致死的不整脈既往例における突然死の発生頻度は高く, その抗不整脈薬の治療の目的は突然死予防すなわち生命予後の改善にある.したがって, その薬剤の選択にあたっては長期治療時の有効性を予測するために電気生理学的検査 (EPS) とホルター心電図による薬効評価が不可欠といえる.本研究では持続性心室頻拍 (VT) /心室細動 (VF) に対するEPSによる薬効評価の意義について述べる.
EPSによる薬効評価では心室性催不整脈の頻度は少なくなく, とくに左室機能低下 (LVEF≧40%) では23例中17例 (70.8%) で, 67剤の試験中26試験 (33.8%) に認められたことは留意すべきことと考えられる.EPSで有効薬が認められた症例は62%であったが, その有効薬を投与した症例における突然死は7%, EPSで有効薬が認められなかった症例では突然死は30%であり, EPSによる薬効評価の臨床的意義は非常に高いと考えられる.とくに, VT/VFのlast choiceの薬剤であるアミオダロンの長期治療における突然死予防効果を予測するのに有用と考えられる.1992年のESVEM報告ではHotter心電図による薬効評価の優位性が強調されているが, EPSの意義が変わるものではなく, VT/VFの抗不整脈薬の選択にあたっては両者は補完し合うものであり, その総合判断が重要と考えられる.
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