石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
電界脱離質量スペクトル法によるコールタールおよび石油タール各ピッチの多環芳香族分析
田子 澄男今井 勇佐藤 克行
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1984 年 27 巻 4 号 p. 341-347

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抄録

コールタールおよびナフサ熱分解副生タールを原料とする熱変性ピッチは平均構造が互いに近似しているが, 芳香環縮合度と脂肪族炭素数がわずかに相違する。この理由を成分分布から確かめるため, おのおの質量範囲150~500のベンゼン•メタノール可溶分に対しFDMS分析を試みた。コールタールピッチのFDMSスペクトルにおいて主な分子イオンがカタ型縮合に伴う芳香環1個分, 50質量間隔で分布する点に着目した示性式CnH2n-6RA-k (n; 炭素数, RA; 芳香環数, k=0, 2, 4)により分子イオンを帰属し, 芳香環に結合する脂肪族炭素数の分布に顕著な差があること, 平均構造推定値が従来法 (1H-NMR法) とほぼ一致することなどを明らかにした。

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