1992 年 37 巻 4 号 p. 587-594
男性型脱毛症は, 遺伝的基盤がある人の毛組織に男性ホルモンが作用することにより生ずると考えられている. その本態は毛包のサイズの縮小による終毛の軟毛化とされている. 超微形態学的レベルから男性型脱毛症における毛器官の変化を見ると, 血管系の変化としては, 毛包周囲の血管網の減少と毛乳頭における毛細血管の減少が挙げられる. 毛髄を欠くかあるいはほとんど認められないものが多く, 毛乳頭の細胞間基質もいちじるしく減少している. しかしながら, 毛皮質・毛小皮・内毛根鞘などの角化機転は正常毛包とほとんど同じであり, 男性型脱毛症における毛包の構成細胞は, 本質的に正常毛包と比較して差異は認められない. また当科外来で施行しているOMGローションによる男性型脱毛症の治療成績について報告する.