サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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診断の手引きを満たさないものの, 心臓サルコイドーシスが強く疑われた2症例
加藤 靖周森本 紳一郎平光 伸也植村 晃久久保 奈津子木村 勝智寺沢 正恭加藤 茂杉浦 厚司菱田 仁
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1999 年 19 巻 1 号 p. 91-96

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抄録

心臓サルコイドーシスは, 心筋生検による診断率が低いためしばしばその診断に難渋する. 今回, 心臓サルコイドーシスの診断の手引きでは診断し得なかったが, 強く本症が疑われた2例を経験したので報告する. 2例とも血清アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 活性, リゾチーム値が高値で, 肺生検にてサルコイドーシスと診断された. 1例は心電図で右軸偏位がみられたものの, 他の1例は心電図上特に異常所見は認められず, 2例ともホルター心電図, 心臓超音波検査でも特に異常は認められなかった. 2例ともThallium-201-BMIPP心筋シンチグラフィーにて, 広範な斑状の集積低下が認められたため, 心筋生検を施行したが, 類上皮細胞肉芽腫は観察されなかった. 冠動脈造影では有意な狭窄は認められず, 心筋シンチグラフィーにおける著しい斑状の集積低下は, サルコイドーシスによる心病変であることが強く疑われた. 今回の2例のように現在の診断の手引きでは, 本症と診断できない症例が存在すると考えられ, この点が心臓サルコイドーシス診断における今後の問題であると考えられた.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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