大まかに東洋医学的診断を行った上で, 65名のめまい症例に, ツムラ半夏白朮天麻湯, ツムラ苓桂朮甘湯, ツムラ釣藤散のいずれかをそれぞれ1日7.5g分3で8週間投与し, 4及び8週目に治療効果を判定した. その結果, 以下の成績が得られた.
1. 全例の著効, 有効, やや有効率は, 4週目でそれぞれ27.7%, 27.7%, 13.8%, 8週目でそれぞれ44.6%, 24.6%, 6.2%であった.
2. 使用薬剤別に成績をみた場合, 半夏白朮天麻湯, 苓桂朮甘湯, 釣藤散の順にそれは良好であった.
3. 特定のめまい疾患に対してある特定の漢方薬剤が繁用される傾向はなかったが, メニエール病に対しては, 苓桂朮甘湯が比較的奏効した.
4. いわゆる副作用は2例にみられたが, これらはむしろ薬剤の使用方法を誤った結果生じた症状である可能性があった.
