歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
主導管結紮および解除後におけるラット顎下腺小葉の組織学的研究
腺房の萎縮・再生に関する新しい知見
柳下 秀郎内田 稔相山 誉夫
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2001 年 43 巻 6 号 p. 676-689

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抄録

本研究は, 顎下腺の主導管結紮後と解除後における腺房細胞と筋上皮細胞の組織学的変化と再生過程を明らかにする目的で行われた. ラット顎下腺の主導管を1週間結紮し, その組織学的変化, 次いで結紮解除後の経日的変化を調べた. 免疫染色やTUNEL染色を施した試料について光学顕微鏡と透過電子顕微鏡による観察を行った.
正常なラット顎下腺では, 筋上皮細胞に被われた導管様構造物は認められなかったが, 主導管結紮後, このような組織像が多数観察された. 光顕下では, アポトーシスを思わせるTUNEL染色陽性腺房細胞が若干観察されたが, 電顕観察では確認できなかった. このことから, 細胞死が生じたとしても少数であると思われた. 結紮解除後4週で顎下腺全体にほぼ正常な腺房が観察された. これらの所見から, 腺房の回復は主として導管様構造物が腺房へ回復することによるものと思われた.

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