日本企業の生産の管理手法はトヨタ生産方式、1990 年代以降はリーン生産として広がった。本論は標準作業に注目し、スウェーデン自動車企業における標準作業管理の管理を誰が行うのかを検討し、日本とスウェーデンとの比較を行った。調査から、スウェーデンでもリーン生産の管理手法を入れている企業では、スウェーデン企業の特徴であるチーム内で保持されてきた標準作業の設定→実施→修正の過程が修正され、標準作業の設定や修正、また教育などについては生産エンジニアが担当するようになった。このエンジニアの役割の変化は、日本企業の独自な生産管理構造を人的に示す「製造エンジニア」の登場を示唆し、エンジニアの役割が日本的管理の影響により転換したことを示す。本論の特徴は、日本企業の生産の管理プロセスを、エンジニアの行動と管理ポジションに焦点を当てて比較し、「日本的管理」の特質を示したことにある。