Abstract
The concentration dependence of the activity coefficients of solutes in molten iron is expressed in terms of interaction parameters. The interaction parameters were determined by the experiments under thermodynamic equilibrium and the evaluation had been based only on the accuracy of the experiments. An evaluation of the interaction parameters is proposed due to the thermodynamic stability of homogeneous solution, and is applied to several interaction parameters of the solutes of O, S, Ca and Al in molten iron at 1600°C.
1. 緒言
溶鉄中の合金成分iの活量係数の濃度および他の合金成分の濃度の影響は相互作用係数で表わされる1,2,3,4,5,6)。合金成分iの濃度が希薄の場合,濃度をモル分率xiで表すと活量係数γiは次式で表される。
lnγi=lnγi0+εiixi+εijxj+εikxk+εilxl+ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ | (1) |
γi0は定数である。ここでεij(j=i, j, k・・m・・)は相互作用母係数である。
εij=limxj→1∂lnγi∂xjT,P,xm m≠j | (2) |
ここでTは絶対温度,Pは圧力である。
質量%濃度では,希薄溶液の活量係数fiは相互作用助係数eij(j=i, j, k・・・)で表される。
logfi=eii%i+eij%j+eik%k+eil%l+⋅ ⋅ | (3) |
eij=lim%j→100∂logfi∂%jT,P,%m m≠j | (4) |
濃度が比較的大きいか成分間の相互作用が大きい場合は,次式で表される。
lnγi=lnγi0+εiixi+εijxj+ ⋅ ⋅ + ρiixi2+ ρijxj2+ ρii,jxixj + ⋯ | (5) |
logfi=eii%i+eij%j+ ⋅ ⋅ +rii%i2+ rij%j2+rii,j%i%j+⋯ | (6) |
ρijとρij,j,rij,rii,jは定数である。
相互作用係数は熱力学的平衡実験で測定されており,1968年,日本学術振興会(JSPS)刊行の製鋼反応の平衡推奨値7)(1984年改訂版刊行8)),Sigworth and Elliott9)の1974年の論文,および2010年刊行のHino and Ito10)のデータ集に推奨値が纏められている。
これらの相互作用係数は実験で得られた値の他,条件の異なる別の実験で得られた既知の値を用いて決定されている。それらの値の評価は,平衡実験の精度で行われている。
本研究では,均質相の熱力学的安定性の理論から相互作用係数が満たすべき関係を明らかにし,相互作用係数の評価を行う。
2. 相互作用係数と化学ポテンシャルの関係
c成分からなる系のギブスエネルギーはT,Pおよび成分のモル数niの関数で与えられる。
GT, P, n1, n2,⋅ ⋅ ⋅ ⋅ nc | (7) |
成分iの化学ポテンシャルμiは,一定のT,P,nj(j≠i)下では次式で定義される。
μi=∂G∂niT,P,nj j≠i=μi0+RTlnγixi | (8) |
μi0は標準状態の化学ポテンシャルである。
化学ポテンシャルμiの他成分のモル数の影響は次式で与えられる。
μij=∂μi∂njT,P,ni=∂2G∂nj∂niT,P=∂μj∂niT,P,nj=μji | (9) |
式(9)に式(8)を用いると次式を得る。
μ
ij
=
RT{
(
∂ ln
γ
i
∂
n
j
)
n
k(
k≠j
)
+
(
∂ln
x
i
∂
n
j
)
n
k(
k≠j
)
}
=
RT{
(
∂ ln
γ
i
∂
x
j
)
x
k
+
(
∂
x
j
∂
n
j
)
n
k
+
∑
k(
k≠j
)
c−2
(
∂ ln
γ
i
∂
x
k
)
x
m(
m≠k
)
(
∂
x
k
∂
n
j
)
n
k
+
(
∂ln
x
i
∂
n
j
)
n
k
}
=
RT
1
n
{
(
∂ ln
