[緒言]局所進行喉頭癌(特にT4)に対する喉頭温存治療は確立しているとはいえない。京都大学がん診療部では頭頸部外科医と放射線治療医が一緒に患者診察を行い,局所進行喉頭癌に対しても喉頭温存治療の可能性を検討している。今回,主に導入化学療法を用いた喉頭温存治療の試みについて報告する。
[対象]京大がん診療部が発足した2008年から2011年6月までに当診療部を受診した喉頭癌患者52例のうち,T3,T4症例7例について検討を行った。
[結果]1例では基礎疾患の関係から喉頭全摘が行われたが,T3の1例では放射線療法(多分割照射)を,残りの5例にはTPFを用いた導入化学療法を施行した。5例中1例でCR,3例でPRがえられ,2例では化学放射線療法,2例では喉頭温存手術を行った。喉頭温存治療を完遂できた5例において,1~3年(平均2年)の観察期間において再発を認めず,喉頭機能も温存できている。
[考察]T3,4喉頭癌においても導入化学療法と化学放射線療法(IMRT),喉頭温存手術を用いることで喉頭温存が可能となる可能性を示した。