抄録
ロール延伸法で作製されたポリエチレンテレフタレート(PET)とポリブチレンテレフタレート(PBT)の一軸延伸フィルムについて,広角 X 線回折,赤外分光分析により,二重配向と PBT の結晶変態の関係について構造解析を行った.各フィルムについて,through, edge, end の 3 方向から広角 X 線回折写真を撮影し,二重配向性を評価した.また,PBT については,赤外分光分析により二つの結晶変態である α 型結晶と β 型結晶の存在比を求めた.それらの結果より,PET と PBT は延伸倍率の増加につれて,二重配向性が増加しているおり,PBT では β 型結晶の存在比が増加していることが確認された.PET の結晶および PBT の β 型結晶はベンゼン環を含む面にメチレン基が平面ジグザグに並ぶ,極めて平面的な構造をとっている.以上の結果より,PET や PBT の二重配向には,平面的な結晶構造が寄与していることが示唆される.