γ
i
∂
x
j
)
x
k
(
1−
x
j
)+
∑
k(
k≠j
)
c−2
(
∂ ln
γ
i
∂
x
k
)
x
m(
m≠k
)
x
k
−1
}
| (10) |
式(1)と式(2)を用いると次式を得る。
μij=RT1nεij1−xj−∑kk≠jc−2εikxk−1 | (11) |
ここで,全モル数n=∑ini,j成分のモル数nj=nxj以外のモル数は一定なので変化量はdn=dnjである。
μiiは次式で表される。
μ
ii
=
(
∂
μ
i
∂
n
i
)
T,P,n
k(
k≠i
)
=
RT{
(
∂ ln
γ
i
∂
x
i
)
x
k
+
(
∂
x
i
∂
n
i
)
n
k
+
∑
k(
k≠i
)
c−2
(
∂ ln
γ
i
∂
x
k
)
x
m (
m≠k
)
(
∂
x
k
∂
n
j
)
n
k
+
(
∂ln
x
i
∂
n
i
)
n
k
}
=
RT
1
n
{
(
(
∂ ln
γ
i
∂
x
j
)
x
k
+
1
x
i
)(
1−
x
i
)+
∑
k(
k≠i
)
c−2
(
∂ ln
γ
i
∂
x
k
)
x
m (
m≠k
)
x
k
}
| (12) |
式(1)を用いると次式を得る。
μii=RT1nεii+1xi1−xi−∑kk≠ic−2εikxk | (13) |
式(9)と式(11)より
εij1−xj−∑kk≠jc−2εikxk=εij1−xj−∑kk≠ic−2εjkxk | (14) |
(xi, xj, xk)→0の場合次式を得る。
式(3)と式(4)を用い
W=∑k=1CnkMk
とおくと相互作用助係数に関する次式を得る。ここでMkは成分kの原子量である。
μ
ij
=
RT{
2.303
(
∂log
f
i
∂[
%j ]
)
[
%i ]
+
(
∂[
%j ]
∂
n
j
)
n
k (
k≠j
)
+
2.303
∑
k(
k≠j
)
c−2
(
∂log
f
i
∂[
%k ]
)
[
%m ]
(
m≠k
)
(
∂[
%k ]
∂
n
j
)
n
k
+
(
∂ln[
%i ]
∂
n
j
)
n
k
}
=
2.303RT
M
j
W
{
(
∂log
f
i
∂[
%j ]
)
[
%i ]
(
100−[
%j ]
)
−
∑
k(
k≠j
)
c−2
(
∂log
f
i
∂[
%k ]
)
[
%m ]
(
m≠k
)
[
%k ]−
1
2.303
}
| (16) |
式(3)を用いると次式を得る。
μij=2.303RT
MjW
eij100−%j−∑kk≠jc−2eik%k−12.303 | (17) |
μ
ii
=
2.303RT
M
i
W
[
{
(
∂log
f
i
∂[
%i ]
)
[
%k ]
(
k≠i
)
+
1
2.303[
%i ]
}(
100−[
%i ]
)
−
∑
k(
k≠i
)
c−2
(
∂log
f
i
∂[
%k ]
)
[
%m ]
(
m≠k
)
[
%k ]
]
| (18) |
μii=2.303RTMiWeii+12.303%i100−%i−∑kk≠ic−2eik%k | (19) |
[%i], [%j], [%k]→0の場合,式(9)と式(17)より次式を得る。
eij=ejiMiMj+1230.3Mj−MiMj | (20) |
さらに式(11)と式(17)から[%i], [%j], [%k]→0の場合,
ε
i
j
と
e
i
j
の間に次の関係が得られる。
εij=230.3eijMjMFe+1−MjMFe | (21) |
3. 均一溶液の熱力学的安定条件
Prigogine and Defay11)は均一溶液の熱力学的安定条件を次のように述べている。最初の均一な状態pの相から拡散の摂動によりp’になる場合を考える。c個の成分が素体積aからbに移動する場合,c個の移動をc個の同時反応と考える事ができる。この同時反応で生成する非補償熱δQ'pp'が負の時,すなわちエントロピー生成(ΔSi)が負の時この摂動は起らない。あるいはもとに戻る。この場合,相の状態pは安定である。
δ
Qʹ
ppʹ
=TΔ
S
i
=
∫
p
pʹ
∑
i=1
c
=
A
i
(
ξ
i
)d
ξ
i
<0
| (22) |
ここでξiは反応座標である。化学親和力Ai(ξi)をp (Ai=μia−μib (i=1~c))でテーラー展開する。2次の項まで取り,高次の項を無視すると,
δ
Qʹ
ppʹ
=
∫
p
pʹ
∑
i
∑
j
(
∂
A
i
∂
ξ
j
)=d
ξ
i
d
ξ
j
<0
|
