産業連関
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【投稿論文】
日本の地域間における仮想的な水移動の特徴
水利用地域間産業連関表を利用して
福石 幸生
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2010 年 18 巻 3 号 p. 75-95

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抄録
近年の環境問題の深刻化による水資源の減少への懸念に合わせて,2020年代には上水道の更新需要は投資額を上回ると推計されている.加えて,上下水道事業の負債は増加の傾向であり,将来の水資源の減少だけでなく,供給システムの点からも,日本は深刻な問題を抱えている.本研究では,水利用地域間産 業連関表を作成し分析することで,日本の地域間の商品を通じた仮想的な水移動の特徴を明らかにし,日本国内で,輸入される全ての商品・サービスの需要を満 たすシナリオのもとで,各地域がどれだけの水需要を移入,そして輸入によって節約していたかを推計することで,各地域の移入と輸入を考慮した潜在的な水資 源需要を明らかにする.世界的に起こっている食料生産のための資源の減少により,近い将来,海外からの食料のみならず工業製品の輸入が困難になる可能性があるなかで,本研究の結果は,将来の水資源問題を解決するための政策決定の一助となると考えられる.
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© 2010 環太平洋産業連関分析学会
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