この一文は、昨年度の日本経営学会でおこなったわたしの講演-日本経営学界の回顧と展望-の論旨を生かしてしたためたひとつの回顧録であります。紙幅の都合で若干割愛のやむなきにいたりましたが、それは他日補足することとし、とにかくその論旨は要約してとりあげたつもりです。およそ理論の展開はその歴史に結びつかねばならぬということを、「文献史」(Literatur=Geschichte)としてではなく、「学説史」(Dogmen=Geschichte)として発生論的、存在論的にうけとめねばならぬということが、その根本のねらいになっているのです。問題が問題であるだけに、説いてつくせなかったことが多々あるのです。それは、他日補うつもりでおります。