高分子論文集
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金属イオンの存在におけるフィブロイン水溶液からのゲル化
仲村 安善白井 汪芳北條 舒正
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1988 年 45 巻 11 号 p. 889-894

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抄録

フィブロイン水溶液とMg (II), Al (III), Ca (II), Fe (III), Co (II), Ni (II), Cu (II), Zn (II) イオンの錯生成反応におけるゲル化をTMN+/THL (反応種のモル比) 0.1, 25℃で検討した, ゲル化は金属イオンの種類及びpHに大きく依存し, このゲル生成に伴う濁度τ (D400) -pH曲線のパタ-ンから4タイプに分類される. 金属イオンの存在下で, フィプロインのゲルが生成し始めるpH (P) は, 金属イオンによりFe (III) <Al (III) <Cu (II) <Zn (II) <Co (II) <Ni (II) の順に高くなる. Mg (II), ca (II) イオンではゲル化は起こらない. さらに, Pはこれらアコイオンの加水分解定数 (Ka), MOH (a-1) +型ヒドロキソ錯体の生成定数 (logβ1), 水酸化物が沈殿し始めるpH, 及びゲル化速度などと高い相関性がある. ゲル化はlogKa> -11.0, logβ1>3.0の金属イオンによってのみ起こる. 中和度 (α) ≧0の系での金属イオンによるゲル生成領域は, pH≒3.0~10.0にあってPが低い金属イオンほど広い. 以上の結果から, 金属イオンの存在下におけるフィプロインのゲル化特性にっいて考察した.

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