内耳への血液循環障害による難聴について

聴覚生理の立場からの推理

抄録

突発性難聴の病因として内耳血液循環障害の可能性が指摘されている。 しかし内耳へ血液を供給する血管のどこが障害されればどのような難聴が起こりうるのか, そのことについて詳しく検討した報告はない。 この論文では, 迷路動脈から内耳へいく血管の様々な部位で起こる血行障害でどのような難聴が起こりうるかを推理した。 また臨床経過の異なる3例の突発性難聴を提示し, どの部位で血液循環障害が起こればそのような難聴が起こりうるのかを示した。