ここで成分jがaからbに移動する場合(ja→jb), dnja−1=dnjb1=dξjで,平衡ではμija=μijb=μijなので,∂dnja∂ξj=−1, ∂dnjb∂ξj=1であり,次式を得る。
∂Ai∂ξj=∂μia∂ξj−∂μib∂ξj=∂μia∂nja∂nja∂ξj−∂μib∂njb∂njb∂ξj=−2μji |
したがって,
を得る。
一方,Gibbs–Duhemの式∑iniδμi=0から,δμi=∑j∂μi∂niT,Pδnjを用いると∑i∑jni∂μi∂njT,Pδnj=0を得る。δnjの任意の値に対して∑iniμij=0の関係を得る。この式は任意のniに対して恒常的に成立するので,μjiが作るc個×c個の対称行列の値はゼロである。dξi>0, dξj>0なので,式(23)が常に成り立つ条件は,(c−1)個×(c−1)個の対称行列の内μii>0 (i=1~c−1),および行列式の主対角線上に作られる奇数次および偶数次の小行列式が全て正または0である事が必要かつ十分である11)。
2元系 (c=2) では次式となる。溶質を1,溶媒のFeを2として,式(13)から次式を得る。
x1<1なので次式を得る。
相互作用助係数の安定条件は次のようになる。
3元系 (Fe-1-2) では次式となる。
μ11>0,μ22>0,μ11μ21μ12μ22≥0 | (26) |
式(11)と式(13)から次式を得る。
μii=RT
1n
εii+
1xi
1−xi−εijxj
i,j=1,2
μ12=RT
1n
ε121−x2−ε11x1−1
Ci=εii+
1xi
1−xi−εijxj>0
i,j=1,2
C3=C1C2−ε121−x2−ε11x1−12≥0 | (27) |
相互作用助係数は式(17)と式(19)から次のようになる。
Di=eii+
12.303%i
100−%i−eij%j>0
i,j=1,2
D3=D1D2−
M2M1
e12100−%2−e11%1−
12.303
2≥0 | (28) |
4元系 (Fe-1-2-3) では相互作用助係数を用いた場合,次式を得る。
Ei=
12.303RT
1Mi
μii>0
i=1,2,3
Eij=
W2.303RT
2
1MiMj
μiiμijμjiμjj≥0
i,j=1,2 and 2,3
E4=
W2.303RT
3
1M1M2M3
μ11μ12μ13μ21μ22μ23μ31μ32μ33≥0 | (29) |
濃度が比較的大きい場合の条件は,相互作用母係数は式(5),式(10)および式(12)から,相互作用助係数は式(6),式(16)および式(18)から得られる。
2元系ではそれぞれ次式となる。
G1=e11+2r11%1+12.303%1>0 | (31) |
3元系では相互作用母係数は次式になる。
Hi
=
εii+2ρiixi+ρii,jxj+1xi1−xi
−
εij+2ρijxj+ρii,jxixj>0 i,j=1,2
H3
=
H1H2
−
ε12+2ρ12x2+ρ11,2x11−x2−ε11+2ρ11x1+ρ11,2x2x1−12≥0 | (32) |
相互作用助係数は次式となる。
Ii
=
eii+2rii%i+rii,j%j+
12.303%i
100−%i
−
eij+2rij%j+rii,j%i%j>0 i,j=1,2
I3
=
I1I2−
M2M1
e12+2r12%2+r11,2%1100−%2
−
e11+2r11%1+r11,2%2%1−
12.303
2≥0 | (33) |
4. いくつかの相互作用助係数の評価
4・1 1種類の溶質を含む溶鉄中の相互作用助係数
4・1・1 酸素
1600°Cにおける酸素の溶解度は0.24 mass%である。Floridis and Chipman12)とSakao and Sano13)はMgOルツボあるいはAl2O3ルツボを用いてO(in l. Fe)+H2(g)=H2O(g)の反応の平衡実験を行った。logpH2OpH2%Oと[%O]が測定濃度範囲で線形関係にありその傾きからeOOを求めた。Floridis らは1600°CでeOO=−0.20を得ている。酸素の濃度範囲は0.02~0.20 mass%である。Sakaoらは1600°CでeOO=−0.17を得ている。酸素の濃度範囲は0.0146~0.1998 mass%である。JSPSの推奨平衡値8)は平衡実験に関する詳細な検討がなされている後者を採用している。
Table 1に示すように,両者の値は共に式(25)を満足している。
Table 1. Evaluation of the interaction parameter of one solute in molten iron by the
Eq. (25).
