經營學論集
Online ISSN : 2424-2047
Print ISSN : 2432-2237
ISSN-L : 2432-2237
第83集 新しい資本主義と企業経営
会議情報

院生セッション
[1]米国企業における内部通報制度の現状と課題
*村田 大学
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. G1-1-G1-12

詳細
抄録

本研究の目的は,米国内部通報制度の実態と問題点を解明することである。米国の内部通報規制は,従来,匿名性や守秘義務の向上など,主に内部通報者の特定を困難にすることで,報復の防止に努めてきた。だが,現在,内部通報件数の増加とは対照的に,内部通報者の5人に1人は報復を経験しており,報復の改善・防止は大きな課題である。

 そこで,本研究は,①内部通報者の潜在的報復者に対する独立性,権力,匿名性と報復の関係,および②通報先の独立性と報復の関係の解明に取り組む。内部通報者は常に様々な組織構成員と利害が対立しやすく,権力も弱いため報復に会いやすい。匿名性の強化は,内部通報者の特定を困難にすることで報復の防止に貢献するが,調査の進展に伴い低下してしまう。また,通報先の独立性が乏しいと,経営者が関与する不正の通報に対する報復の防止は難しい。以上のような限界の克服には,多様な内部通報経路の整備が重要である。

著者関連情報
© 2013 日本経営学会
前の記事 次の記事
feedback
Top