工業化学雑誌
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イオン交換樹脂による糖類の収着
中村 亦夫吉弘 芳郎日暮 幸一郎
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1958 年 61 巻 9 号 p. 1150-1152

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抄録

糖液を脱塩や精製のためにイオン交換樹脂を通すとき,-OH型の強塩基性イオン交換樹脂を使用すると糖が甚しく損失する。このことに関しては数篇の報告もあるが,糖化学の研究の際にもまたデンプン糖工業などの精製工程にも重大な関連があるので,詳細な研究を行ってみた。まず糖の損失を起すものは主として-OH型強塩基性イオン交換樹脂のみであり,この樹脂による糖類の収着状況はLangmuirの等温吸着の式によく一致しているが,温度による変化はあまりない。糖の種類に関しては分子の大きなものほど一般によく収着する。水洗いや,酸洗いによって脱着させてみると,15~20℃のような低温ではよく脱着するが,40~45℃のような高温になるとショ糖以外はかなりの損失が起り,使用した樹脂の色は褐色に変化する。糖の吸着量に関しては陰イオン交換樹脂のO H 基の量に大体比例することが認められた。

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