Ref. |
eOO |
[%O] |
B1 |
Floridis et al.12) |
−0.2 |
0.02–0.20 |
21.5–2.0 |
Sakao et al.13) |
−0.17 |
0.0146–0.1998 |
29.6–2.0 |
|
eSS |
[%S] |
|
Ishii et al.14) |
−0.046 |
0.58–4.03 |
0.70–0.06 |
|
eCaCa |
[%Ca] |
|
Sigworth et al.9) |
−0.002 |
? |
|
Han17) |
−0.076 |
0.0024–0.011 |
181–39 |
Present study |
−5.2 |
0.0024–0.011 |
176–34 |
|
eAlAl |
[%Al] |
|
Chipman et al.19) |
0.049 |
0.39–23.38 |
1.16–0.07 |
Wilder et al.20) |
0.043 |
0.39–23.38 |
1.15–0.06 |
4・1・2 硫黄
溶鉄中の硫黄の活量はS(in l. Fe)+H2(g)=H2S(g)の反応の平衡実験で得られている。logpH2SpH2%Sが測定濃度範囲で線形関係にありその傾きからeSSを求めた。JSPSの推奨平衡値8)はIshii and Fuwa14)が1600°Cで測定したeSS=−0.046である。[%S]は0.58~4.03 mass%の範囲である。ルツボはAl2O3である。ガス相と溶鉄の平衡を実現するために抵抗炉を用いている。
Table 1に示すように式(25)を満足している。
4・1・3 カルシウム
1600°CにおけるPCa=1 atmにおけるCaの溶解度は1600°Cで0.032 mass%である15)。JSPSの推奨値8)はeCaCa=−0.002である。この値はSigworthら9)のTable 1から得ており,Sponseller and Flinn15)とMeysson and Rist16)の実験からの推定である。
反応Ca(g)=Ca(in l. Fe)の平衡定数Kは次式で表される。
log K=log%CapCa+eCaCa%Ca | (34) |
ここでKは温度の関数である。Han17)はCaOルツボ中の溶鉄とCa–Arガスを平衡させて,PCaと[%Ca]を測定した。彼は正則溶体モデルを仮定してeCaCa=−0.076を得た。一方,彼の論文のTable 2.2の値を用いるとlog%CapCaと[%Ca]の関係は線形であり,その傾きからeCaCa=−5.2を得る。Caの濃度範囲は0.0024~0.011 mass%である。Table 1に示すようにいずれの値も式(25)を満足している。
4・1・4 アルミニウム
Chipman and Floridis19)は二相分離するFe–Ag合金融体中のAlの活量の平衡関係を利用している。彼らはHillertら18)がAl(s)/AlCl3 in NaCl(l)/Al–Ag alloy(s)の電池を用いた起電力法で642~820 Kの温度範囲で測定したAg中のAlの活量係数を1600°Cに外挿し,Agの高濃度側の0.74~5.74 at%Fe–Ag溶融合金中のAlの活量係数とし,これと平衡するAg濃度0.44~3.69 at%のFe–Ag溶融合金中のAlの活量係数を決定した。[at%Al]の濃度範囲は0.80~39.93at%で,log γAlと[at%Al]の直線関係から1600°CにおいてεAlAl=6.0(eAlAl=0.049)を得た。
Wilder and Elliott20)はAl(l)/Al3+in KCl+NaCl(l)/Al–Ag alloy(l)の電池を用いて700~980°Cで測定を行った。そしてChipmanら19)のFe–Ag合金融体を用いた実験結果を使い,1600°CにおいてεAlAl=5.3(eAlAl=0.043)を得た。JSPSの平衡推奨値8)は後者を採用している。これらの値はTable 1に示すように式(25)を満足している。
4・2 2種類の溶質を含む溶鉄中の相互作用助係数
4・2・1 カルシウムと酸素
CaO(s)=Ca(in l. Fe)+O(in l. Fe)の平衡定数Kは式(3)を用いて
log K=log K'+
e
O
O
[
%O ]+
e
O
Ca
[
%Ca ]+
e
Ca
O
[
%O ]+
e
Ca
Ca
[
%Ca ]
|
で表される。ここでK'=[%O][%Ca]である。式(20)を用いると次式を得る。
log K−log K'−(
e
O
O
−0.0065
)[
%O ]−
e
Ca
Ca
[
%Ca ]
=
e
O
Ca
(
[
%Ca ]+2.51[
