多摩川羽村堰下流の平瀬において,河床付着層の形成過程における付着層量の変動を素焼きタイルを用いて測定し,それに影響をおよぼす環境要因について考察した。浸漬期間は「春」:1997年2月12日~1997年4月1日,「
秋
」:1997年10月2日~1997年11月11日とした。乾重量,強熱減量,クロロフィル量(Chl.a+Phaeo.a)が最大値に達するまでに,「春」は40日,「
秋
」は24日を要した。クロロフィル量,強熱減量の最大値は「
秋
」の方が有意に大きかったが,乾重量の最大値は「春」と「
秋
」で大差なかった。また,秋には藻類の活性の目安となるChl.a/(Chl.a+Phaeo.a)の値や,好気性従属栄養細菌数(CFU)/アクリジンオレンジ染色性粒子数(AODC)の値で示される細菌の活性が高く,「
秋
」に水温が高かったことが藻類や細菌の活性を高め,付着層のクロロフィル量や強熱減量が「
秋
」に高くなったと考えられた。また,浸漬中に付着層の剥離現象がみられ,その速度からも水温が要因となっていることが裏付けられた。
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