1958 年 61 巻 6 号 p. 642-646
従来農薬として多量使用されているヒ酸鉛の製造には, 鉛源としてもっぱら酸化鉛が用いられている。しかしながら酸化鉛は高価であり,かつ原料地金の需給状態により価額が変動し易く,品位も鉛地金の品質により限定される等の欠点がある。著者らは非鉄金属の乾式製錬の際副生する含鉛煙灰に着目し,この湿式処理により回収した塩基性塩化鉛の工業的利用を目的としてヒ酸鉛の製造研究を行った。その結果,まず炭酸アルカリを用いて塩基性塩化鉛を塩基性炭酸鉛に変え, ついでヒ酸と反応させてヒ酸鉛をうる反応条件および反応方法を確立し, その工業化試験に成功した。本法は先に述べた酸化鉛を用いる従来法のような原料面の欠点がなく,かつヒ酸との反応を合理的に行うため高品位の安定した製品がえられる。
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