%O ]
)
| (35) |
[%O]と[%Ca]の濃度は([%Ca]+2.51[%O])とK'の値から求めることができる。
Gustafsson and Mellberg21)は1600°CにおいてCaOルツボを用いて平衡実験を行い,−log K'が([%Ca]+2.51[%O])の3次関数で表されることを示した。彼らは([%Ca]+2.51[%O])が0.005から0.027の間で線形近似し,その傾きからeOCa=−61.8を得た。Table 2に示すように,低濃度側では式(28)を満足しているが,高濃度側では満足していない。
Table 2. Evaluation of the interaction parameters of two solutes in molten iron by the
Eq. (28).
(1) Ca–O |
Ref. |
eOO |
eCaCa |
eOCa |
eCaO |
[%Ca] |
[%O] |
Do |
DCa |
D3 |
Gustafsson et al.21) |
−0.17 |
−5.2 |
−61.8 |
−154.5 |
0.001 |
0.003 |
1.45×104 |
4.29×104 |
5.25×108 |
−0.17 |
−5.2 |
−61.8 |
−154.5 |
0.017 |
0.004 |
1.08×104 |
2.03×103 |
−7.34×107 |
(2) Al−O |
Ref. |
eOO |
eAlAl |
eOAl |
eAlO |
[%Al] |
[%O] |
Do |
DAl |
D3 |
JSPS8) |
−0.17 |
0.043 |
−1.17 |
−1.98 |
0.08 |
0.0003 |
1.45×105 |
5.47×102 |
7.91×107 |
−0.17 |
0.043 |
−1.17 |
−1.98 |
0.002 |
0.0013 |
3.34×104 |
2.17×104 |
7.25×108 |
Dimitrov et al.32) |
−0.17 |
0.045 |
−5.54 |
−9.35 |
0.09 |
0.0006 |
7.24×104 |
4.87×102 |
3.35×107 |
−0.17 |
0.045 |
−5.54 |
−9.35 |
0.0001 |
0.008 |
5.41×103 |
4.34×105 |
2.35×109 |
(3) Ca−S |
Ref. |
eSS |
eCaCa |
eSCa |
eCaS |
[%Ca] |
[%S] |
DS |
DCa |
D3 |
JSPS8) |
0.046 |
−0.002 |
−110 |
−138 |
0.0174 |
6.90×10−8 |
6.29×108 |
2.50×103 |
1.57×1012 |
0.046 |
−0.002 |
−110 |
−138 |
0.038 |
2.00×10−5 |
2.17×106 |
1.14×103 |
2.18×109 |
この系は成分間の相互作用が大きい場合で式(33)で評価することができる。
JSPSの推奨値8)はGustafssonら21)を含め,Kobayashiら22),Miyashita and Nishikawa23),Ozawaら24),Suzukiら25),Suzuki26)の異なる6研究の測定値を用いて,−log K'を([%Ca]+2.51[%O])の2次関数で表し,([%Ca]+2.51[%O])→0における勾配からeOCa=−515を得ている。([%Ca]+2.51[%O])の濃度範囲は0.00164から0.0174である。同様な方法でGustafssonら21)の測定値を用いて3次関数の([%Ca]+2.51[%O])→0における勾配から求めた値はeOCa=−215である。
Hinoら10)はTable 3に示す式(6)による非線形の相互作用係数の値を推奨している8)。ここで,rOOはSigworthら9)の論文のTable 1から,およびeCaCaは4・1・3節で筆者が得た値である。rCaCa=0は仮定である。([%Ca]+2.51[%O])の最大値における[%Ca]=0.0174,[%O]=0.000407を用いると,Table 3に示すようにIO>0およびICa>0であるが,I3<0で式(33)を満足しない。
Table 3. Evaluation of the interaction parameter of two solutes in molten iron by the
equation (33) for nonlinear relation between
log f
i and mass%.
