1993 年 54 巻 7 号 p. 1816-1820
開心術23年後に発見された胸腔内chronic expanding hematomaを報告する.症例は38歳の女性で卵巣嚢腫の術前検査としての胸部X線写真で異常を指摘された.胸部X線写真では左下肺野に径14cmの腫瘤影を認めた.腫瘤は横隔膜上で心後縁に位置した.胸部CTおよびMRI上,腫瘤の辺縁は平滑だが内部は一部石灰化を伴い不均一であった.縦隔腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘤は心膜に浸潤していると思われた.術中迅速病理診断を施行し,悪性所見なしとの診断を得て可及的に切除し手術を終了した.術後病理診断は線維性被膜に被われた血腫であった.開心術に起因したchronic expanding hematomaと判断した.