶ月(Fig.1(a))の試験片と比較すると,同様に全面的に褐色のさびが広がっているが,その色調が明るくなっていることが分かる。これは,暴露期間が6ヶ月および18ヶ月の試験片とは異なる季節に回収するため,回収前にさられていた温度や湿度等の気象条件によってさびの性状が変化したことに起因すると思われる。一方で,暴露期間が6ヶ月の試験片では明確には確認できなかった黒みがかった暗褐色のさびの部分が,12ヶ月の試験片では点在しているように見える。Fig.7(a)において黄色の線で囲まれた領域の拡大図を,(b)に示す。暴露期間が6ヶ月および18ヶ月の試験片とは全体的に色合いが異なるが,Fig.1(b)において水色の矢印で示した暗褐色系のさびの領域が増加していることが分かる。Fig.7(b)に領域におけるさびを除去した後の腐食深さの分布を,Fig.7(c)に示す。この試験片でも同様に,さびの下に腐食に伴う表面の凹凸が確認された。また,Fig.7(b)における黄色の矢印と(c)における白色の矢印は同じ位置を示しており,腐食が深く進行している青色の領域は,暗褐色のさびの部分と対応する場合が多いことが分かった。腐食深さの分布におけるすべての青色の領域が,暗褐色のさびの部分と対応しているわけではないが,銚子市で暴露した試験片においては,暗褐色のさびの領域の一部で,さびの下の腐食が深く進展している可能性が示された。
(a) Surface appearance of the specimen exposed in Choshi for 12 months. (b, c) Enlarged view in the area surrounded by the yellow lines in (a) and corresponding depth map. The depth map was obtained after the removal of rust layers. (Online version in color.)
さびの下の腐食形態に及ぼす暴露期間の影響に関して考察するため,各暴露期間の試験片における腐食深さの度数分布曲線をFig.8に示す。前述の通り,本研究の大気暴露試験片ではすべての面が腐食するため,暴露試験前の表面の高さが不明であり,腐食深さを正確に評価することはできない。そこで,試験片における最も腐食が浅かった部分を腐食深さz=0として定義した。そのため,暴露期間が延びるにつれて腐食深さを過小評価している可能性は否定できないが,分布の傾向については評価できていると考えている。Fig.8より,各試験片ともに腐食深さの分布は,20–30 µm程度の深さでピークとなり,深くなっていくにつれて度数が徐々に減少していくことが分かる。本研究の暴露試験片の全面における腐食減量は,37.4(6ヶ月),43.7(12ヶ月),56.4 µm(18ヶ月)であり,表面と裏面の腐食速度が同等であると仮定すると,試験片の表側の平均腐食深さは18.7(6ヶ月),21.9(12ヶ月),28.2 µm(18ヶ月)に相当する。この値は,Fig.8における各試験片のピーク値に近く,度数分布曲線のピークは全面腐食に近い腐食の形態の度数を示していると考えられる。一方で,度数分布曲線のピークよりも右側の領域では,局部的に腐食が深く進行している箇所の度数を示しており,暴露期間が延びるにつれて,腐食が深くなっている領域が多くなっていることが分かる。このことは,暴露期間の増加に伴い,腐食がより局所的に進行し,凹凸が増加することを意味しており,暴露期間が18ヶ月まで増加したことで腐食がより局所的に進行し,腐食が深い部分においてその痕跡が表面のさびの外観に表れたと考えられる。
Frequency polygons of the depth for the specimens exposed in Choshi for 6, 12, and 18 months. They were obtained from the depth maps shown in Fig. 2 (b), 6 (c), and 7 (c). (Online version in color.)
本研究の検討から,大気暴露試験片の外観と腐食深さの分布には,対応関係がある可能性が示された。本研究では,飛来海塩の影響を受ける地域で,期間が1–2年の大気暴露を実施した試験片に関して検討を行ったが,腐食速度や大気暴露期間が異なる試験片を用いて,幅広い検討を今後実施したいと考えている。一方で,外観と腐食深さの分布の位置合わせの精度はまだ未検討であり,定量的な議論をするために,測定や解析の精度も今後に検討を実施する。また,表面に生成するさびの色調はさびの性状(組成や緻密さ等)を反映しており,さびの還元性やイオン選択透過性,イオン透過抵抗の特性に影響し,さび層下で進行する腐食と密接な関係があると考えられるため,表面さびの局所的な解析を進めていく予定である。
本研究では,千葉県銚子市において6,12および18ヶ月の大気暴露試験を行った炭素鋼試験片の外観と腐食深さの分布の関係について解析し,以下の結言が得られた。
(1)大気暴露試験片の暗褐色のさびの領域の一部で,腐食が深く進行している可能性がある。
(2)大気暴露期間が延びるにつれて,暴露試験片における暗褐色のさびの領域と腐食が深く進行している部分との対応関係がより明確になった。暴露期間の増加に伴い腐食がより局所的に進行し,腐食が深い部分においてその痕跡が表面のさびの外観に表れたと考えられる。
本研究の遂行に関する利益相反は無い。
本研究は,(一社)日本鉄鋼協会「インフラ劣化診断のためのデータサイエンス」研究会の活動の一環として行われた。暴露試験片および情報の提供に対し,研究会の関係者各位に感謝する。また,本研究の一部は,JSPS科研費 JP24K01206の助成を受けて実施された。