(1) Ca–O |
Ref. |
eOCa |
eCaO |
eCaCa |
eOO |
rOO |
rCaCa |
rOCa |
rCaO |
rCaCa,O |
rOO,Ca |
Hino et al.10) |
−515 |
−1293 |
−5.2 |
−0.17 |
0 |
0 |
357 |
2240 |
1801 |
1788 |
Wakasugi et al.27) |
−1400 |
−3500 |
−5.2 |
−0.17 |
0 |
0 |
8500 |
53000 |
43000 |
43000 |
Cho et al.29) |
−3600 |
−9036 |
−5.2 |
−0.17 |
0 |
0 |
5.70×105 |
3.56×106 |
2.90×106 |
2.90×106 |
−990 |
−2485 |
−5.2 |
−0.17 |
0 |
0 |
42000 |
2.64×105 |
2.10×105 |
2.10×105 |
−990 |
−2485 |
−5.2 |
−0.17 |
0 |
0 |
42000 |
2.64×105 |
2.10×105 |
2.10×105 |
Itoh et al.30) |
−310 |
−780 |
−5.2 |
−0.17 |
0 |
0 |
−18000 |
6.50×105 |
−90000 |
5.20×105 |
|
Ref. |
[%Ca] |
[%O] |
Io |
Ica |
I3 |
[%Ca]+2.51[%O] |
|
Hino et al.10) |
0.0174 |
4.07×10−4 |
1.10×105 |
2.06×103 |
−6.07×109 |
0.0174 |
Wakasugi et al.27) |
1.80×10−3 |
1.20×10−3 |
4.39×104 |
2.88×104 |
−4.22×1010 |
0.00481 |
Cho et al.29) |
1.00×10−4 |
1.00×10−4 |
4.63×105 |
4.63×105 |
−4.10×1010 |
<0.005 |
1.00×10−4 |
1.00×10−4 |
4.36×105 |
4.36×105 |
1.67×1011 |
>0.005 |
1.00×10−3 |
4.38×10−3 |
3.09×104 |
1.35×105 |
4.16×109 |
|
Itoh et al.30) |
7.12×10−3 |
4.10×10−4 |
4.76×105 |
1.90×103 |
−2.22×109 |
0.008145 |
(2) Al–O |
Ref. |
eOAl |
eAlO |
eAlAl |
eOO |
rOO |
rAlAl |
rOAl |
rAlO |
rAlAl,O |
rOO,Al |
Itoh et al.33) |
−1.17 |
−1.98 |
0.043 |
−0.17 |
0 |
0 |
−0.01 |
39.8 |
−0.028 |
47.45 |
−1.17 |
−1.98 |
0.043 |
−0.17 |
0 |
0 |
−0.01 |
39.8 |
−0.028 |
47.45 |
−1.17 |
−1.98 |
0.043 |
−0.17 |
0 |
0 |
−0.01 |
39.8 |
−0.028 |
47.45 |
Seo et al.34) |
−4.09 |
−6.9 |
0.043 |
−0.17 |
0 |
0 |
2.67 |
7.6 |
9.05 |
9.05 |
−4.09 |
−6.9 |
0.043 |
−0.17 |
0 |
0 |
2.67 |
7.6 |
9.05 |
9.05 |
|
Ref. |
[%Al] |
[%O] |
Io |
IAl |
I3 |
|
Itoh et al.33) |
9 |
0.02 |
4.49×104 |
3.61×103 |
1.62×108 |
0.2 |
0.0003 |
1.46×105 |
3.02×102 |
4.39×107 |
0.0005 |
0.01 |
4.33×103 |
8.68×104 |
3.76×108 |
Seo et al.34) |
1 |
0.001 |
4.43×104 |
4.46×102 |
1.97×107 |
0.0002 |
0.01 |
4.33×103 |
