高分子論文集
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ペプチド・ベシクル系超分子の立体選択的分子認識触媒作用
大久保 捷敏占部 憲治山本 淳二佐川 尚臼井 聡
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1995 年 52 巻 10 号 p. 650-656

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抄録

単純な低分子ペプチドを触媒部位として配列した界面活性剤の二分子膜が形成する超分子が, 短鎖N-アセチル-L (-D) -アミノ酸エステルに対して, 効果的な膜内での基質・ペプチド触媒部位間多点相互作用を通じて, 迅速にかつ極めて優れた立体選択性をもって加水分解する機能を発揮するため, いかに超分子の構成と反応環境を設定すべきかを明らかにした. すなわち, L-His含有ペプチド (1, 2a~g, および3a~c) およびカチオン性界面活性 (4a, b) を具体的な超分子構成分子として例示し, 2cと4bとの組み合わせ構成により, N-アシル化アミノ酸エステル基質 (5a~f) のうち, 反応には不利な短鎖基質5aを効率良く膜内に取り込ませ, ペプチド触媒部位2cと適切な多点疎水性相互作用を通じて, 反応温度298K, 3vol% MeCN/Tris-KCl緩衝液 (pH 7.68, イオン強度0.01) 中, 反応速度比L/D=167倍をもって5aを迅速に加水分解させることに成功した.

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© 社団法人 高分子学会
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