日本臨床外科医学会雑誌
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頭蓋内結核腫2例の経験
阿部 啓一
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1991 年 52 巻 9 号 p. 2026-2031

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抄録

結核治療の発達により結核性疾患は著しく減少したが,頭蓋内結核腫も依然として稀に存在する.当院では1964年に第1例を経験した後, 1982年に第2例を経験した.第1例は43歳時に鬱状態で当院精神科を受診し, 49歳時,意識消失発作で入院加療中,器質性疾患疑いとして脳神経外科に転科した.第2例は49歳時,局所性不随意間代性痙攣発作,シビレ感を訴え入院し,前者は髄膜腫の診断での術後に結核腫と判明,後者は術直前に結核腫と診断された.この2例を報告し文献的考察を加えた.本症の診断は,痙攣発作を主訴とする頭蓋内腫瘍疑診例で少若年者のみでなく結核と関連した比較的高年者でも,結核性疾患の既往歴に,留意する事が重要で, CT, MRIの活用,ステロイド,抗結核剤と全摘出術との組み合わせが最善の治療と考えた.

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