2.17×105 |
9.39×108 |
Wakasugiら27)は,Kobayashiら22),Miyashitaら23),Ozawaら24),Ototaniら28)の実験値を解析して相互作用係数を求めた。Table 3に示すように,式(33)を満足していない。
Cho and Suito29)は,−log K'と([%Ca]+2.51[%O])の非線形の関係から,Table 3に示すように,([%Ca]+2.51[%O])が0.005以下と以上で異なった相互作用係数の値を得た。共にIo>0,ICa>0であるが,I3は0.005以下で負となり式(33)を満足しないが,高濃度側の0.005~0.012では正で式(33)を満足している。
Itohら30)は([%Ca]+2.51[%O])が0.001095から0.008145の値を解析し相互作用係数を得ている。Table 3に示すように式(33)を満足していない。
4・2・2 アルミニウムと酸素
JSPSの推奨値8)はRohdeら31)の1600°CにおけるeOAl=−1.17の値を推奨している。濃度範囲は0.002≦[%Al]≦0.08,0.0003≦[%O]≦0.002である。彼らの実験は分析精度に十分な注意が払われているほかAl2O3ルツボ中でCaO–Al2O3スラグと接触させて溶鉄中のAl2O3が懸濁する問題を処理している。Table 2に示すように,[%Al]=0.08,[%O]=0.0003において計算した結果は,DAl>0,DO>0,D3>0となり,式(28)を満足している。
Dimitrovら32)はAl2O3ルツボ中で測定した。Table 2に示すように式(28)を満足している。
Itohら33)とSeoら34)は非線形の解析を行い,それぞれ相互作用係数を得た。Table 3に示すように,いずれもIAl>0,IO>0,I3>0で式(33)を満足している。
4・2・3 カルシウムと硫黄
CaとSの相互作用係数のJSPSの推奨値8)は,Ozawaら24),Suzukiら25)およびSuzuki26)の研究結果を基にしている。eSCaの値はCaとSの2つの溶質を仮定しており,式(28)を満足している。
しかし,これらの実験はCaOルツボを用いており,溶融Fe中Ca,S,およびOの4元系である。
4・3 3種類の溶質を含む溶鉄中の相互作用助係数
4・3・1 カルシウム,酸素およびアルミニウム
Kobayashiら22)はCaOを内張したAl2O3ルツボを用いた実験と既知の相互作用助係数を用い,eOCa=−535を得ている。CaOルツボを用いた実験を[%Ca]=0.0023,[%O]=0.0025の組成で式(29)を用いて検証するとTable 4に示すようにこの式を満足していない。
Table 4. Evaluation of the interaction parameter of three solutes in molten iron by the
Eq. (29).
(1) Ca−O−Al |
Ref. |
eCaCa |
eOO |
eAlAl |
eCaO |
eOCa |
eOAl |
eAlO |
eCaAl |
eAlCa |
|
Kobayashi et al.22) |
*−5.2 |
−0.2 |
0.044 |
−1330 |
−535 |
−1.13 |
−1.91 |
−0.0784 |
−0.0515 |
%Ca |
%O |
%Ai |
ECa |
EO |
EAl |
ECa,O |
EO,Al |
E4 |
0.0023 |
0.0025 |
0.02 |
1.84×104 |
1.73×104 |
21.8 |
−6.80×109 |
3.56×105 |
−1.48×1011 |
(2) Ca−O−S |
Ref. |
Case |
eCaCa |
eOO |
eSS |
eCaO |
eOCa |
eOS |
eSO |
eCaS |
eSCa |
Han et al.35) |
1 |
−0.002 |
−0.2 |
−0.028 |
−1187 |
−475 |
−0.135 |
−0.266 |
−133 |
−106 |
2 |
−0.002 |
−0.2 |
−0.028 |
−1187 |
−475 |
−0.135 |
−0.266 |
−133 |
−106 |
3 |
*−5.2 |
**−0.17 |
−0.028 |
−1187 |
