工業化学雑誌
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炭化水素の水蒸気改質に用いる各種ニッケル触媒のイオウ被毒による活性比較
森田 義郎斎藤 昌弘山本 研一
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1968 年 71 巻 9 号 p. 1457-1462

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抄録

n-ヘキサンの水蒸気改質反応におけるニッケル触媒のイオウ被毒現象を研究し,各種シリカ担持ニッケル触媒の活性の相違をイオウ被毒によって検討した。
反応は流通反応器を用いて常圧770℃ で行なった。チオフェンを定量添加したn-ヘキサンの水蒸気改質反応を行ない,触媒の活性経時変化の様相を調べた。触媒のニッケル表面積は水素の化学吸着によって求め,触媒上に固定されたイオウ量は焼燃法で測定した。反応経過時商とともに触媒活性は減少し,触媒上に固定されたイオウ量は増加したが,ついには前者は一定となり後者も変化しなくなった。定常活性はn-ヘキサン中のイオウ濃度に依存した。これらの事実から,反応気流中でニッケルの硫化反応が平衡状態になっているものと考察した。
定常活性とニッケル表面積の間には,3種のシリカ担持ニッケル触媒に対して三つの型の相関関係が存在した。定常活性と触媒上に固定されたイオウ量との間にも相関関係が存在し,これは触媒の種類によらなかった。これらの結果から,3種の触媒の間には活性点濃渡の差異があると考えた。

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