薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
Nizatidineの生体内動態(第1報)ラットにおける単回投与後の吸収,分布,代謝,排泄
佐野 廣佐藤 博志外山 誠司田頭 栄治郎江角 凱夫片見 好春東条 英晃谷津 幸子横島 徹熹
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1989 年 4 巻 1 号 p. 31-42

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抄録
14C-nizatidineを5mg/kgでラットに単回経口投与あるいは静脈内投与し,吸収,分布,代謝および排泄について検討した.
1.雄性および雌性ラットに経口投与した際,血液中放射能濃度はいずれも投与後30分に最高濃度(雄性668ng eq./ml,雌性426 eq./ml)を示し,6時間までの半減期はそれぞれ1.43,1.38時間,8時間から24時間までの半減期はそれぞれ10.3,15.4時間であった.
2.雄性ラットに静脈内投与した際,血液中放射能濃度は4時間まで半減期0.66時間,6時間から48時間まで半減期27.0時間で消失した.
3.雄性ラットに経口投与した際,投与後120時間までの尿中には投与量の68.0%,糞中には27.1%の放射能が排泄され,静脈内投与した際には,投与後120時間までの尿および糞中にそれぞれ投与量の84.2,16.2%が排泄された.経口投与後48時間までの胆汁中排泄率は20.2%であり,再吸収された胆汁中の放射能は注入後48時間までに胆汁中に注入量の5.8%,尿中に30.3%が排泄された.
雌性ラットに経口投与後120時間までの尿中には投与量の59.7%,糞中には投与量の39.1%の放射能が排泄された.
4.雄性ラットに経口投与した際,精巣を除くすべての組織が投与後30分に最高濃度を示し,腎,小腸,肝,膀胱,胃に高い濃度が認められた.その他の組.織は血漿と同濃度かそれより低く,投与後120時間では大部分の組織が検出限界以下であった.
5.in vitroでの血漿蛋白結合率は0.1~10μg/mlの範囲で12.8~16.9%であった.in vivoでは投与後30分,2および6時間でそれぞれ20.6%,26.2%,41.8%であった.
6.雄性および雌性ラットに経口投与した際,両者とも血漿中および尿中には未変化体,N-des-methyl体およびS-oxide体が主として検出された.尿中にはその他にM-3およびM-5がわずかに検出された.雄性ラットの胆汁中には未変化体,N-desmethyl体およびS-oxide体のほかにM-2,M-4およびM-5が検出された.
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© 日本薬物動態学会
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