−475 |
−0.135 |
−0.266 |
−133 |
−106 |
|
Case |
%Ca |
%O |
%S |
ECa |
EO |
ES |
ECa,O |
EO,S |
E4 |
|
1 |
1.20×10−3 |
7.00×10−4 |
5.00×10−4 |
3.62×104 |
6.20×104 |
8.69×102 |
−3.39×109 |
5.39×107 |
−1.17×1013 |
2 |
1.60×10−2 |
1.10×10−3 |
2.30×10−3 |
2.71×103 |
3.95×104 |
1.90×102 |
−5.53×109 |
7.52×106 |
−6.64×1012 |
3 |
1.20×10−3 |
7.00×10−4 |
5.00×10−4 |
3.57×104 |
6.20×104 |
8.69×102 |
−3.43×109 |
5.39×107 |
−1.18×1013 |
*: Present study, **: JSPS8)
4・3・2 カルシウム,酸素および硫黄
Hanら35)が得た相互作用係数の評価をTable 4に示す。異なった相互作用係数を用いた3つの場合について計算したが,
いずれもECa>0,EO>0,ES>0,EO,S>0であるがECa,O<0,E4<0であり,式(29)を満足していない。
5. 考察
5・1 CaとOの相互作用助係数
溶鉄中のカルシウムと酸素の相互作用助係数の実測値が大きくばらつく理由は,実験方法にあると考えられる。溶鋼温度におけるCaの蒸気圧は高く,溶鉄への溶解度が低い事8,23,24,28),さらに,CaOの生成反応が遅い事22)から平衡実験の困難さがある。溶鉄のカルシウム脱酸実験では,ほとんどの研究がルツボ中で溶解した鉄は自由表面になっており気相に曝されている。したがって,カルシウムは蒸発による損失が起る他,酸化カルシウムとなって消費される。また,Hillert and Selleby36)は,報告されている酸素濃度には分析における系統的誤差があり,実際の酸素濃度はさらに低いと指摘している。
一方,溶鉄と平衡するスラグで覆う場合は,カルシウムの蒸発損失が防止できるばかりでなく,溶鉄との接触によりスラグからの酸素の供給が行われより平衡に近い条件が得られる29)。
しかし,Table 3とTable 4に見られるように,推奨されている相互作用助係数は熱力学的に均一相の安定を表していない場合が多い。Ca濃度の非常に低い領域の測定値には誤差が大きくなる傾向がある。Choら29)の相互作用助係数が熱力学的に溶鉄均一相を表しているのは,([%Ca]+2.51[%O])>0.005の濃度が比較的高い領域であるためである。
式(1),(3),(5)および(6)の数式は溶質が乱雑に分布していることを仮定している。CaやO等の溶質間の相互作用が強い系の数式はいくつか提案されており,Kang6)が紹介している。これらの数式で定義される相互作用係数も溶鉄の均一相の安定性で評価される必要がある。
5・2 相互作用助係数の決定方法
JSPSの推奨値8)には溶鉄中の相互作用助係数393個,炭素飽和溶鉄中の係数31個および固体の係数45個が収録されている。これらの係数は平衡実験で直接得られたものもあるが,大半は平衡実験で得られたデータを複数の係数を使って記述し,既知の係数の値を使って未知の係数を算出している。その既知の係数がそれぞれの実験条件下で平衡を表しているかは不明である。それぞれの平衡実験で用いた一組の係数が2・2節で示した平衡条件を満足するように未知の係数を決定することが重要である。
6. 結言
溶鉄の均一相の熱力学的安定を満足する相互作用係数間の関係を明らかにした。その関係式を用いて以下の報告されている相互作用助係数を検証した。溶鉄中のO,Ca,AlとSの2元系,および溶鉄中のAlとOの3元系の相互作用助係数は熱力学的平衡条件を満足している。一方,溶鉄中のCaとOの3元系の相互作用助係数は報告されている報告中1例を除いて熱力学的平衡条件を満足していない。また,溶鉄中のCaとO,AlあるいはSの4元系の相互作用助係数も実験濃度範囲内で熱力学的平衡条件を満足していない。
利益相反に関する宣言
本論文に関して,開示すべき利益相反関連事項は存在しない。
文献
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