ホモポリプロピレン (PP) およびブロックPPの加熱された薬液による劣化機構を, 平面ひずみ状態の下でU字型切り欠きをもつ試験片の三点曲げ試験により検討した. 硝酸では試料の表面でのラメラ結晶間を結ぶタイ分子の切断による分子量の低下が表面クレイズの形成を導いた. この表面クレイズが鋭い先端半径をもったクラックへと容易に変化し, ホモPPでは強い塑性拘束による応力集中が材料のぜい性化をもたらした. しかし, ブロックPPでは, 分散相で形成されるボイドがひずみの拘束の解放により応力集中を緩和するので, ぜい性的な破壊には至らなかった.