Inquiries into Philosophy
Online ISSN : 2759-6303
Print ISSN : 0916-2208
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2024 Volume 2024 Issue 51 Pages 1

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木々のみどりが日ごとに色めくこの時季に,今年も皆さまに『哲学の探求』をお届けできることをうれしく思います.

今回の『哲学の探求』第51号には,2023年度哲学若手研究者フォーラム研究集会のテーマレクチャーにご登壇いただいた先生方による2本の論文と,個人研究発表を行っていただいた方々による10本の論文,あわせて12本の論文が収録されています.

2023年度の研究集会は,コロナ禍に落ち着きがみられてきたこともあって,4年ぶりの対面開催となりました.テーマレクチャーでは「〈ケアの倫理〉と〈倫理学〉」と題して,安井絢子先生(京都大学)と佐藤岳詩先生(専修大学)にご講演いただきました.また研究発表では,59件の個人研究発表と1件のワークショップが行われ,いずれにおいても活発な議論が交わされました.両日合わせて250名にせまる方々にご参加いただき,対面開催ならではの熱気が感じられる大変盛況な研究集会となったことを大変うれしく思います.

他方で,オンライン開催を経て対面開催に戻ったことで,対面開催に特有の問題が改めて浮き彫りになったのも確かです.とりわけ,現在のところ研究集会に利用している国立オリンピック記念青少年総合センターの施設利用費が値上がりを続けていることや,参加者の皆さまにも司会等のご協力をいただいているとはいえ,基本的にはわずか8名の運営委員で250人規模の集会をとりしきらなければならないこと,さらに,遠方から参加される方々に対して十分な旅費の支給が実現されていないことなどを憂慮しています.

今年度は,寄付受付の開始や「若手」の意味の捉え直し,また執筆負担金の減額に代表されるような,これまで意識されつつもはっきりとした対応がなされてこなかった事柄に積極的に取り組み,結果として弊フォーラムのあり方を大きく変えるような決定をいくつも下すこととなりました.オンライン開催は,コロナ禍における当座の取り組みとして始まりましたが,以上にあげたような問題点を回避する有力な選択肢となるでしょう.他の学会・研究会においても,開催方法に関する新しいコンヴェンションが形成されつつあります.今後はよりフレキシブルな開催方法が求められるかもしれません.弊フォーラムが皆さまにとってより良い場となる/であり続けられるために,全体会などを通じてお力をお貸しいただきたく思います.

最後になりましたが,研究集会の開催と,弊誌の編集・校正に携わってくださった皆さま,そして今回の研究集会開催にあたってご寄付いただいた皆さまに,厚く御礼申し上げます.若手研究者が所属や専門にとらわれることなく互いを尊重し,自らの考えを発表し議論し合える場は,いまだに限られています.弊フォーラムと弊誌がこのような場となる/であり続けることによって,皆さまの哲学研究のさらなる発展へと繋がることを,運営委員一同,心より願っております.

2023年度哲学若手研究者フォーラム運営委員・総務担当 高萩智也

 
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